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コンサル組織の情報屋さんに:メディア運営で学んだ組織の動かし方(「ハイアウトプットマネジメント」)

BtoBメディアの運営に関わって3年、社会人になって2年目を迎えた。

社会2年目には後輩やインターン生が加わったこともあり、人をマネジメントするような立場に昇格(?)した。

今回そんな私が、「ハイアウトプットマネジメント:人を育て、成果を最大にするマネジメント」を読んでみた。


ここには、マネジャーとしてチーム全体の成果を最大化させるための方法が丁寧に整理されていた。これまでの仕事の仕方を反省しつつ、自分のメディア運営業務と照らし合わせながらまとめてみた。

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著者であるアンドュー・S・グローブ氏は、インテルの元SEOである。

世界を代表する半導体メーカーである同社の経営の秘訣が詰まった本書は、今もシリコンバレーの起業家から連綿と読み継がれているらしい。

この本の内容は、別に機械メーカーではなくても、業界関係なく応用が効かせられるほど、本質しか語っていないと感じた。

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■■生産の原則

■製造とは基本的にプロセス(加工・処理)、アセンブリー(組み立て・まとめ)、テスト(試験・実験)の3工程から成り立つ

■そのなかでもリミッティングステップ(制約的箇所)を掴め

■人手をかけたほど付加価値が高まるので、不良品対応は初期段階で行え

記事作成はまさにこの過程をたどる。

SEOキーワードやニュースから記事の方向性を定める。そこから有識者や公式発表、先行事例を集めてくる(プロセス)。

編集担当は自分の仮説を編集部メンバーや現場コンサルタントとすり合わせ、トップ画像や文中イラストを揃えていく(アセンブリー)。

最後にアップしたもののビューやSNS言及数を追っていく。場合によっては投稿本数や文章表現を改める(テスト)。


リミッティングステップとは、作業のなかで一番手間だったり時間がかかる工程を指す。

記事作りでいえば、記事企画やコンサルタントとの意見のすり合わせといった、特定の人とアイデアが求められる作業はリミッティングステップ。

企画会議やヒアリングといった工数が求められるので、場所や時間を押さえて、共有可能なフォーマットを用意する。「記事ネタを3タイトル以上」「同ジャンルからは作らない」といったルールを敷いたりした。


■■経営管理とマネージャーの役割

■マネージャーのアウトプットとは、「自分の組織」と「自分の組織の影響が及ぶ隣接諸組織」のアウトプットを指す(つまり、影響範囲を広く意識しないとダメ)

アウトプット向上につながる情報収集と提供が主な仕事となる。そのため一連のいろいろな活動に従事する必要がある。(例:経営会議や部下との電話、他社との会合なども、重要な仕事である)

■(定義を広げて言うなら)有益な情報やノウハウを持ち、組織に与える影響の大きい個人もミドルマネージャーとして捉えられる

■時間は有限。マネージャーはテコ作用の最大化を考えろ。具体的には下記。
・例)大勢が一人のマネージャーによって影響を受ける場合
・例)ある人の長きにわたる活動が、特定のマネージャーの端的だが貴重なアドバイスで上手くいく場合
・例)ユニークで貴重なノウハウを提供する個人によって、大きな組織の仕事が影響を受ける場合

メディア運営はぶっちゃけ作業が多い。イラスト作成や記事ライティング、入稿、全部を特定の人がやっていたら時間がかかってしょうがない。

そのため、私は「自分たちで必ずしもやらなくて良いこと」を外部パートナーさんやインターン生に振るようにしていた。

その分、編集組織や事業部に何を残せるかを考えていた。本の定義では、ミドルマネージャーとは特有の知識やノウハウを持つことで、人に与える影響が大きい人を指すが、ちょうどこの役割を担うようにしていた。

たとえば、SNSの最新情報や先進的な事例を持ったツールベンダーさんに話を聞きに行き、記事や資料にまとめていた。それを自社のコンサルティング業務に活用するまでをモニターした。

また、そもそも記事を作り、読者のメールアドレスを取得し、広告を打ち、セミナーに招待するといった一連のコンテンツマーケティングの手法が部内で価値のある情報になっていた。


