新海典子

新海典子

最近の記事

遅すぎる入学式

この春、私は大学院に進学した。そのきっかけとなったのは、テレビでもしっかりお馴染みになった「不適切な保育」という言葉だ。人間いろいろな適性を持っている。しかし、人や世間というものは何を持って適正というのだろうか? みんな本当に頑張っているのに、現場の保育士はどれだけ、この言葉に怯えて毎日過ごしていることか。 なぜ働く人を支えて、決して高くない賃金で働いているのにと悔しくて。なんとかしたい。 でも、いち園長のできることはしれている。 「そうだ大学院に行こう!」 そうだ京都に行こ

    • 前に向って歩いていく

      #未来のためにできること、 どんなに科学が進歩しても、人間の命は、人間でコントロールすることはできない。産むことも死ぬことも人間の自由にはならない。 子どもの数よりペットの数が多くなったと聞いたとき、なぜ子どもよりペット数の方が多くなってしまったのだろうと思った。 ペットは癒してくれるから?子どもはいうこときかないから?好奇心いっぱいの背中。見なくても君の眼の輝きわかるよ。前に行こうとしている気持ちわかるよ。でも、少し怖いことも……。 大丈夫、ずっとその背中支えてあげるから安

      • 師範

        職場で習字教室の鉛筆がいっぱい置いてあった。誰か習字やっていたの?と言うと、若い同僚が私です。というので、「へえ、初段くらいとったの?」と尋ねると、「準師範です」と。 あらまあ、それは失礼しました。膿ある鷹は爪を隠すとは、まさにこのことか…。恐れ入りました。 それなら、職場の謹賀新年を書いてとお願いしました。その話を他の同僚と話していたら、書道にはいろいろ流派があるというので、「えっ書道やっていたの」と尋ねると、「ええまあ」と返事。「どのくらい?」と言うと、「一応師範まで持っ

        • イチョウのフリル

          幼い頃、憧れたフリルスカート。 こんなところに自然の織りなすフリルスカートを見つけた。今年はずっと暖かく紅葉の時を逸していた木々が、やっと冬の準備をする。 でも、待てよ!まだ暖かい!そんな戸惑いが、イチョウの色に現れて、何層にも色が重なる。 その色の重なりはレースの上にまた記事が重なるフリルスカートのように段々に積み重なる。 12月になり、イチョウはすっかり黄色に色づいて、身を結び、銀杏も大きな雨粒が降ってくるように、根本を覆う。 わずかな時間、一瞬の自然が織りなす美しさに心

          季節を半分こ

          玄関先にいつもその季節に咲いている花を置いている。 夏の間たくさん咲いてくれたハイビスカス🌺は今も花を咲かせてくれています。 もう、何年も寒い冬を越してきた、熟年ハイビスカスです。 今年の冬は寒くなるのが遅かったからでしょうか?いまだに蕾をつけてくれています。 「明日は咲いてくれるかな」と新聞を取りに行きながら、眺めるのが毎朝の楽しみです。 隣のシクラメンは年越しシクラメン。夏の間はじっと暑い日差しに耐えて、花を咲かせてくれました。 何となくハイビスカスに寄って行って、「寒く

          季節を半分こ

          タコから始めるたこ焼き

          タコ釣りに出かけて取れたタコ1匹。 ボウズと1匹はえらい違いだと、胸撫で下ろす友人に内臓出してもらったタコを持ち帰ってきた。一度冷凍した方が、滑りが取れるというので、凍らせた。 固まったたこをボールに入れて小麦粉をつけてザルに擦り付ける。足一本ずつ丁寧に滑りを取る。その後は、指の突っ込めるくらいの温度のお湯で茹でて、湯を捨てて蓋をして蒸す。 タコ釣り名人の秘伝の茹で方で、茹でたタコ。 タラバガニより威厳がある。死してなお、頭をピンとあげて睨みつける。迫力ある姿にこちらが恐れ入

          タコから始めるたこ焼き

          誰からかの贈り物

          家にあるポトスを花瓶に入れていたら、根が出てきた。 職場の玄関に飾ろうと、ホワイトアスパラガスの容器を持って行って差した。 植物は呼吸している。1日経つと泡がプツプツついた。 「生きてる」少し嬉しくなった。 翌日出勤してみると、誰からか花のプレゼントが投げ込まれていた。 来る時に摘んだ花だろう。うなだれながらもそっとおさまっている花。「きっと枯れてしまうだろう。でも少しそっとしておこう」せっかくの誰からかの贈り物だから。 翌日まさかのことが起きた。花が咲いていた。朝一番だけだ

          誰からかの贈り物

          田園のコラボ

          田植えが終わった田んぼ。私はこの時の田んぼが好きだ。 でもその田んぼが好きなのは私だけではなさそうだ。田んぼの中の生き物を狙ってやって来た来訪者たち。 数ある田んぼの中お互いの距離をとりながら、そっと佇む四羽。しきりに素早く嘴を突っ込んでは喉を動かす白鷺。 用水をじっと見つめ続ける川鵜。ゆっくり大きな体をゆっさゆっさと揺さぶりながら、餌を見定める青鷺。3種類4羽の距離感が絶妙。 思わずその姿をフレームに納める。鳥の多様性。考えて見れば、植物も動物も多様性の中で共に生きている。

