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避暑

暑い。

半端じゃないくらい今年の夏は暑い。8月が終わったというのに外に出るのも辛い日が続いている。

今年の夏は記録的な猛暑だったようだが、それを差し置いても私が暑い暑い暑いと喚いているのには理由がある。

それは、

例年8月~9月上旬は避暑地で過ごしており、関東で夏を過ごすのは数年振りだからだ。

「避暑地で夏を過ごす」と聞くと、多くの人はブルジョア階級の金持ちが軽井沢あたりの別荘でテニスやバーベキューをして過ごしているシーンを連想するだろう。

しかし、私がいた「避暑地」は同じ長野県でも菅平や湯の丸高原などの「合宿地」である。

そう、私が避暑地にいたのは、優雅な夏を過ごすためではなく自身を極限まで追い込む合宿に参加するためである。

上述した地域は陸上長距離合宿のメッカであり、夏は多くのチームが同地で合宿をする。標高が高く、気温が低いから、長距離種目のトレーニングを行うための最適な環境が整っているのだ。

私も現役だった去年までは、夏休みの大半を合宿に費やす生活を送っていた。そのため、ここ数年は最も暑い季節を避暑地で過ごしていたのだ。

だから、関東の夏の暑さは堪える。めちゃくちゃ。

菅平や湯の丸では8月でも6時前から始まる朝練習の際は上下ウィンドブレーカーを着ていた。日中でもエアコン無しで快適に過ごせる環境だった。

そんなところにいた人間が「下界」の夏を乗り切れるわけがないのだ。少しでも暑さを避けるため、朝か夕方に走っているが暑い。暑すぎる。

現役を引退したことに後悔が全くないと言えば嘘になるが、さほど未練はない。ただ、久しぶりに避暑地に行かない今年の夏を過ごして、少しだけ後悔が増した気がする。いや、涼しいとはいえ朝5時からフルマラソン走らされたり、1日60キロ走らされるのはもう勘弁かな。

現役時代は大した結果を残せず、しょっちゅう自己嫌悪に陥っていたが、走って走って走った合宿の最中だけは自分を褒めてた気がする。あの時に身に付けた競技力は消滅してしまったが、筋肉痛と疲労に耐えて動かない体を必死に動かそうとした経験は、今後の人生で活きると信じたい。

今年の夏はエアコンを上手に使って乗り切って、来年、コロナが終息したら夏合宿で訪れた地を再訪したい。シューズは持たずに。

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