見出し画像

モンテディオ山形が目指す SDGs 活動(Off the pitch talk 第44回〜第46回まとめ)

皆さん、こんにちは。神村です。
前回は、昨年から続くコロナウィルスとの向き合い方について、「社会・組織・個人」という3つの軸で皆さんと考えてきました。
今回は、以前にも取り上げた SDGs について改めて深めたいと思います。これまで私が体感したことや、これからモンテディオで社会貢献活動としてやっていきたいことを紹介しつつ、より皆さんの SDGs への理解を深めてもらう機会になれば嬉しいです。
(本稿は「Off the pitch talk 」第44~46回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー小出さん(@twitter)&文責:神田さん(@twitter)でお届けします)

↓↓音声で聞けるstand.fmはこちらから↓↓

#44 : https://stand.fm/episodes/6017cee38ba7e1450c1f0591
#45 : https://stand.fm/episodes/601a715583a4822f8d53e553
#46 : https://stand.fm/episodes/601d1bb58ba7e1356b1f7e35

SDGs 活動を始めて感じたこと

ここ最近、SDGs という文字を日常生活の様々な場面で目にすることが増えました。TVCMや駅の広告など、多くの企業が SDGs の活動を重視していることが見て取れますし、近年は学校の授業でも扱うケースが増えているようです。
言葉自体はとても身近になってきていますが、実体験というか実感値がまだまだ足りないと感じた出来事がありました。
それは先日、視覚障害のある方数人とZoomでミーティングをした時のことです。Mtg中に何人かの方がチャットで会話されていました。「あれっ?」と思っていると私あてに質問も飛んできました。
私は一瞬戸惑いました。「目が見えなくても、チャットでの会話ってできるの?」「僕が返信しても彼らは読めないよな・・・」

状況が理解できず、つい「どうやってチャットを打っているんでしょうか?」聞いてしまいました。すると、文章は文字通りブラインドタッチで打っていて、相手からのチャットの内容は音声で自動再生されるソフトウェアを使っているのだそうです。私はこれまで、ブラインドサッカーをはじめとするユニバーサルスポーツを通じて、視覚障害の方々と色々な取組みをしてきたつもりでしたが、そういう根本的な部分を知らない自分自身に対してとても恥ずかしくなりました。

私たちは障害を持つ方に対して、無意識のうちに何か特別視しているのかもしれないと思うようになりました。配慮や気配りはするにせよ、基本的には自然体で接することが大事なのではないかと考えるようになったのです
SDGs や障がい者スポーツ体験の場をたくさん作っていくことで、私自身が感じたような新たな気付きや発見が生まれ、人々の行動変化のきっかけになっていければいいなと改めて感じました。

そもそも、私たちは”健常者”と”障がい者”という言葉を使いますが、障害のある方は、自らの障害を補うために、他の能力が健常者より高かったりします。例えば、視覚に障害のある方は目が見えない反面、記憶力が抜群に優れていたり、触覚や聴覚といった感覚器官が物凄く長けていたりします。
言ってしまえば、私の場合はたまたま視覚・聴覚・触覚などの五感がそれなりに機能しているだけなんだ、それを「健常」と言うのって何か変だなと思いました。
この気付きを与えてくれた本を紹介します。

『目の見えない人は世界をどう見ているのか 』(光文社新:伊藤 亜紗 (著)

画像1

このテーマについて、ブラインドサッカー関係者と話す機会がありました。

その方が指摘されていたのは:
日本では障害の有無によって生活空間が区分けされる傾向にある。
 つまり交わらないような社会構造になっている。
②その構造ゆえに、私たちは障がい者のことを知らなさすぎる。
結果私たちの中に「障がい者は僕らと違う」という潜在意識が生まれて
 いる。
ということでした。ドキッとしました。
皆さんは、普段の生活の中で、障がい者と接する機会はどれくらいあるでしょうか?私自身は、障がい者の方と接する機会は、過去を振り返っても殆どありませんでした。思えば、小学校の時なんかでも発達障害や身体的に障害のある子たちは、”特殊学級”という別の学級に入っていました。もちろん、授業の進め方や教師側の負担などの諸事情があるのは百も承知ですので、構造自体の良し悪しを語るつもりはありません。しかし、こういう一つ一つの社会の積み重ねが現状につながっているということがわかりました。

