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平和のために

鳩が平和の象徴だった時代。鳩も平和な日々だっただろう。
鳩がいれば、餌をあげていた時代。人と鳩は身近にいた。人間の食べ残しを待つ鳩。食べ残しを捨てずに済む。環境には優しい。
駅のベンチに座ると、昔の習性なのか周りに寄ってきてウロウロする。もらえないこともわかっているけれど…。
この頃鳩がいつも俯いて悲しげに見えた。
でも今日見た鳩は、コインロッカーの上に陣取って堂々としていた。駅名の後ろに陣取った鳩は、まるで駅長のように、高いところから人間を見下ろす。首を左右に動かし背筋を伸ばす。
「発車往来」そんな声が聞こえて来そうだ。
鳩の平和な日常がなくなり、いつも怯えている。今度のサミットでも平和が問われることだろう。世界中の誰もが、争いごとに怯えることのない世の中になったらいいなと思う。

電車の待ち時間に駅付近のベンチに座る。水筒のコーヒーに頂きもののラスクのお菓子の個包装をひとつ食べた。
「寄って来た鳩には餌はあげてはいけない」
スカートにこぼれたお菓子のカスを手で払ってベンチを立つ。「餌はあげていませんよ!」
周りの視線に怯えながら、歩き始める。鳩たちは落ちたお菓子のカスを奪いあった。
平和な昼下がり。駅長鳩さん見逃してね。そういいながら、駅長鳩の前を通過して地下鉄の改札に向かう。

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