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今日、9月21日は結婚記念日なので、「生理1日目のナプキン」を夫に見せた妻の、一生に一度の恋の話をさせてほしい。

初めて書いたnoteが44,000PVを超え、コメントやイイネもたくさんいただきました。twitterでも本当に色んな方がいろんな形で拡散して下さっています。「妻に優しくしようと思った」という旦那様や、「ちゃんと夫婦で話し合おうと思った」とつぶやいてくださる女性もいました。おこがましいのですが、誰かの明日がちょっと幸せになるのであれば、いいなと本気で思います。誰かが、誰かに、優しくなれば、明日は今日よりちょっとだけいい世界になっているはずだから。

↓↓ まだ読んでいないよって言う方は、こちらから是非。

そして、ありがたいことに「ランドリーボックス」という生理メディアさんが記事を取り上げてくださいました。なんと、ランドリーボックスを立ち上げて以来の反響が続いているようで、こちらもありがたく思います。リツイートやコメントを読み切れているかわかりませんが、主人と二人で読ませていただいています。夫婦で理解し合う大切さ、結婚して6年目の今、何かが動き出している予感がしています。

↓↓ランドリーボックスさん掲載の記事はこちらから。

ただ、生理ナプキンを見せることになった私には、見せることになった、それなりの理由があります。それを語るためには、出会いから付き合うまでの話をしないといけないのかもしれない。…そんな気持ちから、パソコンに向かって、この文章を打ち始めています。

そして、今日は結婚6年目だった私たちが、結婚7年目となる「結婚記念日」。この話を公開するにふさわしいのかもしれません。

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出会い編

私と彼の出会いは、とってもありきたりな、大学の飲み会だった。

4月に入って、校内の桜が満開になったころ、友人が「夜桜飲み会」に誘ってくれた。大学の中庭で、お酒とおつまみを持ち寄って飲もう、という趣旨の飲み会で、場所代も必要がないその飲み会は会費500円だった。私は当時始めたばかりの個人指導のアルバイトを2時間ほどした後、髪の毛は直毛の髪の毛をオールバックにしたまま、服装はリクルートスーツを着たまま、会場に向かった。

当時、友達は多くなかった。そもそも、入学した初日から一年休学していたし、既に23歳だったこともあり、完全アウェイだったのだ。「行ってみて居心地悪そうだったらすぐ帰ろうかな」くらいの気持ちで中庭に向かった。

私が中庭についたときには、夜桜飲み会は、始まってから1時間くらいしていたのだと思う。皆が思い思いの相手と話をしていた。

中庭は、桜の木に一周ぐるっと取り囲まれていて、木のテーブルが4つほどあった。20人も入るといっぱい、になるくらい小さい。周りに植えられた桜の木は、それほど背が高くないのだろうか。咲き過ぎた花の重みに耐えかねて、枝が地面近くまで垂れさがっており、中庭はまるで桜のカーテンに囲まれているようだった。街灯が桜をライトアップしていて、中庭の外からでも夜桜は美しかった。

桜のカーテンで中庭内部の様子は、外からはあまり見えなかった。だから、一歩中庭に入ると、それだけで隠れ家のような秘密基地に来たような気分だった。更に面白かったのが、その「夜桜飲み会」の参加者の多様性だった。日本人だけでなくインド人や韓国人、ペルー人、ウクライナ人、オーストラリア人…様々な国から来た留学生が集まっていたのだ。日本語以外も飛び交っており、年齢も20~40代と様々だった。背の高いヨーロッパから来た男性や、褐色の肌が綺麗な東南アジア系の女性などがにこやかにおしゃべりしている様子は、日本ではないみたいだった。桜に囲まれた秘密の花園、という非日常な場所もあいまってか、私は、ハリウッド映画の世界に迷い込んでしまったような気分になった。

私は、誘ってくれた女友達が差し出した缶のレモンハイサワーを両手で受け取り、促されるまま彼女とテーブルに座った。ちょうど、翌月の5月に韓国に行く予定だった私は、当時流行っていた美白になるシートマスクやBBクリーム(化粧水からファンデーションまで一本でできるクリーム)のオススメブランドを教えてもらった。たまたま傍を通った韓国人男性も加わったことから、韓国コスメの話は白熱し、ヨーグルトパックは保湿にも美白にもいい、だとか、エチュードハウスというブランドが今流行っている、なんてことを聞いていた。

ふと、空を見上げたら、ここはやっぱりフィクションの世界だと信じこんでしまいそうになった。頭上には、ぽっかりと丸く切り取られた夜空がこちらを覗き混んでいて、三日月がプカプカ浮かんでいた。

