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【トライアスロンレース】パワーメータの使い方完全ガイド

これまで書いたトライアスロン×パワーメータの記事をまとめたらどこよりも詳しい解説になりました。

実際に日本最長の佐渡トライアスロンA(スイム4km、バイク190km、ラン42.2km)を走るとしてパワーメーターを使ってどうやってペーシングするのか?

この前提で計画・レースシミュをしていきます。

1.事前準備

レース前に行うのはまず目標パワー(NP)の設定です。

 1-1.目標パワー(NP)設定に必要な基本用語

⇩記事で解説してあります。

FTP : 1時間継続できる上限のパワー値
NP : 標準化パワー。運動強度を表せるよう補正したパワー値。
IF : 運動強度。FTPを基準にした運動強度の目安。IF=NP÷FTP
TSS : 疲労度を表す数値FTPでの1時間の運動=TSS100=IF1.0。
TSS=IFの2乗×時間(h)×100

 1-2.目標TSSと目標パワー(NP)の決め方

⇧の記事を元に、実際に目標TSSをと目標パワーNPを出します。

私のスペック
身長168cm
体重60kg
FTP270W

記事の中でTSSの目安を230~280 と書きました。これまでのレース経験を元にTSSの目標を260と設定します。
NPをまず簡易計算で導きます。

バイクの時間を6時間としてます。

 1時間当たりのTSS=260/6=43.3

標準化パワーNP=ルート(1時間当たりのTSS/100)×FTP
                            ルート(43.3/100)×270W(FTP)=177.6W

 1-3.勾配毎の最適パワーの導出

⇧の記事で最適ペースと予想タイムを導くことができます。
仮の目標出力を元に再計算して、目標出力(NP)を180Wに設定します。

最適化後の出力で190kmの予想タイム5:48:23(最適化前に比べ296秒の短縮)
NP180W
TSS258

画像1

画像2

画像3

計算シートを使うと上記の結果が得られます。
これにより、勾配毎にターゲット出力をいくつにすれば、同じ疲労感で最も速く走れるかが分かります。

トップチューブに上記表を張って、速度・勾配を見ながらターゲット出力を狙って走ります。

 1-4.サイコンの設定

⇩を参考に練習時から設定して慣れておきましょう。

2.バイクパート・レースシミュレーション

上述したTSSも含め⇧の本の内容を参考にしています。※ペーシングに関しては私のオリジナルです。

トライアスロン関係の重要項目を私の解釈でまとめると

・ランに備えて筋グリコーゲンを節約するために、同じ出力を出す場合でも低トルク・高ケイデンスを維持する。
・登りでの出力の上限は目標110%までとする※

※これは私の作った出力最適化シート(約120%)よりも低い値です。
これは自分の適正によって決めるのが良いと思います。
一定ペースの方が合っているなら、上限は目標110%に下げるのも手です。

同じTSSであっても、スプリントを30秒してしまったらあっという間に筋肉にダメージを与えてしまいます。

ルール
例え短い時間でもFTP以上の出力は出さない
登りで出力を上げる時は、ケイデンスを上げて出力を上げるように意識する。※重いギヤを踏みすぎないように

高ケイデンスは本番だけやろうと思っても無理なので、普段の練習から高ケイデンス約80~90程度を目指すと良いと思います。

※適正は人によって異なると思います、70台でも合っている人もいますが、60台になるとさすがに低すぎると思います。

 2-1.スイムアップ直後と全体ぺーシング

体が水中横向きの姿勢から、地上のバイク姿勢に慣れていません。

スタート直後は興奮からつい、オーバーペースになりがちです。

特にロングのトライアスロンでは、スイム苦手だけどバイクが鬼のように早い人等がスタートで入り乱れます。

スタート直後はターゲット出力-5%でアップしているイメージで進み、5kmくらいかけてターゲット出力に乗せていくと良いでしょう。

※ただし⇩の記事で書いたように速く走る為には、スタートからゴールまで同じパワーで行くことが理想です。

その為には、無理のない最後までキープできる目標出力設定が重要になります。

今後はパワーメータを使って一定パワーを基本にペーシングする人が増えてくると思います。

しかしながら、現段階ではまだ少数派なので他の選手は登りでものすごいペースを上げる人の方が多いと思います。

周りとのペースは合わないので、周りは気にせず自分のペースを守りましょう。

 2-2.加速について

加速につては⇩を参照ください。

加速はそんなに頑張りすぎなくて大丈夫です。

例えば勾配6.6%の登りを登りきって、平坦に入る場合

勾配6.6% 15km/h   214W
       ⇩    ⇩
勾配0%  34.4km/h  171W

平坦に入った直後はまだ15km/hなので214Wをキープしつつ、時速34.4km/hに近づくに従って171Wに滑らかに落としていきます。

 2-3.風の影響

佐渡トライアスロンは海岸沿いを走るので、強い風が吹くことがあります。

平坦 少し強い風が吹いている5m/s 設定出力の+5%まで
平坦 進まない程の風が吹いている10m/s 設定出力の+10%まで

風は頑張ると押し返してきます。ほとんどの場合は向かい風でも設定ペース+5%までに留めます。

 2-4.補給

⇧の記事は補給に関しては私が今取り組んでいる例です。万人向けではないかも知れませんが参考にしてください。

3.お勧めパワーメーター

《シマノSPD-SL対応、両足計測》

《シマノSPD-SL対応、両足計測》


私が使っているのはGarminのVector3です。⇧はその最新版です

Garmin:Vector3
■良かったところ

・パワー値の安定性
  ⇨短期的・長期的に値のずれを感じない。
・室内トレーニング(Zwift)、ロードバイク、TTバイクで共通化できる
  ⇨経済面+基準が同じなので、室内トレーニングの目標パワーをそのままレースで再現できる。 
・大手だけあって保証が手厚い
 ⇨保証期間の1年が過ぎていましたが、接続の不安定さを相談したら新品交換になりました。

■悪かったところ
・購入当時の接続が不安定
  ⇨その後2回の電池蓋配布→交換+ファームアップで改善
・ペダルがLook Keo対応のみ
  ⇨シマノSPD-SLから変更

正直Vector3は接続の不安定差があったので、あまり人にお勧めできるものではありません。今は改善してますが、どうしても不安は少し残ります。

最新版はこの安定性を最もウリにしています。

加えてSPD-SL対応になった事。現在SPD-SLユーザーが圧倒的に多いと思うので、そのまま以降できるのは大きなメリットです。

2019年アイアンマンハワイのパワーメーターシェア1位がGarminです。
比較的パワーメーター後発メーカーなので意外な結果でした。

これはトライアスリートはTTバイクとロードバイクの2台以上持ちが多い
⇨1個のパワーメータを使い回せるメリットが大きいからだと思います。

パワーメータを使ってペーシングしようとした場合に、室内トレーニングで基準を決めた値と実走で5%も違ったら致命的です。

私の場合、ZwiftもロードもTTバイクも同じGarmin/Vector3を使っています。
経済面以上に環境が違ってもパワー値の精度が保たれているメリットは大きいです。

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以上、トライアスロンでパワーメータを活用する方法について書いてきました。特に、ターゲットパワーをどうするかは、明確に数字で出せるようになったと思います。

勾配毎の最適パワーに関しては私のオリジナルなので、ここまでやっている人はまだほとんどいないと思います。

《⇩足裏、お尻、首等いろいろ使える擦れ止め》

《⇩今まで使った中で一番落ちない日焼け止め》

⇩トライアスロン関係記事まとめ

⇩重複する部分もありますが、こちらも実践的内容になります。


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