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情動

人間の情動の話です。簡単に言えば「感情」でしょうか。一応思考と性格については別記事としました。

1. 情動とはなにか

『心理学辞典 新版』(平凡社, 1981)によると、情動とは「急激に生起し短時間で終わる比較的強力な感情」と定義されています。

情動にはいろいろなものがあります。生後半年頃に喜び、興味、驚き、悲しみ、嫌悪、怒り、恐れといった基本情動が出そろいます。1歳代になると困惑、恥、誇りといった二次的情動が出てきます。

情動は人によって強弱が異なります。これは例えば誰かにちょっとした悪口を言われた時、激昂して相手を罵倒する人もいれば、自分が悪いんだと落ち込む人、まあいいやとたいして気にしない人もいることを想像すればわかりやすいでしょう。
情動の激しさの傾向を情動性といいます。情動の経験が強い傾向で、物事に対して情動的に反応しやすい傾向を指します。落ち込みやすい人、怒りやすい人は情動性が高いといえます。


2. レジリエンス

情動、特に強い不安や苦悩、怒りなどの否定的な情動は、しばしば問題行動や精神・社会的適応の問題とつながってきます。適応的な人間になるひとつの鍵がレジリエンスです。

レジリエンスとは、かなりの悪状況にさらされた時、肯定的な適応を可能にしていく人間の機能です。個々人によって程度の差はありますが、多くの人間に備わっているものです。強いレジリエンスを持つ人は、つらい状況に陥った時や否定的な感情を持った時、また適応的な個人的・社会的状態に戻ることが容易になるでしょう。


3. おまけ

以前から感情は行動から来るのか、行動があってから感情が生じるのかに関する議論がなされてきましたが、かなり重要な説があるので紹介します。

まず、感情が先に生じてそれによって行動が喚起されるという説です。感情の中枢起源説、キャノン・バード説とも言います。悲しみなどの情動は、視床から大脳皮質へ送られる刺激のパターンで決定され、情動の表出が視床から筋肉などに伝わる信号によって規定されるそうです。悲しいという感情が先に生まれ、それによって泣くという行動が生じます。

これに対して、行動から感情が生まれるという説もあります。感情の末梢神経説、ジェームズ・ランゲ説とも言います。「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」という言葉がとても有名です。

あともうひとつありました。感情の2要因理論です。Schachter & Singerが提唱していて、感情は、身体に起こっている生理的変化と自らが置かれた状況の認知の2つの要因によって生じるという説です。
これはDutton & Aronが有名な『吊り橋実験』をしたりなんかしていて有名です。被検者に高いところにあって揺れる吊り橋か普通の石橋かのどちらかを渡らせて、渡り終わったところで「あの、今度会いませんか?電話番号を教えるので気が向いたら連絡してください」みたいなことを言うと、吊り橋を渡ってきた人の方がドキドキしているので「あれ、もしかしたらこの人自分に気があるのかな」と思って連絡を取る人が多いというあれです。


以上、情動(感情)の話でした。2022.4.16時点では3トピックしか挙げていないし『心理学』(有斐閣, 2017)の情報しか入っていないので、後日僕がもっと勉強したら追記するかもしません。

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