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採用はビジネスだ!構造を知って転職活動の攻略法を考えよう。

2024年に入り、自身の転職や、友人から転職相談を受けることが増えたので、そこで考えたことを備忘録的にまとめます。

これは、「採用する側」「採用される側」「採用支援を行う側」全てを経験した私が、「人材業界のビジネスモデル」を元に考える、転職の攻略法です。


1.採用って何?

まず、「本気で転職活動している」という割に、採用とは?を知らない人が多すぎます。

採用はビジネスです。

当然の事ですが、この視点で考えた事がある人は少ないのではないでしょうか?採用には様々な手法がありますが、まずは一般的な人材紹介を例に挙げます。

参照元)人材紹介サービスとは

この図の中で金銭が発生するのは、図左下の「人材採用支援」を通して実際に採用が決まった際の「成功報酬」が大部分を占めます。そして、

成功報酬の相場は理論年収の30%程度です。
(*理論年収とは、会社に1年間在籍した場合に得られる年収を、基本給や賞与、手当などをもとに算出したものです。)

転職者の年収が300万円だった場合の成功報酬額は90万円、400万円だった場合の成功報酬額は120万円、あなたを採用する会社はエージェントに支払う必要があります。当たり前のことですが、あなたを採用することで、今後支払いが発生する給与や諸経費などとは別に、です。

採用する側としては、あなたの経歴を見る際に「約100万円払うのだから、できるだけスキルが高そう、期待できそう、信頼できそう、退職しなさそうな人を選んで後悔したくない」という気持ちが少なからず生まれます。

採用支援を行う側は、これが自身や会社の売上となるので、獲得する(場合によってはノルマ達成する)ために、できるだけ決めたい、という気持ちを少なからず持っています。
そして、更に踏み込んだことを言うと、上の図では登場人物が1:1:1で表現されていますが、実際には、

  • 採用支援を行う担当者:1人 に対して、

  • 採用したい会社:数10社〜数100社

  • 求職者:数100人〜数1,000人

という状況はザラにあります。(*事業規模によって変動)
どういうことかと言うと、採用支援を行う担当者は、手持ちの企業と求職者の中から確度の高い数件に絞って注力する状況がどうしても発生してしまうのです。

注)この状況が悪い事だと言うつもりは全くありません。1人でも多くの人や企業をマッチングする為には当たり前に発生する事であり、人道的にも、ビジネス的にも間違ったことではない、と私も考えます。

重要なのは、転職を考えているあなた自身が、自分自身を求職者として客観的に見た際に、求職者群の優先順位の中でどの程度の位置付けになるのか?を考えてみる事です。

まずはこれらを知るだけでも、今までとは少し違った視点で「採用する側」「採用支援を行う側」の気持ちを想像することができるようになると思います。

2.「あなたに合った仕事を紹介」は不可能

様々なサービスの広告でよく謳われているこの言葉についても、私は疑問を感じます。なぜならば、「仕事」はそんな単純なものではないからです。

どういうことかというと、もし仮に「仕事の楽しさ」や「やりがい」を感じることを「自分に合っている」と評価する場合、それを決めるのは、あなた自身のスキルや精神的状況、一緒に働く同僚、上司、取引先の担当者、お客様、それぞれの人柄や自身との関係性、事業や仕事のフェーズ、配属される部署、扱う商材・・・など、日々目まぐるしく変化する様々な要因が存在するからです。

そのため、何をもって「あなたに合っている」とするかにもよりますが、結局は就職をしてみて、働き始めてみないと「本当に合っているか」については分からないと言えます。また、合っていると感じていても、仲の良かった同僚が転職してしまったり、部署異動が起きたり、仕事のフェーズや役割などが変わることで「合わなくなった」と感じるようになってしまう事も、当たり前に起こり得ることです。

それなのになぜ「あなたに合った〜」という打ち出しをするサービスは多いのでしょうか?それは、候補者を集める為の広告だからです。候補者の多さも、採用したい企業向けのアピールポイントになるので、エージェントは候補者数を確保する為に様々なマーケティングを行います。ここにも、採用=ビジネスだからこその裏事情があります。(これについても、批判ではなく事情を理解した上で、自分はどう関わるかを考えることが大切です。)

やや余談になりますが、昔は就職を「結婚」に例えるような人もいたようですが、私はその考え方も嫌いです。

先述したように、合っているかはどうかはその状況に飛び込んでみないと分からないもので、また、合っていないと感じた場合は再び転職をすれば良いんだというくらい軽やかなマインドで挑む事も、現代の転職活動を有意義に乗り切るためには大切といえます。

3.では、どう戦うか?

