最近見たアニメの感想『シャドウバース』
■はじめに
こんにちは、花倉みだれです。
最近(?)スマートフォン向けゲームのアニメ化非常に多いですね。個人的によく見ている気がするのでそう思うだけかもしれませんが(笑)
先日こっそり一人でカラオケ行ったときの履歴みて、スマホゲー原作率たっかい!! ってなったりしました。
ヒトカラ楽しいですね。画像の範囲内だけで『シャドウバース』『ウマ娘』『8月のシンデレラナイン』『D4DJ』のアニメ版の曲歌ってますね。
そんなこんなで最近『シャドウバース』を見終わったのでその感想を書いてみます。
結論先に書くと、個人的には結構好きでした。
■ゲーム(SP/PC)版『シャドウバース』について
『ウマ娘』でお馴染みCygamesさんのスマートフォン向けカードゲーム(DCG)ですね。
公式サイト(https://shadowverse.jp/)より
ゲーム的には「ハースストーンライク」と言っていいだろうゲームですね。『M:tg』からインスタントや構築の自由度と土地要素を取っ払ったようなゲーム性と言ってもいいかもしれません。
2年目以降のインフレにはもどかしい思いを感じなくもないのですが、個人的にも結構楽しんで遊んでいるゲームです。やりだすと止まりませんね。
ビジュアル面や世界観では同社タイトル『神撃のバハムート』のイラストや世界観を継承しているかのようなオシャレなデザインが特徴でしょう。ホームページに「美麗」ってあるのも意識している節を感じますね。
■アニメ(Switch版含む)版『シャドウバース』について
そんな超美麗オシャレDCGな『シャドウバース』ですが、コンシューマ版とアニメ版では主役や世界観を一新しています。
コンシューマ版については別記事で触れているのでこちらも合わせて気になったら見てみてください(笑)
コンシューマ版記事と商品リンク
アニメ版公式サイト(https://anime.shadowverse.jp/)より。キービジュアル
線の細かい正統派エルフ美少女から熱血現代少年へ主役が大変更されてます。
当時のTwitterの反応は、既存『シャドウバース』のファンを中心に否定的なものが目立っていました。
少なくともオシャレ度をガクンと落としてきたのは事実でしょう。
逆に言えば、狙いも透けて見えますよね。Switch版と一部設定を共有していることも踏まえて、既存の『シャドウバース』ファン向けというよりは、それよりはやや低年齢層……愚直に言えばアニメ版『パズル&ドラゴンズ』や『遊戯王』シリーズなどの土俵で戦おうとしているように見えます。
■違和感
シリーズ全体の構成としては地方大会編→世界大会編→世界を救う編……とある意味ホビーアニメとして王道の流れになっています。
全体としては「面白かったですよ?」という感想なのですが、部分部分で違和感があったので項目ごとに語っていこうと思います。
●ルール説明がない
「やや低年齢層(初心者)」を狙ったアニメであろう……という偏見があったからかもしれませんが、あまりにアニメ内で『シャドウバース』のルール説明がありません。
先述の通り自分はゲームをプレイしていたのでアニメ内のバトルで何が起こっているかは概ね理解できるのですが、これで本当にいいのかな? というもどかしさがありました。
せっかく主人公がアニメ開始時点では初心者キャラなのにもったいないなぁ……とも。
本当に前知識なくて、ゲームにもあまり詳しくない……みたいな人が見て何が起こっているか理解できるとは正直考えられませんでした。
「カードゲームアニメ」というくくりで考えれば、例えば『カードファイト!ヴァンガード』の1話ではライバルキャラである「櫂トシキ」が主人公に対して「イメージしろ。俺たちは惑星クレイに降り立った霊体だ」から始まる丁寧すぎるチュートリアルを主人公に対して行います。
『カードファイト!ヴァンガード』より
当時はクールキャラっぽい櫂が世界観からチュートリアルすることそのものに違和感を覚えたりもしたのですが、思い返すとこれって結構必要なパートだったのかもしれない……と『シャドウバース』を見てから思うに至りました。
カード効果の説明はそれなりに丁寧に行っているので、そこの熱量をもうちょっと割けないのかな~とか思ったりしましたね。
