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静かに、品よく、つよく生きる

前々から気になっていた、この本を読んだ。

最近気がついたのだけど、本を読む速さはけっして「本の難易度」ではきまらないとおもう。重要なのは、「読む人とその本の相性」だ。

この本は、内容は単純ではないし、文字数だっておおいほう。340ページほどあるうえに、表紙の黒黒しさとあいまって重たく感じる。

それでも約2時間でひととおり読んで、noteにこうやってアウトプットしている。それは、ひとえに「自分事の話題」だからにちがいない。

ここから先は、ネタバレあります。

−−−

この本の結論は、3つある。

  1. 内向型(静かな人)は、誤解されやすい。

  2. 勝つためには、とにかく自分をみつめなおす。

  3. 結局、静かな人がまわりをうごかす。

では、のんびりといきましょう。

−−−

そもそも、「内向型」とは。

この記事を読んでくれている方に、質問です。

自分を「内向型」だと思いますか?

「ひとりになることで元気になる」
「注目の的になることを避ける」
「話すよりも聞くほうがおおい」
「文字のコミュニケーションを好む」
これらは内向型の特徴であると同時に、この逆が外向型だといえる。

この本では序盤に、「自分のタイプを知るテスト」がある。35個の質問に答えることで、自分が内向型か外向型かどちらに近いかがわかるのだ。

ちなみに僕はこうだった。

内向型の傾向あり:14/15
外向型の傾向あり: 4/15

(のこり5個は惰性で答えるのをふせぐダミーらしい)

まあ、こんな本を手にとるような人は、僕のように「内向型傾向がたかい」とはおもう。それでもこの結果はどうだろう。ますますつづきが気になってきた。


内向型(静かな人)は、誤解されやすい。

僕は子どもころから、大人になった今でも「おとなしい」とよくいわれる。飲み会の席はいわずもがなで、親戚同士の集まりであっても居心地はつねによくない。はやく部屋にもどりたい、とおもってしまう。

だからといって、何も考えていないわけでも、まったり親睦するのがきらいなわけでもない。
(好きでもないが)

外向型の人からすれば、「黙っている人」は、「小心者」とか「自分の意見がない」とかひどい場合には「親のしつけがなってない」とかいう評価になってしまうらしい。

僕には、3歳上の姉がいる。子どものころに、何が原因だったか、家がゆれるほどの大喧嘩をした。姉は昔から気が強くて頭がよくて、僕はいつも姉の背中をみて育った。一方的にまくしたてる姉。それにたいして僕は終始無言だった。おもうところがないわけではない。僕が言い返すことで姉と言い合いになることも、それを止めに入る親にたいする複雑な気持ちも、時計の針が止まったような騒がしいけど静寂で長い時間も、そのすべてが僕をだまらせる。


勝つためには、とにかく自分をみつめなおす。

だからといって、この本では「むりに外向型になろうとするな」という。

さらに、「内向型には内向型の能力や良さが備わっている。それを発揮するには、内向型ならではの戦略がある。」という。

「私が◯◯なのは、内向型だから…」とか「僕は内向型だから、△△はできない」とかいうように、内向型をひとくくりにきめつけることはよくない。世の中にある「人間の性格を16タイプに分類」とか「HSP診断」とかいうものを盲目に信じるのも、自分の可能性を狭めてしまう危険な行為だ。

重要なのは、「内向性はひとつの特徴にすぎず」、「何をもっとも大切にしたいか(価値観)をかんがえて、強みを育てること」にあるという。

ちなみに、僕の強みはこれでした。

「ひとりになると集中できる」
「プライバシーを大切にし、相手の気持ちを察する力」
「広く浅くより、狭く深く」
「ささいなことが気になる」
「口頭より、文字が好き」
「とりあえずやる前に、準備や調査を怠らない」

結構おおくてうれしい。


結局、静かな人がまわりをうごかす。

成功や貢献は、「数字」では計れない。

『スラムダンク』の桜木花道が天才たるゆえんは、持ち前の身体能力だけでなく、その「ボールへの執着心」が頭抜ずぬけているからだとおもう。

桜木が、「静かな人」ではないことは僕がいちばんよくわかっている。ただ、その「貢献の仕方」がまさにそれなのだ。

リバウンドは、こまかくいうと記録にはのこる。「アシスト数」も「スティール数(ボールをとる)」も記録はされるが、「得点数」ほどのインパクトやわかりやすさはない。

しかし、その目立たない存在(桜木ではなくリバウンド)がチームを勝利へと導くのだ。

ちょっと桜木のせいでイメージがつきにくい。
(じゃあ言うな)

とにかく、「必ずしも脚光を浴びている者が、真の影響力をもたらすとは限らない」ということ。内向型の人は、もともと控えめで腰がひくい。自分の弱点や欠けているものを知っているから、つねに勉強と練習を怠らない。

要は、「謙虚さ」こそが内向型の最大の強みだといえるのだ。

−−−

ほんとうに知りたいこと。

ここまで色々と書いてきたが、最後にちょっとだけ。

この本は、そのボリュームの大半を「静かな人の処世術」みたいなことに割かれている。

たとえば、静かな人は電話によわい。突然かかってくると準備ができないし、かといって自分からかけても顔の見えない相手と和気藹々わきあいあい話すことはむずかしい。

それなら、とこの本が提唱するのが、「SNSやチャット」さらには「リモート環境」だ。

ん?あれちょっと待てよ。

「いやいやいや。そんなことは知っているし、そうやってしか生きられないから悩んでいるんだ。」とこう著者にむかって言いたくなる。

ただ、内向型だろうがなんだろうが、人とまったく関わらない仕事や生き方はこの世に存在しない。山奥にこもって物書きになろうとも、読者がいないと成立しないのは想像にたやすい。

だからこそ、どうせ関わるなら「(静かな人の弱点を補う)外向型のパートナーがいるとつよい」とこの本はいう。

仕事の仲間だけでなく、友達や恋人・結婚相手でもいい。

大丈夫、僕たちならきっとうまくやっていける。謙虚さにくわえて「適応力のたかさ」が静かな人の武器だから。

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