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輪を重ねて作る

自然はちゃんと一年のサイクルを知っている。通勤途中や散歩しながら見る風景では、こんなところに、こんな花があった?と思う花がある。枝だけになって枯れたように見えるもの、全てがなくなってしまったように思えるもの、様々なものがあるけれど、根っこは生きている。
中古住宅を購入してからは、庭に苗木を植えることを楽しみにしてきた。買ったばかり四季桜🌸、一目惚れした赤猫柳。前の住人が植えていかれた山茶花。プランターのこぼれ種から芽を出して育ち過ぎた小松菜の花。特に世話もしていなくても、芽を出して花を咲かせる。
一年というサイクルを知らせるように花が咲く。また一年が経ったのだと思う。そして木や球根には一年の月日が刻まれる。
街路樹の根本から、脇に伸ばした枝は、通行の邪魔になるためか根本から切り倒されていた。そんな切り口にもわずかな年輪が。その年輪が重なりあって、まるでお猿の顔のように見える。「ぼく、生きてますって」と言わんばかりの表情にクスッと笑う。思わずカメラを向けてその表情を収める。
足元からいつもじっと見られているような気になった。

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