勝手に優先度を下げさせない応募方法

冒頭の例ではエージェントを介した人材紹介のビジネスモデルをご紹介しましたが、転職時の応募方法はそれだけではありません。多くの企業が、自社の求人ページを持っています。
企業側としては、本来は自社採用や社員による紹介(リファラル採用)でお金をかけずに採用したいところ、知名度の低さなどからなかなか応募してもらえない為、お金を出してまで専門サービスを頼ります。
*人気企業の場合は逆に、応募者数が多すぎて捌ききれない為、応募者管理等を外注する事もあります。

その為、(色々な事情により、あまり深く言及はしませんが、)採用したい企業側にとっては、自社サイト宛に直接きた応募であれば、当然の事ながら成功報酬は発生しません。また、求職者側にとっても、エージェントによる勝手な優先順位付けの戦いを回避して企業側と直接やりとりすることが可能です。

注)既に人材紹介や求人媒体に登録済みの方はご注意ください。サービスを介して採用情報を得た場合は、直接応募であっても成功報酬が発生する可能性があります。これを怠ると、ペナルティが発生する場合もあるため、各サービスの利用規約などを必ず遵守してください。

いずれにしても、エージェントや専門媒体だけを頼るのではなく、自身で気になる企業をGoogle検索などから探してみることもおすすめです。

見つけてもらえる履歴書を作る

エージェント利用に話を戻すと、求職者側はまず、数100人〜数1,000人、時にはそれ以上の人材の中から自分を見つけてもらう必要があります。
と言うのも、もしも媒体に登録して最初にエージェントとの面談等があったとしても、これだけの数の求職者情報を記憶することは不可能なため、エージェントは必ず求職者のデータベースを持っており、新しい求人や決めたい求人が出るたびに、そのデータベースを検索します。その際に、ヒットしやすいキーワードを履歴書に含めておくことがポイントなのです。

例えば、あなたが事務作業や営業アシスタント系の経験があり、同じような求人に応募したい場合に履歴書の書き方としては、

・所属部署の事務業務全般を1人で任されていました
・営業の補佐業務を幅広く担当していました

と書くよりも、

・一般事務
 ・PowerPointでの資料作成
 ・Excelを用いたデータ入力・集計
・会計/経理
 ・各種会計ソフトでの伝票整理、経理補助(freee、マネーフォワード)
・営業アシスタント
 ・電話やGmailでのメール対応
 ・Hubspotを用いた受発注業務

▼使用経験のあるツール
・Google work space
・XXXXX

のように書く事をお勧めします。
なぜならば、前者に含まれている「1人で任されて」や「幅広く」などは一見すごそうに見えますが、それらのキーワードでは絶対に検索されないからです。
具体的には、エージェントが、採用したい企業側から「Excelでのデータ入力や、簡単なfreeeでの入力サポートもできる人を探してほしい」と言われた場合、おそらくエージェントは「Excel」「データ入力」「freee」等のキーワードで検索します。その際に、万が一前者の求職者の方が経験が豊富だったとしても、検索上は後者の求職者がヒットするため、採用においては「勝ち」と言えます。

また、後者の方が履歴書を見た際に、これまでの経験に関するイメージも湧きやすいため、この人に仕事を任せられそうか?の検討もしやすく、その点でも有利と言えるでしょう。(おそらく、履歴書の書き方のコツに関する他の記事ではこちらを強調して書かれているものが多いと思います。)

「検索されやすいキーワード」については、自分が興味のある求人を参考にして、「仕事内容」や「必須要項」、「歓迎要項」などに記載されている言葉を使う事をお勧めします。ここでの理由も、「エージェントは求人票を元に検索をかけるから」です。

実務経験は「無いなら作れば良い」

ここまでの内容を理解できたとして、「それでも書くことがない!」という方も、まだ諦めないでください。

私の周りにもいるのですが、

  • 仕事で触ったことがあるけど、できると言っていいのか分からない・・・

  • 趣味でツールを使っているけど実務経験はない・・・

などを感じている方はチャンスです!!

まず、前者であれば履歴書に「経験したこと」として記載してOKです。経験自体は嘘では無いですし、会社によって「できるかどうか」の基準は様々なので、その判断は面接に進んだ上で相手企業に委ねれば良いからです。そのための選考です。尻込みによって事前にチャンスを潰す事はありません。

そして、後者についてはポートフォリオを作成し、実務経験と同様の価値に引き上げてしまいましょう。どういうことかというと、PowerPointの資料作成でも、Excelでも、その他クリエイティブツールや、ライティングスキルなどでも同様に、自身で課題を設定して成果物を作成し、それらを集めた資料を作成します。
資料作成に使用するツールは、今見ているnoteやnotioncanva、サイト制作などに興味がある方はSTUDIOなども無料で使えますし、難しい場合はPowerPointやWordなどでも構いません。どのツールも調べればたくさんのお助け情報が公開されていますし、調べながらツールが使えるようになれば、それ自体があなたの価値になります。

中には「実務経験」にこだわる企業もいますが、どうしてもその会社に入りたい理由が無ければ、その他の企業にとってはポートフォリオとして実際の成果物をみることができるのはかなり強い安心材料になりますし、そこまで準備してきたこと自体が加点になる場合が多いでしょう。


長くなってしまいましたが、ここに書いている事は転職活動のほんの触りに過ぎません。求人の探し方や、求人に合った履歴書の書き方、ポートフォリオの内容、書類通過後には面接もあり、それぞれ対策があります。

今回全てを書き切ることはできませんが、一つだけ共通して言えることは、転職したい自分自身の気持ちだけでなく、関わる人や相手の気持ちをトコトン想像して対策することが大切です。

この記事を通して、きっかけを掴む人が増えると嬉しいです。



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