このように、子供の頃から障がい者と接する機会が少ないにも関わらず、大人が急に「障がい者との交わり・交流」などを口にするのは”偽善”っぽくないか?本当に自分の意思で心の底からそうしたいと思っているのか?
最近自問するようになりました。

モンテディオ山形が目指す社会貢献活動

画像2

ここまで、私の体験ベースでお話してきましたが、モンテディオ山形が2021シーズンに取り組もうと思っていることを可能な範囲で皆さんにもお伝えします。

既に2021シーズンのカレンダーが公開されましたが、モンテディオは3月21日にホーム開幕戦を迎えます。以後、すべてのホームゲーム(21試合)で SDGs 関連ブースや体験コーナーを設置します。
特に、
・障がい者と交流する場の創出(ユニバーサルスポーツ含む)
・エコ活動(スタジアムで発生するごみの総量削減)

の2つを活動の柱にしていきたいと考えています。

まず、ユニバーサルスポーツ・コーナーは既に様々な団体の参加が決定していますし、これからも増えてくると思います。また身体を動かすスポーツ以外のイベントも行います。
一例ですが、視覚障害者と囲碁・将棋をするイベントです。
通常と全く同じルールで、目が見える見えないに関係なく囲碁・将棋を楽しんでいただく場を作ります。
山形県天童市は将棋の駒の名産地です。囲碁・将棋に興味のある全ての方々に新たな体験をしてもらえたら嬉しく思います。

もう一つは、「臨床美術」の体験です。
臨床美術=クリニカルアートは、認知症予防への効果や、発達障害のあるお子様の自己肯定感醸成効果があると言われている比較的新しい分野です。
臨床美術士の資格を持った方がファシリテーションをしてくれます。
参加者は、他人の評価を気にせず、自由に絵を書いたり物を作ったりすることで、上手い/下手に関わらず純粋に楽しめるような設計になっているのです。この活動も、試合前に皆で楽しんでもらう目的で始めたいと思っています。

最後に、エコ活動です。
サッカースタジアムでは毎試合大量のゴミが出ます。
もちろん分別はしていますが、ゴミの総量が減るわけではありません。
本気で今後はゴミの総量を減らすことを目標にしてみたいと思います。(「観客倍増、ごみ半減」が実現すれば、素晴らしいのですが、、、)。ただ、ゴミを減らそうとすると多少の便利さが犠牲になる可能性は否めないのは難しい点です。「総論OK・各論NO]の議論になりやすい分野なので、しっかり議論して進めたいと思っています。


私たちのホームゲームには年間で約20万人の方々がスタジアムに来られます。
私たちは、ご来場いただいた方々に上記の活動を継続的に見て・触れて頂き・発信していただけるようになりたいと思っています。「モンテディオ山形のスタジアムではいつも SDGs 体験やっているね」、アウェイからお越しいただくサポーターの方々にも「うちのスタジアムでもこれしたらいいのに」という思いが生まれたら素晴らしいだろうと思っています。Jリーグの強みというのは全国津々浦々にチームがあることです。一つのチームだけがやっていることに意味があるのではなく、「良いと思ったらみんながやればいい!!」と思っています。ポテンシャルはとても大きいのです。
もちろん、この活動がサッカーに限らず、バスケや他の競技団体にも広がっていったら、こんな素晴らしいことはありません。

私たちは一過性のイベントに終わらせず、全試合継続してやっていくことでとことん SDGs と向き合っていきます。

まとめ:皆で手を取り合い、目標を達成しよう

SDGs は、誰か一人が大旗を振って先導するのではなく、皆が手を取り合って目標を達成していく活動なのだとつくづく思います。
大企業だけの課題でもありませんし、ましてやNPO団体などの社会起業家だけのことでもないのです。
「自分たちができることをやっていく」。
幸いにして、私たちJリーグクラブには「発信力」という大きな武器があります。この発信力を多くの皆さんにも使ってもらいたいと思っています。
その積み重ねによって、より多くの人がSDGs に関心を持つようになっていけば、社会はきっと良い方向に向かうはずだと信じています。

モンテディオ山形では3つの柱:
「 SDGs 体験ブース・障がい者スポーツ体験・エコ活動」
をぜひ皆さんと一緒に作り上げていきたいと思っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?