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【ゲスト登壇】standfmの視聴者をお招きしてスポーツビジネスを語りました

皆さん、こんにちは。神村です。

前回は、いつもとは異なるスタイルで、マンガでわかるシリーズ等を取り上げながら名著と言われる本を3冊紹介しました。
今回は、いつもこの放送を聞いてくれている方をゲストにお招きする一環として、馬渕さんに参加いただきながら、今後のスポーツビジネスについて深堀っていきたいと思います。
(本稿は「Off the pitch talk 」第111~113回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー小出さん&馬渕さん、文責:神田さんでお届けします)

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#111 : https://stand.fm/episodes/60d99df4b22b1100068273ab
#112 : https://stand.fm/episodes/60dc36b50f804f00064ad5e6
#113 : https://stand.fm/episodes/60dedca90f804f00064b0529

スポーツは決して特別じゃない

(神村):まずは簡単に自己紹介からお願いしてもいいですか。
(馬渕):はい。馬渕誠太と申します。普段は社会人としてスタートアップの会社でヒューマンキャピタリストとして働いています。
(神村):えっ、そうなの!?良く知ってる会社だよ!人材会社だったら、俺が馬渕君に聞いてみたい質問も色々浮かんできたな。笑 では、早速始めようか。
(馬渕):はい。まずはこのような貴重な機会を頂き本当にありがとうございます。今日、僕が一番お伺いしたいのは、今後のスポーツ業界がどうなっていくのか?という点です。このコロナ禍で、各スポーツ界では経営的にも苦しい状況かと思うのですが、そもそもスポーツ業界が儲かる仕組みってどうやったら作れるのでしょうか?例えば、日本における主なスポーツ企業の収入源は広告収入、チケット収入、放映権などがありますが、このビジネスモデルを前提とすべきなのか、あるいは何か新しい収入源を生み出すべきなのか等、スポーツ業界が儲かるために何が必要か、お考えを聞きたいです。
(神村):僕の場合は Jクラブに所属しているので、今回はサッカーを前提に話しますが、確かに主な収入源は広告やチケット、放映権なのは間違いありません。ただ、結局どのクラブでも言えるのは、何に軸足を置きたいか?やどれくらいの立ち位置に居たいのか?によって変わるんだろうなと感じ始めています。チケット収入だって、スタジアムのキャパシティや入場者数の増減によって大きく変動するので、スポンサー企業を増やすための法人営業で、どれだけ稼ぐかが大事です。また、Jクラブは地方に点在しているので、都市圏と地方の経済格差は事実としてあります。
(馬渕):一般企業でも、ビジョンやミッションを掲げるのって大事だと思うのですが、実際スポーツクラブがどれくらい大きなビジョンを掲げられるかというところも気になります。
(神村):例えば人材業界でも、顧客ターゲットが企業によって違ったりしますが、ビジョンは各企業の事業内容とある程度はリンクしていると思います。Jクラブでは、地域密着型の経営をビジョン・ミッションに掲げるクラブが大半ですが、それを形にする事業の例では、地元の子供たちの教育事業に携わる関わり方などがあります。ですが、反対に内(地元)より外(海外・世界)を見据えていくクラブがあっても全然良いと思いますし、最終的には経営者次第だと思います。
(馬渕):そうなんですね。経営の観点では、やはり優秀な社員がスポーツ業界にどれだけ入るかも重要だと思います。現に、スポーツ業界には優秀な社員も数多くいらっしゃると思いますが、まだまだ足りないのが実情かと。そもそも、優秀な人材が入り辛い根本の原因は何だと思いますか?
(神村):スポーツ業界って、そんなに入り辛いのかな?もしかしたら、それ自体が固定観念かもしれないよね。たしかに給与水準の問題、地方勤務の可能性が高いといったハードルがあるのは事実ですが、もう少し俯瞰してみればスポーツ業界は決して特別な存在ではなくて、数多ある転職先の一つの選択肢でしかないと思うんです。企業規模の実態は従業員20~30人程度、年間売上高も10数億円しかない、いわば零細企業と言っても過言ではありません。それくらいの規模の会社では、スポーツであるなしに関わらず、たとえば年収1,000万円を期待するのは難しいと言わざるを得ません。
(馬渕):僕の周りの優秀な社員でも、「スポーツ業界って年収低いよね」と言っているのは事実ですし、実際に高くないという声も聞くので気になってましたが、神村さんの話をお聞きして納得しました。ところで最近、トークン等の新しいビジネスがスポーツ界に誕生していますが、こちらに関してどのようにお考えですか?
(神村):スポーツ業界の主たる収入にはならないかもしれないけれど、収入を増やす手段としては今後も新しいものが沢山出てくる可能性はあるでしょうね。
(馬渕):そうですね。それでは最後にお伺いしたいのですが、神村さんがスポーツ業界を通じて最終的に成し遂げたいことは何でしょうか?
(神村):僕は元々人材業界出身ということもあったので、企業に属する人や組織に焦点を当てて、成長するための基盤を固めていきたいです。語弊を恐れず言えば、僕ってあまり”スポーツを通じて”という部分にあまり拘りが無いんですよ。Jクラブに限らず、どんな企業に所属したとしても、社員の成長があって初めて企業の発展があると思っています。 本来は、社員の成長→企業の成長→業界全体の成長と波及していく筈なんです。ただ、現状のスポーツ業界は緊急かつ重要なことにしか手が回っていないので、緊急じゃないけど重要なことにもっと労力を割いて基盤を固めることが必要だと考えています。
(馬渕):ありがとうございます!とても勉強になりました。

