5年ぶりの自由
スタートを切った瞬間に再発。
それを見て、「張り切り過ぎた」とか、「頑張り過ぎた」とか言う人がいた。
実際は、何年も、いや十何年も我慢し続けていたの。
やりたいこと、楽しいこと、ただ皆と合間見えること。
抗がん剤治療しながら、闘病しながら修学し、移植し、再発して。
再発時はコクーンのように、微塵も動けず、いつか回復して動き出せる時のために、内にエネルギーを溜め込むの。
ただ、目標のスタートラインに立つためだけに、いかに我慢していたか。
それが、「もう自由だよ」、「自分を抑え込まなくていいんだよ」となった時……
そうだな、不死鳥の羽ばたきなどと言ったら、聞こえはいいかもしれない。
実際には、押さえ付けていた野生動物の抑制を解放した瞬間に似ているかもしれない。
生きることを部分的に保留してきたのかもしれない。
それを再び、生きていいと許された瞬間のような喜びかもしれない。
そこで、極限を超えた我慢を辞めることが許された瞬間、少しタカが外れたのかもしれない。
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