過ぎ去るまえに、秋の京都をしずかな場所で
永観堂、清水寺に、嵐山。
京都で紅葉の名所はやまほどあるが、僕はめったに行かない。景色を見ているのか、人を避けにいっているのか、たとえどんなに見事な赤でも、そういう邪念が思いうかぶじてんで「風情がないな」とおもうからだ。
じゃあ、どこでその渇いた欲望をみたせばいいのか。
僕のこたえは、「花の名所」だ。以前にnoteで下の記事を書いた。個人的にお気に入りの記事で、投稿してからも3回は読み返している。
花の名所、つまり桜や梅など、なにか特定のきせつに咲き誇る花がある場所は、「それ以外」のきせつが穴場になる。秋だから紅葉の名所、と真正面から向きあってもただ疲れるだけである。
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寺院などをめぐるとき、なにを重要視するかは人による。
僕のばあいは、「しずかに見れるかどうか」が大事だ。それは物質的なしずけさも当然にあるが、知名度的なしずけさもある。ここ、勧修寺は山科にある。
歴史がふかく、観光名所もたくさんある山科区。JR線をつかえば滋賀にも大阪にもいけるので、住みやすいまちでもあったりする。
だが、紅葉めあてでこのお寺を訪れる人はあまりいないのではないだろうか。
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11月の中頃から下旬にかけて、京都の紅葉はどこも見頃をむかえる。僕じしんも京都に住みはじめてまる5年が経つので、この時期の過ごし方がだいぶ変わった。自転車でまちなかを走るときにも、つい目線と一緒にきもちまでが上をむくようになった。
ただ、ことしは夏が暑すぎたせいもあってか、あまり紅葉の質が例年とくらべてよろしくないという話を聞いた。実際、質いぜんに、「あれ、もう紅葉っておわった?」と勘違いしてしまうほど、ピークの時期が短くかんじたのは僕だけだろうか。
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次にむかったのは、醍醐寺。
勧修寺から自転車で15分ほどの場所にある。ここは、いわずもがなで桜の名所。豊臣秀吉がもよおした、「醍醐の花見」でよく知られている。
世界文化遺産だけあり、勧修寺とくらべるまでもなく人は多い。でも、そのぶん、いやそれ以上に敷地がひろくて見所も多くて、とくに僕はこの五重塔にえらく感動した。
それもそのはず。建立は天暦5年(951)で、京都府内で現存最古の木造建築物といわれている。
1200年の都とはいえ、平安時代から立ちつづけている建築物はそう多くない。理由は、いくたびも戦乱や火災が京都のまちを襲ったからだ。とくに11年にもおよんだ「応仁の乱」で、醍醐寺は伽藍のほとんどを焼失した。しかし、この塔だけは、それらをまぬがれたという。
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京都におけるまち歩きの愉しさは、「どれだけ疑問をもてるか」だとおもう。
何もかんがえずにただ歩いているだけでは、京都はなにも語ってくれない。「どうしてこのお堂が国宝なのか」「なんでこの場所に池があるのか」。
知ればしるほど、知らない京都が見えてくるのがおもしろい。
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