来季に向けて、今からすべき活動とは

(小出):今度は僕が個人的に気になることをお伺いしたいと思います。オフザピッチトークの放送が始まって早1年が経とうとしていますが、当初の放送で予算についての話がありました。当時は僕も社会人なりたてで全くイメージが持てなかったんですが、神村さんとの対談を重ねてきたおかげで段々とビジネスの仕組みが分かってきました。今シーズンも半ばに差し掛かる中で、そろそろ来年の予算を考えなきゃいけない頃だと思うのですが、どういう状況なのでしょうか?
(神村):もう1年なのか!早いね。予算についての理想を言えば、今期の営業目標は7月中には達成しておきたいですし、仮に達成できてなくても達成の目処は立てておきたいです。具体的な予算の数字を組み立てていくのはもう少し先でも良いけれども、来期を見据えた営業活動そのものは早く始めることに越したことはありません。
(小出):そうですよね。ただ今さら思うのが、シーズン自体は途中で後半戦の状況も全く予想できない中で、どのように来期のことを見据えて活動していくのでしょうか?神村さんは現在、SDGs 関連事業を伸ばそうとされていますが、その方向は変わりませんか?
(神村):サッカークラブの法人営業で言えば、ユニフォームのスポンサーに載る企業は大口顧客に該当します。何千万という契約に繋がるという意味で、まず大口顧客のスポンサー金額をどれくらい増やせるのかを考えなければなりません。もしユニフォームに空き枠があれば、それこそ新規顧客を開拓することが必要です。また、既存顧客に対しても、先方の決算期を把握したうえで「来期の予算をいつ頃策定するか」と定期的に確認することが大切です。まさにこれは緊急じゃないけど重要なことなんですが、今期目標が達成されてないのに来期の準備をするなど時期尚早といって、緊急かつ重要なこと(今期目標)にしかリソースを割けないというのが多くのJクラブの実情と言えます
(小出):その点も気になっていて、チーム全体のリソース配分が一つの目標に向いてしまわないようにバランスを保つことが大切だと思うのですが、具体的にどのように割り振りをするのでしょうか?
(神村):基本的には個々のメンバーにタスクを割り当てる際、どれくらいリソースを当てられるかを事前に当人(または上席者)に聞いて、営業メンバー同士で共有をしていくことが重要だと思っています。こうすることで、あるメンバーの結果が芳しくない時には別のメンバーがカバーし合える環境が整うわけです。
(小出):まずはチーム全体の目標があり、それを達成するために個人目標を設定する、また必要であればメンバー間でサポートし合うということですね。
(神村):そう。各人の目標は数値化されているので、たとえば今年の目標が100だとして、今期の受注見込を含め80までは見えているとします。では、残りの20を他の人がカバーするのか、あるいは当人が新規開拓して頑張るのか、という議論が自然にできると良いですよね。大事なのは数字の共有とメンバー間のチームプレーです
(小出):それって、営業に限らず他の部署でも同じですよね?
(神村):その通り。そんな風土が組織全体で醸成されてくれば、結果的に会社の成長に繋がると思います。
(小出):僕は個人でトレーナーの活動をしていますが、今期の目標はいつまでに達成するか、また来期に向けての活動をいつ始めるべきかのイメージがよりクリアになったので、しっかりと先手を打った準備をしていきたいと思います。ありがとうございました。

