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『戦国乙女』の魅力はメディアの特徴を活かしたキャラクター描写にあると思っている人の話

■はじめに

 こんにちは。戦国時代なら今川家推しの花倉みだれです。
 というわけで、先日最新作『戦国乙女6~暁の関ヶ原~』が導入された平和のパチンコ『戦国乙女』シリーズの魅力について語ろうかなと思います。

※免責
 基本的に無印・2あたりの仕様を意図的に元にして話しますが、シリーズ全般好きですよ。

■『戦国乙女』シリーズの概要

 ざっくり『戦国乙女』シリーズについて紹介するのであれば、〇〇の美少女化、が流行った時期に登場した戦国武将美少女化を押し出したパチンコ台、及びそれを原作としたシリーズということになります。スロット、マンガアニメ家庭用ゲームスマートフォン向けゲーム(サ終済)……と、横に広い展開がなされています。

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戦国乙女ポータル』より。今川ヨシモトちゃん。
海道一の弓取り→武器は弓。貴族系→烏帽子や黒髪ロン毛やお嬢系の口調。
と元の人のイメージを引っ張ったキャラクターデザインとなっています。
女性化された武将は「姓+名前カタカナ」の名前で出てきます。

 戦国乙女が出た頃(2010年頃)のパチンコ業界は、空前のバブルを感じさせる状況で、有名無名のIPモノが多く登場する一方で、オリジナルIPモノも今と比較するとたくさん出現していた時期でした。
 その中で淘汰されたタイトルも多い中、無事10年以上シリーズが存続できているというのは、パチンコ系のオリジナルIPの中で有象無象に対しては一つ頭の抜けた存在であるということであると思います。

■パチンコだから表現できるキャラクター描写

 モチーフが強い作品の場合「それっぽい感」が強ければ強いほど、元ネタが好きな人間は嬉しいものだと思います。……と言うと主語が大きすぎるかもしれませんが、私は少なくとも「それっぽさ」を感じる瞬間がとても好きです。
 偉人系のラノベやマンガや大河ドラマや映画、いわゆるキャラゲーなどあらゆるコンテンツで「それっぽい」描写はカギです。そこにそのメディアならではの特徴が付加されると、より良いですよね。

 例えば『スーパーロボット大戦F(と完結編)』は、最新のシリーズ(V/T/X)と比較するとそれぞれのユニットの性能がとてもピーキーですが「大きいロボットのパイロットは基本的に小さいユニットには攻撃を当てられないが、すごい精神力を使って大事な時にだけ攻撃を当てている」といったようなそれっぽさを感じさせるバランスがとても好きでした。
 こういったある種の「弱さ」を含めたキャラクターの描写がわかりやすい形でできるというのは、ゲームのフォーマットにおいて非常に強みのある特徴だと思います。

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『スーパーロボット大戦F』より。ゲッタービーム

 『戦国乙女』はパチンコですが、この「キャラクターの強弱」と「モチーフとなっている戦国武将・及び美少女化しているキャラクターのイメージ」を上手いことパチンコのシステムに落とし込んでいるところが大きな魅力です。

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 パチンコは3つのリールが回転して、同じ数字が3つ揃うか揃わないか煽るのが基本的な演出上のルールです(実際は乱数から当たりかハズレかを抽選、その後結果に合わせた演出を抽選……といったようなフローになっているはずですが)。

 左、右と同じ柄が停止すると「リーチ」となり、煽る演出が発生して、結果によって揃う・揃わないが決まる流れです。

 この「リーチ」の信頼度、大当たりする確率を「リーチになった数字」ごとに細かく変えていること、基本的に「リーチになった数字」のキャラクターが戦う演出が発生すること、この2点が戦国乙女シリーズの共通フォーマットであり大きな特徴の一つです。

 『戦国乙女』の前後にも……というかほとんどのパチンコ台でリーチになった数字ごとに信頼度が異なるという仕様は存在します。
 例えば、7でリーチになると高確率で当たる、といったようなものですね。
 それが『戦国乙女』のフォーマットだと「7のリーチ=織田ノブナガのリーチ」となり「織田ノブナガはやっぱり強い!!」というキャラクター性の描写に繋がることになります。
 「徳川イエヤス」はノブナガほどではないが全体的に高信頼度で確変確定、「明智ミツヒデ」は低信頼度の演出に発展すると逆に熱い、「今川ヨシモト」は信頼度はとても低いがリーチの出現率は高い……といった形で、キャラクターを描写しています。なんとなく、元の人物のフレーバーを感じることができますね。

 ハッキリと「織田に対して今川が弱い」という世界観がパチンコ台というシステムの中で表現されているのです。
 その上で、弱いキャラクターは出現率が高くなるので、当たり演出を見る回数そのものは他のキャラクターと大差ない数に落ち着くのもパチンコならではの救いです。決して、他と比較してどうしようもない雑魚、という印象までは落ちないのです。しっかりとメイン格のキャラクターである認識は持つことができます。

 パチンコのプレイヤーは言うまでもなく当たりに飢えているので、この「強さ」に対する感情移入度は並のゲームと比較しても決して弱いものではありません。
 また「負ける」演出を無限に見られる(見せられる)エンターテインメントというのはパチンコが持つ他のメディアにない特性でもあります。

 特に初代の台は「バトルロイヤルリーチ」などで各キャラクター同士でややドライに争っている描写もあり、萌系のキャラクターに反したしっかりとした殺伐さを感じさせている点も魅力的でした。

 そもそも、人外として描かれるかチュートリアル用の雑魚として描かれることが多い義元公が秀吉や信玄と同格のキャラクターとして登場しているだけでも当時的にはとても嬉しいものだったのです。
 その上でしっかりと可愛らしく、力強さも感じさせ、でもどこか他と比較して儚さも感じさせる描写をパチンコならではの演出で行ってくれる。

 これはハマらないわけにはまいりませんね。

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『戦国BASARA』の今川義元。一応人の形は保っててよかった……。
ゲームだと個性の出し方的にこっち寄りになりがちですね。

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『戦国ランス』の今川義元。人の形……。

■終わりに

「パチンコならではのキャラクターの描写をしているのが魅力的」
 一つ挙げるならコレ、というお話でした。
 もちろん、他にも遊技機の性能的な魅力、キャスティングの独自性、「エロゲー的」なカットインの特徴、楽曲と遊技機のシンクロ……等々語り尽くせない魅力があるのですが、語り尽くせないので今回はオミットしました。

 長期シリーズにありがちな問題ではありますが、最初は全員敵同士的な世界観だった『戦国乙女』も、2以降共通の敵を倒す共闘系のお話になっていきます。
 完全に1でキャラクターにハマってしまっているので、そうした流れも存分に楽しむのですが、あわよくばイエヤスちゃんを斬り伏せて喜んでいた頃のヨシモトさんもまた見たいような気もします(笑)

 イエヤスが3、ヨシモトが4なので初代のバトルロイヤルリーチではイエヤスを倒すことで大当たりになる演出でした。
 一方で、松平元康が今川家配下だったことを下敷きとしているのか「ヨシモトの配下にイエヤスがいて、百合百合しく過ごしている勢力」として2以降描写されるのが、フレーバー的な旨味や今川勢夢の展開的な魅力がありつつも、若干物足りなく感じます。

 昨今の懐事情と時間リソース問題で6をどれくらい遊べるかはわからないですが、折を見て遊びたいところです。

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