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2020年最も美しい景色、ミュージカル 生きる を見た話


こんにちは。どうもおたくです。

先日、ミュージカル 生きるを観劇しました。
鹿賀丈史さん、市村正親さん主演
黒澤明監督 生きる という映画を、ミュージカルに落とし込み、
普通の生活、ただ1人の生き方にフォーカスを当てた舞台です。
(この先ねたばれを含みます。大丈夫な方のみお読みください!!!)

これが。
これが私にとって2020年見た中で
最も美しい景色のひとつだと。
静かに幕が開き、雪が降る中
公園でひとり、ブランコをこぐ間もなく定年の男。
その優しい表情。
生きることはただそれだけで、なんて美しい。

次代背景は戦後間も無くなので
2020年とは年代だけで言うと離れてはいますが
何ら2020年の現代と変わらない人々の生活が垣間見られます。

例えば、時代の流れについていけない親と
新しい流れに身を任せられる子のじれったい距離感。
親子だから話しにくいこと。
その子夫婦間の今後についての展望。
仕事も上司は結局動いてくれない、やるのは現場、そして若手という組織。
希薄さを増す人間関係。
懸命さが煙たがられる世の中。
そして時には、その懸命さが人を突き動かすという事。

地方公演で生で観たのが一回
昨日の配信公演で観たのが一回

どちらもご縁があり

鹿賀丈史さん 渡辺幹治
小西遼生さん 小説家
村井良大さん 渡辺光男
唯月ふうかさん とよ
May'nさん 一枝(光男の奥様)

このキャスティングで観ました。

まず、鹿賀丈史さん
勘治の、
瞳の光を取り戻す、輝きの違いが凄かった。
間も無く定年退職の生活に、
お役所仕事に疑問を感じない日々に
胃がんだと診断された時から悔いて
何かをしたいと言う最後の悪あがきなのか
人間の性なのか。

その平坦な日々に光を差し込んだのが
とよ役 唯月ふうかさん。

若く、エネルギッシュで
あんな事やりたい、知りたいという
とよに渡辺が惹かれるのも当然だなというくらい
生命力に溢れる、可愛い(無邪気で本当に可愛かった)、それだけじゃないとよ。

とよと知り合う中で
渡辺はもう一度、自分を生きようと決意する歌を一幕ラストで歌うんですが
その時の逞しさといったらまあああああああああああああ
瞳に光が差し込む。
朝日が登っていく様な、渡辺に力が宿っていく様がありありと見られる。

まあこの時点で鼻水と涙でパーティーパーティーですわな。
会場でも必死必死。家ではバスタオルを握りしめ。
二幕を、渡辺の生き様の続きをワクワクして待つんですよ。

また、ストーリーテラーであり
渡辺が遊び方を教えて欲しいと乞うた小説家である小西遼生さん。
(遊び方は渡辺に合わず、あかんやつでしたが)
彼の声で話は進行していくのですが、
それもまたなんと色気まみれの小説家で。
軽そうに見えて人情派、非常に魅力的な小説家でした。
(私は小説家の衣装が好きなので
今後京都にケープ着て着物にはブーツ合わせる様な彼氏が今後いたらいいなと思った、めっちゃお洒落)

まだまだ魅力的な登場人物…
渡辺の1人息子、光男。
結婚し、子供を授かり間も無くパパになる光男役は村井良大さん。
学生時代にだだハマりした画面ライダーディケイドから見ていたので、舞台上で沢山拝見できることが嬉しい俳優さん。
光男は勘治同様、非常に頑固で不器用
でもどこか憎めない愛に溢れた人。
この親子のすれ違いがなによりも切なくて
生きている時だからこそ、気持ちは伝えなければ伝わらないと最も考えさせられた人物。


そしてなんと言っても
アンサンブルの皆さんの濃さ!
昔のストリップ街の女性からウワァ…ってなるような欲望丸出しの男性

物語を進めるきっかけになる
公園が欲しいとお願いしてくる、強気でパワフルな町のおばさま達や
渡辺の職場にいる、職場あるあるなおじさまたち。脂ギッシュな男性や、ごますり男性。
男女問わず見たことある。


興奮は止まらないですが
涙と鼻水と一旦落ち着いてきたあたりで
二幕が始まります。

公園が欲しいとお願いしてきた町のおばさま達に

自身の思い出、妻であり最愛の息子の母を亡くした時に
光男とブランコで遊んだことを思い出したこともあり、公園を作ると約束。
もちろんおばさま達は大喜び。

そこから勘治は公園を作るのに奔走するのですが
この世は金と権力だと言う
これもまた見たことある…でしかない
憎らしいに憎らしいを重ねた
勘治の仕事場のトップ、助役に山西惇さん
ヤクザの頭役に川口竜司さん

