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和服最低工賃って知ってますか?


最低工賃に意味があるの?

和服最低工賃について下記道県は
最低工賃が定められています。
他のところはおそらく、廃止されていると思います。
職人数が少ないと、廃止されたり
最低工賃が何年も据置のままになります。
下記道県の最低工賃も、古いものだと平成13年
新しいもので平成25年でした。

北海道
https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/001159754.pdf

青森
https://www.city.aomori.aomori.jp/keizai-seisaku/sangyo-koyou/syuurou-roudou/documents/wahuku.pdf

鳥取
https://jsite.mhlw.go.jp/tottori-roudoukyoku/library/tottori-roudoukyoku/pdf/wa_kochin2605.pdf

広島
https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/jirei_toukei/chingin_kanairoudou/toukei/_119982/H_wafuku_saiteitingin.html

山口
https://jsite.mhlw.go.jp/yamaguchi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/chingin/saiteikouchin1.html

長崎
https://jsite.mhlw.go.jp/nagasaki-roudoukyoku/content/contents/kotin-17092705-20191121.pdf

熊本
https://jsite.mhlw.go.jp/kumamoto-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_hoken/hourei_seido/joken06.html


さすがに、これより、低い工賃で縫わされている方はいないと思いますが
個人で仕事を受けている職人さんの中のは
これくらいの値段で受けている方がいるかも知れません。

頑張っている和裁士さんや和裁技能士さんに
真っ当な対価が支払われるためには
最低仕立て代のような基準があればと思っていたのですが
労働基準監督署でさえ、この低い工賃設定です。
愕然としたのはいうまでもありません。

もしかしたら、この最低工賃が
かえって職人を苦しめているのでは?
こんな設定なら、廃止された方が良いかもと思うようになりました。

せめて、時給にした時に、
最低賃金と同じレベルにすることはできないのでしょうか。
どんなに頑張っても、家内労働者扱いだと、内職とみなされ
この工賃程度にしかならないのでしょうか。

どこに、どう働きかけたら、少しでも変えていくことができるのか
さっぱりわかりません。
良いアドバイスやこういうところに働きかけたら良いよと
いうような助言を頂けるとありがたいです。


和裁士・和裁技能士は減っている!

平成15年度から30年度までの受験者数です。

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自分勝手な言い分ばかりで、読んでいる方々には不愉快な内容かもしれません。
ただ、和裁士や和裁技能士は年々減ってきていると思われます。
和裁技能検定の受験者数がどんどん減っているからです。
平成15年度には1142人だったのが、平成30年度には260人になっています。
受験者数の数であって、合格者数ではありません。
高い技術の衰退にもつながりかねません。

学ぶ学校もどんどん閉校していきました。
学びたいと思っても
自分に合った学び先を選ぶことすらできない可能性があります。

これからの和裁士・和裁技能士を育てるためにも
技術の高い職人さんを育てるためにも
この状況を変えていかなければ…
今踏ん張っている和裁士・和裁技能士、みんなが思っていることだと思います。
国家検定に合格しているにもかかわらず
自立して生活できない工賃、内職程度にしか扱われない工賃では
和裁士・和裁技能士っていいよと、おすすめできません。
今、生徒を集めている学校でも
和裁士・和裁技能士を女性の内職としか思っていないような扱いです。

ご主人の扶養の範囲で働きたいから
安い工賃でも良いという考え方、間違ってませんか。
1枚仕立ててこれまでの2枚、3枚分の工賃がいただけたら
1枚、2枚の仕立てにかかる時間を
自分の自由な時間に使えるのですよ。
その方が、ずっと良い気がします。

これまでも、和裁士会や業界の方々が
色々な方法で頑張ってくれて、働きかけてくれていたと思います。
今更、個人個人の和裁士・和裁技能士が話し合って
どこかに働きかけたとして、何も変わらないかもしれないし
働きかける前に、やっぱり無理ねって諦めてしまうかもしれません。
でも、このまま見ているだけでは危機感ばかりが募ります。

今は、距離的に離れている仲間とも
簡単に話し合うことはできます。
みんなで話して、アイデアや情報を持ち寄っていたら
そこから何かが始まるかもしれません。


技術の格差

正直なところ、技術の格差はあると思います。
同じ一級和裁技能士でも、ずっと仕事をしていた人と
しばらく休んでいた人とで違うでしょう。
のんびりやっていた一級和裁技能士よりも
向上心の高い二級和裁技能士の方が、技術が上のこともあるでしょう。
技能検定を受けていないけど、技術が高い方もいるでしょう。
なので、工賃を一律にというのは難しいし
価格競争があって当たり前の世の中なので
全国共通工賃を決めるのも難しい。
着物の形にできる職人に払うのが、最低工賃という考え方なのか?
う〜ん…難しいですよね。
参考価格、最低価格、全国平均価格…
どこにベクトルを向ければ良いのか、ますます分からなくなってきました。


昔の人はどうだったのか

昭和のはじめ頃までは、自分や家族が着る浴衣や普段着物は
お母さんや、おばあちゃんが縫っていたと思います。
そして、高級なものは、プロにお任せしていたのでしょう。
江戸時代でも、そんな感じだったのでしょう。

今では、浴衣や普段着物を縫えない人がほとんどです。
そういうものに、高い仕立て代は払いたくない、
払えないという気持ちもわかります。

今でも振袖や留袖、訪問着など、海外縫製が盛んですが
これからは、ますます海外縫製が増えて
普段着物は海外縫製へ
技術の高い和裁士集団は、高級呉服の仕立てへ
そういう風に差別化され、別れていくのかもしれません。
だとすると、技術の高い和裁士をしっかりと育てていかなければならないし
生き残りをかけて、技術を磨く努力が必要ですね。
海外縫製もバカにできない時代に入っているのだろうし
仕立ての良し悪しが見分けられないお客様が増えているので
海外縫製で十分という考えになっています。

ちなみに、海外縫製のお仕立て代としてお客様がお店に払っている金額と
独立して仕事をしている職人さんのお仕立て代と
実はそれほど変わらないと思いますよ。
お店が国内和裁士の仕立て代として提示している金額には
マージンが入っているので、海外縫製より高く感じるだけです。

強く思うのは、技術の高い職人さんに対して
真っ当な対価を払う呉服屋さんがいてくれなければ困るということです。
でも、呉服屋さんが技術の高い和裁士を探しているというのを
聞いたことがありません。
すでに、おかかえの和裁士さんを十分持っていて
探す必要がないのでしょうか?
それとも、呉服屋さんですら
着物の形になっていれば良いという考えでしょうか?
そこのところを聞いてみたいとも思います。

毎年開催されている東京キモノショーでの、和裁職人大賞は
本当に腕の良い職人さんに正当な対価が流れる仕組みを作りたいという思いで
企画されたものだと聞いています。
選ばれた中でも、三つ星、二つ星、一つ星というふうに評価されます。
こういう企画も、多くの方、職人に知ってもらいたいですね。
私も、初年度に三つ星をいただきましたが生活は一切変わっていません。
でも、少しの自信が持てたことが何よりのことでした。

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