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締めくくりはスターの誕生で

家からスーパーへの道には並木道があり、公園があり、川がある。曇り空を隠す木々のアーチだったり、子供と遊ぶご家族の姿だったり、静かな水の流れだったり、私の好きなものが詰め込まれているお気に入りのルート。ただこの日はスーパーへ向かう際はその風景を楽しめずに到着してしまった。
それは最近になって、世の中は明るいなあと思う様になったことと関係している。ものすごくいいことがあって気持ちが晴れやかというわけではなく、6月も終盤になって物理的に日の光が強く、光量が多くなったなと感じている。これは私にとってはちょっとした困りごと。というのも、いつからか光に満ち満ちた空間が苦手になってしまったのだ。例えば大きめの家電量販店。床一面が白いタイルで埋め尽くされ、寸分の狂いもなく等間隔に配置された蛍光灯の光を反射させている。そこではドアの覗き穴を通して見ている様に徐々に視界が狭くなっていって、呼応する様に語彙も少なくなってしまう。
そんな時はいつもだったらお気に入りのサングラスでフィルターを挟んでしまうのだが、よく晴れた日に限って忘れてしまう。

この土曜日はちょっと忙しい日だった。というのもずーっと追いかけていた、「ラップスタア誕生」という番組の優勝者が決まる日だったからだ。5000人を超える応募者の中から優勝者を幕張メッセのステージで決めるというビッグイベント。18時からの本戦を見逃すわけにはいかなかった。
この日の晩ご飯は草たっぷりのキーマカレーとカブと豚肉の煮物。キーマカレーには大葉とエゴマの葉と小ネギをたっぷりトッピングしている。オクシモロンさんというカレー屋さんのキーマカレーが大好きでよく真似して作っている。香草がたっぷり入っていて、口に入れるとスパイスと香草の香りが合流して、爽やかな空気が鼻を抜けていくのがたまらない。キーマカレーを作る時は真似して大葉とかをたっぷり入れるようにしている。なんてことない普通なカレーも特別に感じられるのでおすすめ。

葉っぱたっぷりのキーマカレー、カブと豚肉の煮物

ラップスタア誕生を見ながらご飯を食べていたけれど、途中から涙が止まらなくなってしまった。この2ヶ月半くらい番組を通して出場者を応援し続けてきて、半生や想いを知る機会があった。パフォーマンスや楽曲からそれらを心にぶつけられている気がしてきて、理性では濾過しきれない感情があった。
私はラッパーでもトラックメイカーでもない人間だけどHIPHOPは特殊だなと思う時がある。音楽ではハーモニーが大事だと学校で習ったことがあり、メロディーとの歌声の調和が重要なイメージがある。一方でHIPHOPには「ビートに乗る」という表現がある。私の中で近いのはドラマや演劇のシーンでセリフとともに音楽が流れているイメージ。自身が吐く言葉をメロディーと一つにするのではなく、音楽に自身の思いを後押しさせる、HIPHOPの力強さを表した表現だと思う。
ここでラップスタアになったkohjiyaも他の4人もこれからの日本のヒップホップを引っ張っていく人なのには間違い無くて、画面越しではあったけれどもスターたちの誕生に立ち会えて本当に良い土曜日だった。

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