結果が出ない時こそ数値を基にした分析が大事

(小出):ところで、今シーズンはJクラブの監督交代がとても多いと感じます。監督交代の良し悪しは別にして、辞任した監督の中にも2~3年単位でのチーム作り、構想があったと思うんです。もちろん、結果が出なくて途中解任されたのは事実だと思います。ただ、その構想の途中(1~2年目)で結果が出ないことが理由で解任されてしまうのは、正直かなり厳しいという印象です。同様のことがビジネスでも有り得ると思いますが、2~3年かけて自分のビジョンを達成するためには、途中経過も含めどのような姿勢で臨めば良いのか、神村さんにお聞きしたいです。
(神村):難しい質問だね(苦笑)まずは、監督自身の立場と監督を選ぶ側の立場が違うということを認識しないとね。監督自身の立場では、3年構想があるとしても、1年目の目標も有る筈ですよね。目標に対するパフォーマンス(結果)を客観的に測る指標があると思うんです。例えば、3年で J1 昇格を目指す J2 のチームがあるとしたら、「1年目で順位は何位を目指す」とか、「勝ち点いくつが必要」とかね。そのうえで、一つではなく複数の要素を鑑みて解任されるケースが大半だと思います。よく、単に順位が悪いから監督を変えたと見えることもあるけど、監督が変わったからと言って順位が上がる保証はないですからね。監督を選ぶ(フロント側)からすれば、なぜ今交代させるのかの根拠がないと、次の監督を選ぶ基準も見えないわけです。フロント側には、論理性と強い決断力が求められます。
(小出):フロント側にせよ現場側にせよ、数字の根拠を持つ必要があるということですね。
(神村):そうだね。あとは、なぜそうなったのかという原因を探ることかな。特に、チーム状態が悪い時こそ、なぜ負けているのかを冷静に分析できるかが大事です。負けが続いてどうしようもなくなって仕方なく交代するのか、「負けている原因は〇〇だから、いつまでに〇〇して改善する」という明確なポイントがあるかは大きな違いです。
(小出):なるほど。結果が出ていなくても冷静に現状を分析して改善していくということですね。ある意味、当たり前かもしれませんが、リーダーなど責任が伴う人ほど、大切な事だと理解しました。

まとめ:リーダーの素養は”人間力”で決まる

(小出):最後のまとめとして、リーダーにとって大切なことを教えてください。
(神村):最近改めて思うのは、トップ(リーダー)の決断力の大事さかな。スポーツチームの監督は多種多様だと感じます。表向きでは「チームを勝たせられないのは自分の責任です」と言いながら、実際には「もっと上手い選手を獲得できればなぁ」とか、「チームに戦術がフィットしない」とか言い訳をする監督も結構いるんだと思います。その意味で、最後はリーダーとしての度量というか、人間力に帰結すると思います。人間力って抽象的に聞こえるかもしれないけど、僕なりの解釈では、”できてないこと(≒失敗)にどれだけ真正面から向き合えるか”が、真のリーダーとしての器だと思います。
(小出):確かにそうかもしれないですね。僕自身、もっと人間力を磨いてトップになるための素養を磨いていきたいと思います。神村さん、今週もありがとうございました。

(文責:神田)

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