肉親が癌になって

❗️あくまで一例です。数多の種類の悪性腫瘍の中でも稀なものです。また、たった一人に起きた出来事なので、判断材料にはしないでください❗️

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俺は癌だ。

楽しい学生生活を送っていたある日、突然メールが届いた。

一番最初に思ったことは......

「病理は⁉️」

正確に何と返信したかは覚えていない。

しかし、「患者である肉親の言葉」は正直、バックグラウンドのノイズ程度へと色褪せて脳には届かない「何か」と化した。

『病理のレポート』

これ以外は何も信じなかった。

何故って!?

実は、悪性っぽい細胞が偶発的に数個見つかることがある。しかし、実はアーチファクトであり、それ自体は「癌」という病名を意味しない場合もある。

第一、一言に「がん」と言ったところで、それは境界悪性のすっごくゆっくり進行するものから、白血病のように進行が速いものまである。

「癌」は病名ではなく、シンドロームの総称だと私は個人的に思っている。

だから「がん」という一言だけでは、何を意味しているかが明確ではない。

臓器を言われたところで、同じことだ。

たとえば乳がんだとしよう。

高齢でホルモンレセプター陽性、他に一つも予後不良因子がなければ、安心する。

術後(+放射線治療後)ホルモン療法をすれば、まぁ、基本的に相当生きれるだろう、と考えるからだ。

逆に、乳房に急性骨髄性白血病の髄外病変が見つかったのであれば、肝が冷える。治療は急がれるし、脳裏には移植の二文字がくっきり浮かぶ。(実際には、もっと莫大な情報と主治医チームの判断が重要であろう。)

だから、病理がやはり最も正確な情報かつ客観的なデータを示してくれる。

気持ちが乱れた時ほど、感情と距離を取り、客観的なデータに意識を集中した方が落ち着ける。

癌の診断を受けた家族はというと、もう、一回目の多剤併用大量化学療法を開始したと言ったんじゃないかな?

え?

じゃぁ、やっぱりヤバい奴っぽいのか?

症状は?

画像は?

病理のレポートが出るまでに、色々と情報を集めた...... 

記憶違いか?

病理が出揃うまでに普通治療するか? というか、できるか?

ただ、手元になかっただけか?

そして、肝心の病理レポート。

「Ki67が>5」

え!?

5未満??

このタイプの腫瘍では、20以上だったかじゃないと効かないはずでしょ?

え、は!?

5未満??

嘘でしょ?

原発そう取り切ったんでしょ?

何で多剤併用で、しかも高容量の化学療法使ってるの?

(あれ? 肝転移あったんだっけ? 何処かの時点ではあったけど...... 初期治療の時点でどうだったかは覚えていない。)

この辺の心の声は、もちろん伝えていない。

悪性度が高いであろうと予想されていたのだろう。

私の見間違い??

再度確認する。

いや、5未満。

なので、「Ki67が5未満って書いてあるけど、主治医がこの点も加味して抗がん剤の効果をどう考えているのか聞いてみた方が良いと思うよ」

とだけ伝えた。

主治医との相談が終わるまでは、もちろん本人には何も細かい考えやリスクについても言わなかった。

私は状況を的確には把握していないだろう。

第一、主治医との信頼関係は大切だ。

後日、多剤併用大量化学療法は中止となった。

そして、別の薬剤へと変更された。

たしか......

その後も、腫瘍の状況を適宜診ながら、効果がありそうな薬剤の投与が行われた。

結局、診断から実に7年も生きれたのだ。

最期、もしも大量抗がん剤治療を最初に完遂していたら、治っていたのではないかと後悔を口にしたのを聞いた。

Ki 67が5未満であれば、少なくとも専門家に問い合わせて聞いた限りでは、効果が見込めないと断言されていた。

ただ、それでも、副作用は出る。

口では、Ki67が治療に影響を与えるかもしれないから、主治医に聞いた方がいいとだけ伝えたが......

私は、咄嗟に感染症で死んでしまうのはいけないと思い、内心では最初の投薬後強く反対の念を抱いた。

患者家族として、第一感では「感染症はマズイ!」とだけ思った。

しかし、その後の他の副作用が少なめで効果がある程度期待できそうな薬剤には賛成した。

実は、これで、二人目だ。

何がって!?

がんを患っても、強い治療を受けなかった身内が二人目になる。

祖母は診断が遅く、ステージIV。

即ち、ほぼほぼ最期の方まで癌が未治療だった。

しかし、それでも恐らくは何かしらの自覚症状を自覚したであろう時期から、5、6年は生きれた。

大腿骨(脚の骨)を骨折して、寝たきりになってしまってからは、わりと早かった。

歩けるって重要だなぁ。

しかし、それまでは...... 

いや、辛い症状は見えないように隠していただけかな?

孫には、特に見せまいとするか......

それでも、たまに思うことは確かにある。

ゆっくり、ゆっくり進行する「癌」に分類される腫瘍において、寿命とQOLを考えたら、何が最善なのだろう、と。

これらは、単に例外なのだろうか?

そして、たまにふと思う。Ki67が5未満というのは、見間違いではなかったよね?

都度、病理レポートの写真を眺めて、自分を納得させている。

長いこと苦しめたのかな?

寿命を延ばせたのかな?

なんか、判断を間違えたかな?

でも、長く生きれたんだから!

これが、もっと分化の早い癌で、患者が若くて体力がある場合には、きっと考え方も違うだろう。

そう言えば、固形腫瘍は、小児と中高年以上の年齢層しか、ほとんど診てないな。

情報は圧倒的に不足しているだろう。

結論は出ないけど、たまに思う。

何がベストなのだろう、と。

そういう意味で、↓↓の本は結構、なんだろう...... 色々と思うことがあるんだと思う。

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