その時、周りがざわついた。

何人かが「おー!おそいぞー」「おー来たかー」と私の背後に向かって声を出したのをきっかけに、会場が盛り上がったのだ。私も、自分より遅い人がいたんだ、と思いながらも、周りの人が向いている方向へと自然と目を向けた。その瞬間だった。

現れた男の子。

何をどう説明すれば伝わるのだろうか。あのときの、感覚。可愛げのない表現だが、脳みそからマグマが吹き出すような、身体中の細胞が沸騰するような、あの感覚。

一人静かに噴火を繰り返す私をよそに、中庭のすべての街灯が、待ってましたとばかりに彼に向かって光を集めた。月もゆっくりと彼の方に顔を向けた。そして、

私の中の時が完全に停止した。

その男の子は、月や街灯のスポットライトを一身に集めたまま、桜の枝垂れた枝をかき分け、中庭に入ってきた。

少しよれたスーツ。長い脚と腕。

青いネクタイを締めた首元に目線をやると、白い肌が少し見えている。

目が優しそうに垂れているのに、眉毛は意志が強そうに上がっている顔は、正統派のイケメンだった。

光に照らされた髪の毛は柔らかそうに風に揺れていた。

彼が、暖簾をかき分けるしぐさで、ピンクの花のカーテンを腕でよけると、桜の枝は、花びらをこれでもかと解放した。花びらは、キラキラと嬉しそうに輝きながら、ゆっくりと、くるくると舞い落ちていく。彼を中庭に招き入れた後、その桜の枝は花たわわに折り重なり、あたかも美しい光を集めた桃色の舞台背景のように、主役である彼を最大限に引き立てていた。しかも、とても、自慢げに。

私には彼しか見えなくなった。スポットライトがすべてそこに集まり、暗闇とのコントラストで、ピンクの花花がこれでもかと主役を引き立てているのだから仕方ない。

桜のピンク、夜空の黒、そして、彼。

自分が小学生時代何度も何度も読み返した少女漫画「ないしょのプリンセス」の航生(コウキ)君とか、皆さんもよくご存知の少女漫画「君に届け」の風早くんとか、犬系少女漫画代表作「まっすぐにいこう。」の秋吉くんを見ているようだった…いや、それ以上。むしろ、想像していた運命の王子様より全然かっこいい。(男性は全く分からないですよね、ごめんなさい。ドラゴンボールで言うピッコロ、キン肉マンで言うとバッファローマンで、続きをお楽しみください。)

・・・・え。コレって、あれのこれのこれ?!

運命が訪れる瞬間は、こういうものなのだろうか。

白馬の王子が、現実の世界に現れたのだ・・・。

全ての思考が止まり、目も耳も肌も全て彼に集中した。スローモーションで、彼が中庭に入ってきて、周りの人たちに挨拶している。笑顔が知的だった。遠くからでも桜の香りがするような気がした。人生で初めて、人に、見とれた。

すると、突然、目の前で話していた韓国人の男の子が彼に「おお~こっち~」と呼びかけて、私の心拍だけでなく体動も停止した。まさかの、友達?!
これだから、運命ってやつは!!!

そのあとは、よく覚えていない。というか、彼はほとんど何も話していないし、私も何も話していない。韓国人の男の子のコスメの話を聞きながら、ぼんやり彼を眺めていた。

肌、きれいだなー、白いなあ。すてき。

目の横にほくろがあるんだなー。すてき。

優しそうだなー。はぁ、すてき。

髪の毛ちょっと耳の上、はねてるな。すてき。

寡黙系で、何も話さないなー。すてき。

うん、っていうときの声、低くてきれいだなー。はぁ、すてき。

てか、・・・こっち見ないなwww


彼の情報ゼロのまま時間は過ぎていった。このままここに居続けても、彼がたくさん話すイメージもなかったし、私から話しかけることも永遠にないだろう、と思った。眺めてるだけで、幸せだった。

「明日の授業も朝早いし、今日は帰ろう~」

また、会えたらいいな…。そう思いながら、秘密の花園を後にした。これからの大学生活が楽しくなりそうな予感を抱えて…。

THE END.




そう、思っていた。

今日は、こんな感じで終わるのだと思いながら、校内の街灯が照らすなか、ゆっくりと校門に向かって歩いていた。なんか、得した気分の夜だったな…。

すると、突然、一人で歩く私の後ろから風がふわっと寄ってきた。かと思うと、低くて優しい声。

「よ、かえるの、こっち? 俺も。」

見上げたら、さっきの史上最高のスーパーイケメン少女漫画系王子(ピッコロ)が、自転車に乗りながら、話しかけている!収まりかけた私の緊急警報は、バグったように鳴り散らかし始めた。緊急事態発生、緊急事態発生。相手に気付かれずに冷静に応答せよ。