          田園のコラボ

          平和のために

          鳩が平和の象徴だった時代。鳩も平和な日々だっただろう。 鳩がいれば、餌をあげていた時代。人と鳩は身近にいた。人間の食べ残しを待つ鳩。食べ残しを捨てずに済む。環境には優しい。 駅のベンチに座ると、昔の習性なのか周りに寄ってきてウロウロする。もらえないこともわかっているけれど…。 この頃鳩がいつも俯いて悲しげに見えた。 でも今日見た鳩は、コインロッカーの上に陣取って堂々としていた。駅名の後ろに陣取った鳩は、まるで駅長のように、高いところから人間を見下ろす。首を左右に動かし背筋を伸

          平和のために

          屋根より高い鯉のぼり🎏

          まもなく、五月の節句。いつも仕事に向かう途中に、元気よく泳いでいる鯉のぼりに元気をもらっています。 マンションでも見られなくなり、まして都会ではボールに泳ぐ鯉のぼりは皆無。 そんな中で、久しぶりに見つけた屋根より高い鯉のぼり。 歌は有名だが、見たことのない子どもが多いだろう。それにしても青空と鯉のぼり🎏はよく似合う。

          屋根より高い鯉のぼり🎏

          花の季節は短くて

          今年も牡丹をひと鉢買った。 気品ある牡丹を見ているとこっちも背筋が伸びる。たくさんの花をつけた牡丹は運悪く、雨の続く時に、満開を迎えた。 柔らかい花だけに花びらに雨の重さが響く。 「お願い、今降らないで」と言ってもやめてはくれない。水も滴るいい牡丹まではいかないが、植物には雨は惠なのかもしれない。 花の美しさは、牡丹にとっては関係ない。水をたっぷり吸って、生命を維持することが大切なことなのかも。花が終わり花柄を剪定した。 葉だけになった牡丹もやはり気品が溢れていた。 テレビ

          花の季節は短くて

          さよなら、金魚池

          2年通った職場。人間関係や仕事量共に限界ギリギリで、いつ身体を壊しても、心が折れてもおかしくなかった。 でも毎日通った。その道すがらにあったのが、金魚池。赴任した時も、何でこの勤務地になったのか、不満が拭いされないまま初出勤。 バス停から職場に向かう途中に謎の池が…。 「金魚池」何これ?思わずクスッと笑った。こんなに気持ちが沈んでいても、人は笑えるのだ。その名の通り、中には金魚がいた。でも大きさは鯉くらいのものだ。「金魚って呼ぶには大き過ぎ」思わず1人で突っ込む。 それから2

          さよなら、金魚池

          輪を重ねて作る

          自然はちゃんと一年のサイクルを知っている。通勤途中や散歩しながら見る風景では、こんなところに、こんな花があった?と思う花がある。枝だけになって枯れたように見えるもの、全てがなくなってしまったように思えるもの、様々なものがあるけれど、根っこは生きている。 中古住宅を購入してからは、庭に苗木を植えることを楽しみにしてきた。買ったばかり四季桜🌸、一目惚れした赤猫柳。前の住人が植えていかれた山茶花。プランターのこぼれ種から芽を出して育ち過ぎた小松菜の花。特に世話もしていなくても、芽を

          輪を重ねて作る

          髪も伸びるか

          先回、髪を切った話を書いた。さて、周りの反応は…。 働いるところの子どもたちは、アッ髪切った?とすぐに立ち止まる。 そして私の周りをぐるりとひと回り。 「後ろの髪切ったね」「???全部切ったんだけど」と思ったけれど。 子どもにとっては後ろの長い髪がなくなったことが一番印象に残ったのだろう。なんだか笑えた。 「かわいい😍」子どもたちの反応はまずまず。 子どもは正直だから、少しウキウキ。 大人は?と言うと、2割くらいの人が、髪切りましたか?と声をかけてきた。気がついても、みんなが

          髪も伸びるか

          見方を変えれば

          髪を切った。15年ぶりくらいだろうか。ロングからいきなり20センチくらい切って、肩にかかる程度に短く。 眼鏡を取って切ってもらった。 切り終わって、眼鏡を掛けると、そこにいたのは別人だった。 「あら、初めまして」鏡に写った自分と目が合う。ふと、自分の高校時代の顔を思い出す。 毛先にかけたパーマの部分を切ってしまったので、ストレートでちびまる子ちゃんのようなおかっぱ頭。 若返ったような、定番のおばさんになったような、複雑な気分。 お願いした髪型は、石田ゆり子。完成した姿は…。ま

          見方を変えれば

          春を告げる幸せの花

          年末に頂いた福寿草。ずっと芽は出るものの、花が咲かなくて、このまま枯れてしまうのでは?と思っていた。 心配になって調べてみると、日が当たるところで花が咲くと書いてあった。いつも北側の朝夕必ず見れる玄関の脇に置いてあったものを、南側の庭に持っていった。 するとその日の昼間、春の日差しをキラキラ浴びて花が開いた。まるで少しでも多くお日様を浴びられるように花びらが開いた。 お日様のおかげか、ちょうど咲くタイミングだったのか見事に咲いた福寿草は幸せを運んでくれました。 読者のら皆様に

          春を告げる幸せの花