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学校とスマホの付き合い方を考える

 来年度から、一人一台端末を始める高校が本格的に増えてきます。その際、PCとタブレットPCのみとするか、スマホもOKとするかは学校によって様々です。20221年3月に発表された文部科学省の資料によると「学習者用コンピュータ端末」としてスマホは不十分であるという見解が示されています。だからといって、今まで通りスマホの校内使用は基本禁止、みんなでPCを買おう、というのは間違っていると考えています。その理由と、今後どのようにスマホと付き合っていくべきかについて述べていきます。

スマホの校内使用禁止に反対の理由

 2021年、スマホの所有率は10代・20代で98%となっています。つまり、若者の必須アイテムになっており、普段のネットサーフィンもスマホで行われています。最も慣れ親しまれたデバイスであり、機能制限があるとはいえPCで出来ることはスマホでもできます。持ち運びのしやすさや省スペースであることを考えると、PCより使い勝手が良い場面もあります。「学習者用コンピュータ端末」というのは、あくまで個別最適で協働的な学習を実現するための手段に過ぎないので、端末が何かは本質ではないのです。実現したい目的に対し、PCが最適ならばPCを使うべきであるように、スマホが最適ならばスマホを使えばよいのです。時には、PCとスマホを併用した方がいい場面もあるでしょう。教員のすべきことは、目的実現のための最適な手段を判断し、使えるような生徒を育てることであって、生徒の選択肢を制限することではないはずです。

スマホをどのように活用させていくか

省スペースを活かす

 学校の生徒用の机は狭いので、スマホで済むことはスマホで済ませた方がやりやすいです。例えば、何かを調べたり、英語などのリスニング教材を聴く、といったことはスマホで十分でしょう。メールチェックやちょっとした連絡もスマホの方がやりやすいですし、動画撮影や音声の録音もスマホの方が手軽にできます。スマホの大画面化も進んでいるので、PDFの閲覧やデジタル教科書もスマホで見れれば十分ということもあるかもしれません。

常に持ち歩いていることを活かす

 さらに、GIGAスクール構想の先には教育DXがあり、そこには学習者ログを活用してエビデンスベースの教育を実現するという目的もあります。例えば、学習時間の入力などはスマホで行われていることがほとんどですし、いつでも持ち歩くスマホでログを録るというのはいうのは実に理にかなっています。

スマホが最適解でない場合

 では、スマホではダメな場面を考えていきます。それは、何か文章や資料を作成する場面です。文字入力はスマホのフリック入力よりもキーボードのタイピング入力の方が圧倒的に速くできます。スライドなどの資料作成については、そもそもスマホ版のアプリだと制限がかかっていて、やりたい編集ができない場合があります。PC版はそのような制限がないため、より自由な編集作業が可能です。よく言われる授業動画の閲覧ですが、確かにPCやタブレットPCなどの方が画面が大きくて見やすいです。しかし、動画作成側からすると生徒がスマホで閲覧することも想定して工夫して制作するのではないでしょうか。そのため、動画閲覧についてはスマホだとダメとは言い難いと考えています。

まとめ

 これからは、PC・タブレットPC・スマホを目的によって使い分けられるような生徒を育てていくべきです。さらに言うと、デジタルとアナログも適材適所で使い分けられるようにするべきです。「スマホだけではダメ」ですが、「スマホがダメ」という旧態依然とした教育にならないように注意したいと考えています。


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