誰向けのアニメなのか? が見えてこなかったという点で序盤かなりつきまとってきた違和感でした。
●相手のターンにやることがない
これはもう、原作ゲームがそういう仕様だから仕方ないのですが「カードゲームアニメ」として見ると絶望的に冷める要素でした。
既存カードゲームと同様に、相手プレイヤーが押している!→主人公が切り札かそれに準ずるいいカードを引く→逆転勝利
という流れを概ね踏んでいて、それじたいは全然いいんです。好き。
ただ、ゲーム性的にほとんどの場面で主人公がカードを引いた段階でプレイミスがなければ確定で勝てることが主人公目線でもわかってしまうんですよね。
リアルにe-sportsで展開されている分にはそれも、その人が本当にミスなく選択できるか? 制限時間内にプレイできるか? という視聴者目線での楽しみになりえます。
ただ、アニメでプレイミスは基本的にありえません。アニメの世界観的にもそういうところに焦点を当てていない。
どれだけ相手がイキって挑発しても「勝てないかも……」みたいな緊張感がクライマックスに発生しにくいんですよね。
絵的に双方のカットインが挟まって……みたいな熱い展開を行っていても、内部で起きていることと「いや、言うてこのとき相手なにもしてないしできないじゃん」みたいな冷めた目線が入ってしまうのが本当にもどかしかったです。
これもまたテンプレですがほとんどの作中バトルにおいて、相手方は押している状況下で「これだけこっちが優勢なんだから諦めたら?」というようなニュアンスのことを言います。
いや、諦めてられねぇ!→シャドバは最後までわかんねーからな!→勝ったぜ! という流れそのものは本当にいいんです。
でも、相手のターンに干渉できないゲーム性で詰めきれてない中そこまでイキるのってやっぱり違和感がすごいんですよね。
これが例えば『遊戯王』なら「(相手がこれをして逆転を狙ったとしてもこの伏せカードで対応できる。だから勝てる!)諦めたらどうだ?」まで踏み込んでいて、さらにそれを主人公がどうにかするからカタルシスがあるのかなと思います。
『ヴァンガード』でもそうですね。相手のターンにガードで介入するという要素とめくり要素のおかげで緊迫感を維持できています。
『バトルスピリッツ』だと「ライフで受ける!」がかっこよすぎて全部許される感じもありますし(笑)
『M;tg』でもしアニメがあったとしてもインスタントがあるので打ち消しでも握らせておけばいつでもイキれるでしょう。
死ぬまでに機会なさそうですけど、万が一カードゲームアニメを前提としたカードゲームを作る機会があったら「相手のターンに介入できる要素」は絶対いれたいなぁ……と思った次第でした。
●結局出てくるSP版のキャラクター
作中のTCGプロプレイヤーとしてではなく、よりファンタジカルな文脈で「伝説の人」としてSP版の初期プレイヤーキャラクターが終盤出てきます。
公式サイト(https://anime.shadowverse.jp/character/)より。アニメ版の、SP版主人公「アリサ」
先述の通り、私はSP版のプレイヤーなので嬉しく感じるファンサービス要素だったのですが、主人公一新して世界観も別っぽくスタートしたのに結局やるのか? みたいな違和感は正直ありましたね。誰向けアニメなのかの想像がより難しくなってくる。
出すこと確定してるなら、最初の発表の段階でもっと押してもよかったのでは……? とも思ったり。なんだかモヤッとする部分ではありました。
なんでこの人たちが「伝説の人」なのかについても作中で満足な説明もなく、アニメ版だけ追っていたらポッと出て偉そうに出てきた人たちくらいに留まってしまいそうなのも惜しい感じがあります。
●主人公の目的がややふわっとしている
進研ゼミよろしく「スマホがほしい!」から入手までの流れをやる1話は低年齢層意識してる感じがあっていい導入だと思いました。
亡き父の形見としてあったものを手にして……というのもいい引きです。ただ、このことを作中で主人公が意識するのは相当後です。入手直後は一人でお祖父ちゃんが意味深なことを呟くにとどまっていました。
「父のてがかりがあるかもしれないこのスマホでシャドバをやって父が死んだ真相を掴むんだ!」
