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スイカの種について

遠く沸き立つ入道雲を見ながら青空の下でスイカを食べる風景は、
まさに日本の夏の風物詩と言っていいだろう。

しかし、私はスイカが嫌いだ。
味や食感が嫌いなわけではない。
スイカの種が嫌いなのだ。

なぜスイカの種を嫌うのか。
それは過去に語られた幻説によるものだ。
純粋で嘘を知らず、他人のあらゆる言葉を信じやすかった幼き頃に聞いた話だ。

家族でスイカを食べようとしていた。
種は食べたらダメだと言われる。
なぜ食べてはいけないのか、理由のひとつに
「スイカの種を食べたら盲腸になる」という話があった。

その時に、父が盲腸になって手術をした昔を聞かされたように思う。
記憶があいまいなのでわからないが、父はメロンの種を食べたと言っていたかもしれない。
とにかく、盲腸とはお腹が痛くなり苦しいものだと聞かされた。
さらに、知識の浅い子供の私には手術=生命の危機という認識があった。

そんなわけで盲腸への恐怖心から、絶対にスイカの種を食べる訳にはいかないと決心したのだ。
この時から、スイカの美味しさを楽しむよりも、種を避ける警戒心の方が勝るようになった。

だから、よくあるスイカにかぶりついて種を口の中に残してからププッと飛ばすようなことはまずやらなかった。種を飲み込むリスクがあるからだ。

先に種を取り除いてから口に入れなければ安心できない。
だから食べる際には必ずスプーンが必要だった。
そうなると食べるのに時間がかかる。
やはり切られたものを手に取ってかぶりつける簡便さがスイカの魅力のひとつであろう。
それを知ることがなかったために、私の中でスイカは食べるのが面倒くさい果物となり、次第に食べることを避けるようになった。

もちろん、スイカの種で盲腸になるなど医学的根拠は無い話なのだが、
幼いころに植え付けられた恐怖心はなかなか取れるものではない。

一方で、スイカは視覚的にインパクトがあるからアートやデザインの題材にはうってつけだ。
緑色の皮には黒い縞模様がならび、みずみずしい鮮やかな赤い果肉を内包している。
種はアクセントとして立派にその存在を示している。

私もスイカの種をモチーフにテキスタイルデザインをつくってみた。
種ってなんだか、かわいいものだ。

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