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再来『革命时期』

80年代シティポップブームの次のフェーズと考えれば自然な事ではある。
数年前からファッションの流行は90年代後半〜2000年代の再来へと少しずつ移行し、それに呼応するように音楽シーンも90年代後半〜2000年代に鳴り響いていた音が再来、まるで天体の公転周期だ。こんなにきれいに連動するものか。

もちろん時代は進んだ分だけ鮮やかに進化を遂げている。
依然としてK-POPが音の「新しさ」「時代を象徴する熱量」「文化価値」を更新し、アイドルはアジアのカルチャーを牽引、日本の若く才能あるアーティスト達もそれぞれのやり方で前進し、耳目が離せない。

彼ら、彼女らのパフォーマンスや身にまとう音、ファッションから否が応でも過去の残像をインスピレーションとして読み取り、そして気付かされる。当時10代、20代を生きた私達世代にとっての「2周目」が来たのだと。
意外なもので、いざ「自分達が良くも悪くも先駆者として扱われた時:流行再来!」のターンが来ると、懐かしむ、環境変化や成長、年齢、得たもの失ったものを自覚ししみじみする、などの方向には感覚が全く向かない。

ただ「取りに」行きたくなる。

音の作用により自動的に「繋がる」のだ。
心の断片が当時に接続され、その度に私は貪欲に「取りに行く」
まるでその時が来たらそうする、と最初から決めていたかのように。

例えば19歳の、22歳の私の行き場を失ったままのエネルギーをこちらに引き寄せ、今の私の軸に引き合わせ瞬間的に取り込みながら再構築をする。それはとても面白く、そして言葉にするよりも容易い。

足元にあるライン2024、その1本真下に平行に走る1999ないし2000ないし2004の混ざり合った筒型のチューブのようなラインの中にまず手を突っ込みその感触を確かめ、足元だけは2024から踏み外し過ぎないようにする。

誰も彼もミレニアムと祝う2000年、私は持ち得るアンテナを伸ばせるだけ伸ばし最先端の音をくれといつも渇望していた。

ビスチェのようなチューブトップ、
ヒョウ柄のキャミソール、
キャラ的にギャルではないので上からシャツを羽織り調整、流行っていても金髪にはしない、
太いストレートラインのパンツ、又は裾絞りのパラシュートカーゴパンツ。

右足にアメリカ、左足にイギリス国旗を模した装飾、前面がスパンコールで覆われたキラキラしたミュールを履いていた。

一点だけ派手なアイテムを投入するのが好きだった。被れる(真似出来る)もんなら被ってみろ、と姿を言語にして歩いた。
実際のところ「若者」は皆似たようなものだっただろう、それでも心意気は買ってやりたい。

ファッションをそっくり2度なぞる事はしない。
だからストレートパンツやパラシュートパンツはもう履かない。
ただ当時の私と目が合う度に、あっちこっちに持て余していたエネルギー、感性を受け止め、一点にまとめ昇華してやりたいという気持ちが強まる。それが出来る「大人」はこの宇宙でただ1人、私しか居ないからだ。

お前の事は全て分かっている、お前の苛立ちは私にしか解消出来ない。お前が持つ願いは全て私が叶える。
1999ないし2000ないし2004の年号の上に立つ私に念だけを送りすぐに現在、2024に戻る。
直接かける言葉はない。
何せこちらの時代も動いている、肌感覚では当時以上の動きの速さで、私達はあくまで進化の途中だ。今を生きる者は等しくここ2024年に集中せねばならない。

「接続」して得たエネルギーを再びこの身に巡らせる。
最先端をくれ、海面の光、重さのあるベース、
「公転周期」は中国語で「革命时期」と書くらしい。

安直な感傷でくくるにはまだ早すぎる。


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