くらいのモチベを持ってくれてたらわかりやすかったのにな~と思いました。今どき流行らないんですかねぇそういうの。
主人公のヒイロ君は劇中で特に好感度下がるような行動や言動もなく前向きでひたすらいいやつなんですが、最初からいいやつすぎて唯一あった満たされてなかった「スマホがほしい」問題も速攻解決してしまったせいで何をしたいキャラなのかがわかりづらかったのが惜しいと思いました。
両親の不在についても明るいキャラクターのせいでそこまで不足感を感じさせないのがよくなかったのかなぁ。
基本的に「シャドバは楽しいんだ」というスタンスをずっと表明しているせいでそこまで『勝ちたい』欲求があるようにも見えないんですよね。
陰キャでもないので特にこれといった不満をゲームにぶつけるタイプでもないですし。
何が目的で国内大会、世界大会を戦おうとしているのか……それが見えてこなかったのがもったいなさを感じました。「シャドバが楽しい」だけではちょっと無理がある感じがあるんですよね。
●カードが喋らない
唯一明確にSP版と比較して劣っていると言っていいところかもしれません。
SP版ではカードの攻撃・破壊時にそのカードのボイスが流れます(やられちゃった~とかえいっ! とか)が、これがアニメ版にはないんですね。
流用でも権利とかしんどくてお金も……とかそういう事情はお察しはしつつ、そういう規模のタイトルなのか? みたいな違和感も正直あります。
バトルシーン、絵的にすごく迫力あるのにこのせいでちょっと迫力落ちる場面が多いですね。
『ヴァンガード』でよく「沈黙の騎士 ギャラティン」というカードが喋っていて「沈黙してねーじゃんww」と言われていたのですが、バトルパートにおけるCVの必要性をギャラティンさんは教えてくれたんだなぁ……と思いました。
ギャラティンさんについての記事はこちら
■好きなところ
違和感ばかりあげてもしかたないですからね。
●使用カードの強さ
ゲーム版でも同様ですが、基本的にカードプールは初期のカードプールをベースにしています。端的に言うと現在比で相当シンプルで弱めです。
ただ、だからこそテンポよく理解できますし、主要キャラそれぞれが1枚ずつは持っているアニメオリジナルのカードたちの強さが際立っていて良かったですね。
それぞれの切り札を使って見せ場も作った上で主人公側がなんやかんやして勝つ、という構成は安定して見れて楽しかったです。
●主要キャラの失点が少なくて無意味なストレスはあまりない
主人公であるヒイロ、クラスメイトのミモリ、カズキの3人に特に顕著ですがあまりうじうじ深刻げに悩まないパーソナリティで、明るい作風を担保していて安心感がありますね。
この辺り、わりと深刻に悩むキャラが多い作風なSP版と比較するとより顕著です。
嫌味キャラであるカイ、中2系ライバルであるルシアについても個性は発揮しつつヘイトを買うレベルの行動や言動はほとんどないんですよね。
娯楽アニメとして主人公勢にストレスかけない姿勢はなんだかんだいいなぁと思いました。
個人的にはミモリちゃんとアリスちゃんが好き。
アリスちゃん。唯一CV的にSP版から続投されてもいますね。
●Switch版との並行世界ものとして
アニメ版とキャラクターは共通しながら話は結構違うので、マルチメディア展開として両方やると楽しいのは感じました。
●映像として
よく動くし絵もキレイ! OPもEDもいい感じのアニソンで好き。そのへんの不満は全然なかったです。
■終わりに
散々「誰向けなのかわかりにくい」と言っていましたが、うっすら感じていました。
「もしかして"forme"だったのではないか」と
「ルールは理解しているものの、アクティブ度が下がっている萌豚寄りのオジサンに向けたリテンションアニメ」
こう考えると色々しっくりはくるのですよね。
すっかり影響されてリテンションされてもいますし。
いい感じにやられてしまいましたねぇ。悔しいです(笑)
カードゲーム、本当に好きでお仕事で触れていた期間もあったりはする(詳細は全く言えないのですが)ので、そういうご縁があったら嬉しいな~とか改めて思ったりもしました(笑)
お気持ちを形にして頂けることは大変光栄で、勿体ないながら大いに感謝いたします。いつもよりちょっとおいしい飲み物や食べ物を頂きますね。