自分の役割は情報屋さんであり、編集部メンバーには情報屋さんとして部署に貢献する動きを求めていた。結果論だが、そうして情報を公開し続けたことで、お問い合わせ数も増えていった。


■■チームの規模、かたち

■ハイブリッド組織とは、使命中心型組織(事業の売り上げにコミットする部隊)と機能別組織(社内の下請けとして経理やセールスなど役割を持つ部隊)との融合体

■二重所属や同僚同士による意思決定

うちの会社ガイアックスがハイブリッド組織を体現しているかもしれない。

私が新卒で入ったこの会社は部署が15つ程度あり、それぞれ独立採算制をとっている。どの部署にもそれぞれの売り上げ目標がある。

ハイブリッド組織という文脈で見るなら、たとえば本部として経理はいるが、各部署にも(おそらく)配置されている点。その本部経理が部署経理と連携して勉強会をしている様子を目撃したことがある。

また、部署経理の方が本部にレンタル移籍して、本部エンジニアからスプレッドシートや専用ツールを学んでいる。


一方、二重所属について、私はマーケティング部門でメディア運営する傍ら、SNSコンサルティングの現場感を掴むためコンサルタント部門にも属している。

メディア編集畑しか歩まずに、中身のコンサル業務をしないのは何ともお粗末。そのため、今は上司のコンサルタントやクライアントに日々揉まれている。

そして、もっと現場の経験をメディアに反映させたいと思っている。


■■部下のアウトプット最大化の施策

■部下の動機づけと訓練も上司(マネージャー)の大切な仕事である
・能力と達成意欲の両方を上げないといけない
・本人が超えられるかどうかぎりぎりの壁に設計して、ストレッチさせるのが効果的である

■部下にはタスク習熟度に合わせたマネジメントを行え。ステップは下記。
・上司がタスクの構造化まで行い、細かく噛み砕く
・互いにコミュニケーションを重ねて、経過を追う
・部下の自主性任せて、上司は目標を経過観察する(触れすぎない)


■部下の査定は業績を査定し、伝えるところまで
・やったことを書き出す(部下の強み、弱みをあぶり出す)
・各項目の関係性を見て、余分なものを消す(多すぎると伝わらないから)
・注意点3つ:
 ①それを伝えることで業績が改善するかどうか
 ②一回で伝えるべき内容か(項目が多すぎないか)
 ③具体的な例証を踏まえてあるか


■訓練はテコ作用が大きいため、上司の大切な仕事である。そのため首尾一貫しており、信頼してもらえる質が大事。
・種類は2つ。
 ①新人に職務遂行のための技能を授ける
 ②組織内の人に新しい知識や原則、技能を授ける
・手法
 ①項目を出す、
 ②教えられる人を探す、
 ③まずは小さく始める、
 ④批評を受け改善する

インターン生を今まで5人ほど見てきたが、「達成意欲」を駆り立てるのは本当に難しい。

採用時点で分からなかったが、雇ってみてから意外に達成意欲が湧いてこない、なんて学生が複数いた(すぐ辞めた・辞めてもらった)。

そもそも部署の目標に、学生自身の目標をすり合わせるOKR的アプローチが上手くいかない。

というもの、学生が「何となく社会人生活を学びたい」「ベンチャーでしごかれたい」といった解像度でしか将来を見れてない場合が多いためだ。


今持っている一応の解で言うと「能力を上げるなかで、達成意欲も湧いてくるように仕事を振っていく」ことだ。業務のMTGと個人レビューで、仕事能力とゴールの意識を養うスタイル。

私は部署で初めてインターン上がりの正社員だが、目標なんて「Webメディア運営に携わりたい」程度しか最初はなかった。

複数の上司にしごかれながら、「意地でも成功させて業界に名前を売り込んでやる」と躍起になっていたら少しずつ成果を出せるようになった。

上司はタスク習熟度に合わせた仕事の振り方が上手かった(一方で、業績の査定とかは多分得意じゃなさそう)。ここはステップ別で書かれていたのですぐ実践できそう。


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