この2人は絵に描いたように勘治の公園を作りたい思いを阻もうとそれはもう、あれやこれや。

山西さん、ミュージカル3回目だそうなのですが存在感が鬼。
歌?セリフ?となるくらい自然に歌われるので…もう本当とんでもなく嫌な助役でした。
(褒)

ほんで!!!!!
もう!!!!
川口さんが!!!!!
嫌な役すぎるのに歌声が聞いていて気持ち良すぎてもっと歌って!!!!!!!!
でも勘治の邪魔をするから嫌い!でももうちょい歌って!

という好きなのに嫌いを5周くらいした所に
小説家登場。
彼もまた、生まれ変わった勘治に惹かれた1人。


小説家が勘治に助太刀した事で
上手く事は進んでいき、公園は無事完成。
とよも勘治に協力していたこともあり大喜び。


しかしその時、余命が半年だった勘治は
公園除幕式の前夜に、この世を去ります。


お葬式にもかかわらず大きな顔をして私が公園をつくったと言う助役。
それを取り巻く金魚のフンたち。
何も知らない光男は助役たちに頭を下げる。だって彼も、勘治から病気のことも
何も、聞かされていないから。

勘治は、公園が完成したら
光男に話そうと決めていたから。

この構図が心に刺さって本当に胸が痛い。
鼻水が止まらない、バスタオルが湿ってくる。

そこで小説家が
最後に見た勘治の姿
そして、勘治が光男に対して何を考えていたのか、思っていたのか伝えようとする。

その時、雪となり勘治が現れる。

昨晩は、穏やかで優しい顔で
自分を生きたことで完成した公園で
きっと光男との思い出を思い出しながら
雪の降る中
ブランコを漕いでいる。

幕が開いた瞬間
今年見た景色の中で1番美しい光景。

それが、本当にそう感じた光景でした。
(大真面目に打ってる側から泣けてくるくらい愛おしい空気感だった)

そこで勘治は

生きることはただそれだけで、なんて美しい

と歌う。

ねえもうやばくない??????????
迫ってくるものしかなくない??????


光男はその光景を見て涙し
それを見た勘治は、帽子をブランコの上に置き公園から去る。

これがフィナーレ。
バスタオルが絞れるくらいになりました。

まずこの感想を残すにあたり
演じられる方がまず魅力的すぎる
そして愛おしい登場人物しかいない事に頭を悩ませた上
ストーリーをどこまでどう残すかを非常に考えました。書き出したらどれも我慢できませんでした。なんならまだまだ書き足らない。

ストーリーは特に、シンプルに悪役がその後どうこうなる訳でなく、勘治の半年の余命を生きる事にフォーカスが当たっていた事

そして何ら黒澤明監督が生きて見ていた世の中と、2020を生きる私たちが見ている世の中の構図が変わっていなかった事に非常に共感できました。

勘治がどうしようもなく、明るくエネルギーに満ち溢れるとよに惹かれるのも、小説家が勘治を支えたいと思うのも、勘治の公園企画を一緒にやりたいという若い社員がいた事も、勘治と光男の詰めきれない距離感も、光男夫婦間のすれ違いも、一般市民の声は中々上には届かないと言うことも。


思っている事は言葉にしないと伝わらないと言うことも、何かに懸命になることは素晴らしいと言うことも、何気ない日々が素敵だと言うことも、最後に

生きることは、ただそれだけでなんて美しい事なんだということも。

言葉で言うのは簡単でも
実感する事は難しいと、どうしても思ってしまう事の多い1年だったからこそ非常に沢山の方に共感を得られたミュージカルだったのではないかと思います。

忘れてしまいがちな、
勘治が残してくれたメッセージは時々思い出して生きていこう。


生きるカンパニーの皆様
渡辺勘治 鹿賀丈史さん、市村正親さん
生きてくださって、ありがとうございました!!!


てなわけで!!!
気になった方は!!!ダイジェストが公開されましたので!!!こちらに浸ってください!!!!!!!!!!!!

YouTubeダイジェスト

https://youtu.be/vRZaF3iOkvw

そしてなんと!

明日まで、鹿賀丈史さん勘治のアーカイブ

そして12月3日まで、市村正親さん勘治のアーカイブ

は、こちらから!!!





最後まで目を通してもらいありがとうございました!



生きるって、それだけでなんて美しい!!!

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