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コスモスの砂浜、遠く、旧世界に向けた僕のジャーナリング




それは写真なのか絵画なのかさえ
もう見分けがつかなくなってしまった

明るかったり暗かったり
美しかったり汚かったり
好きだったり嫌いだったり

様々な色で彩色された1枚の
いつも確かに見えていたはずの景色


全てが反転した後も
重さは変えられず
そのまま深く海底に沈んでしまった


足先にひっかけたビーチサンダルの紐が千切れそうだ

鞄に入れ
きつく留めていたはずの切符がほどけ
風に飛んで消え

行き先を
空路に変更せざるを得なくなった

コスモスの砂浜とはお別れだ
ひとまず僕は旧世界に向けて
軽く会釈とハグをした



彼等ならあちら側で
元気でやるよと言っていた
心配はいらないのだと笑う

あの喜びの月が落ち切ったら
すぐに新しいエアポートが現れるのだからと
事も無げに言う


誰も、
彼も、

君も、

君の好きな人も
君の嫌いな人も
分け隔てはなく

続いたはずの
過去も
続くはずの
未来も

なにも、悪くはないのだと


誰しもが今、生まれ直しをしているようなものなのだから、と

喝采の中
くっきりとした夜明けと共に
旧世界の全て、は跡形もなく消えた



忘れないように、書き

その次元の色彩が
未来永劫伝うように、描き

祈るかわりに、作る

そのように生きていこうと思った



空の道を行きながら
鞄からチョコレートバーを取り出してくわえ
一番最初に得た弦を使い
許しの音楽を奏でることにした



遮るものの一切が見当たらなくなった海面はたゆたい
どこまでも強く輝き続けている












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