私「え、うん。(え、こっち向いてる。目合ってる。何、これ。どういうこと。よくわからない、なにがおこってるんや。え、心の声、漏れた?何、え、何。)」

緊急事態発生で、皮膚細胞の一つ一つまで噴火を始めた私をよそに、彼は自転車を降りて、私の横で並んで歩き始めた。そして、人懐こそうな笑顔でこちらを向き、一言。

ピッコロ「俺もこっちやねん。」

私たちは、大学の中の坂道を並んで降りた。月がまっすぐ坂道を照らしていた。

彼が就活の帰りのせいでスーツを着ていたこと。キーエンスと商社を受けていること。大学では理系で研究室に入っていて、ナントカカントカというよくわからない難しい通信系の研究をNTTと共同でしていること、などを聞いた。

桜に囲まれた花園の中の寡黙な彼とは打って変わって、意気揚々と話す彼の姿を、私は心臓を耳に感じながらも、直視していた。就活中の難しい話や、研究のナントカカントカという専門用語はうまく聞き返すことができず、内容の理解は乏しかった。でも、彼の優しい声は、心地よい音楽のようだった。そんな音色を背景に、ふと、ある思いが込み上げてきた。

私「(ん?え?もしかして……これって、脈ありってこと?)」

だって、状況はこうだ。彼にとっては、「飲み会で全く話さなかった女子が、『先に帰る』と言って帰ってしまったので、追いかけて話している」という構図になっていないだろうか。私もそれなりに、少女漫画は読破しているので、恋愛のイロハくらい、わかっている。

この調子だと、少女漫画的展開でいくとすれば…

もしかして!!!もうすぐ、携帯のメルアドを聞かれるパターン?!

・・・

・・・ふふふ、

ふふふふふふ・・・

運命よ、

運命さんよ・・・

私にもやっと来てくれたのね。

運命は勝手にやって来てしまうものらしい。

そして、始まってしまった運命には逆再生はない、ハッピーエンドまでノンストップなのだ!

私は、ハッピーエンドの展開をありありと空想することができ、しおらしさから一転、勝ち組のような気分になった。皮膚細胞もピタッと噴火をやめ、緊急警報も鳴りやんだ。さっきまで「見つめてるだけでいいの…🖤」っていってたのは、どこのどいつだよ!!!

人生一度もモテたことがない私が、イケメンを前に、余裕の笑みを浮かべて、話し始める。思い込みの力はすごい、と今となっては回想するが、その時は、モテる女子の気持ちがわかったという確信があった。思い込みとはいえ、心に余裕ができると、人間の視界は広がり、思考も動き始めるようだ。「そうなんですね~すご~い!」と満面の笑みで、彼の話に相槌を打つこともできたし、同時に、彼女についても聞き出そうと思えるほど、脳は冴え渡っていた。彼女について、聞こう。別に彼女がいてもいい。

運命が、私に聞けと言っている。よしっ。


私「彼女さんは、就活、どうおっしゃってるんですか?」

ピッコロ「ん?彼女、おらへんで。」

おらへんで、おらへんで、おらへんで、おらへんでぇ……私の耳の中で何度もリフレクションが起きる。

「おらへん」

要約をおこがましくもさせていただくとすれば、「ピッコロの彼女」という存在は、いま、このとき、この時代、この地球上、いや、ナメック星にさえ、第7宇宙にさえ、いない・・・存在しない、ということですか!!!

……宇宙ぅぅぅぅ、キターーーーーーー!!!きました。はい。きたきた。スーパーモデル級イケメン王子は、みんなのものだった。つまり、全宇宙上のみんなで仲良く愛しましょうね♪ってことだ。なるほど、なるほど。

もちろんルールは守りましょうよ。みんなで仲良く愛しましょう。でも、それは・・・彼が私を選ぶそのときまでってこと。でーすよーねー☆

そうしているうちに、私たちは坂の下の駐輪場についた。彼は自転車をその駐輪場に止めた。その自転車は、校内の移動用らしい。私たちはまた、駅まで続く商店街を並んで歩いた。

彼は実家で暮らしていて、最寄り駅から大学まで、電車で通っている、ということも教えてもらった。

駅の改札まで来て、お互い向き合うかたちになった。

さて、来ましたよ。今日のクライマックス!

この瞬間は、後世、永遠に語り継がれる瞬間!

携帯電話のメルアドを聞かれる、この時よ!!!

いでよ!メルアド!


心の中では、私の中の小さな小人たちが、拍手喝采を送りながら、「メールアド!メールアド!」と応援コールを送ってくれている。メルアドを聞かれる時が、訪れた。バッチコーイ!!!



ピッコロ「じゃ。」

・・・・

・・・・

・・・・・きかへんのかーーーーーーーーーい!

彼はにこやかに去って行った・・・。運命よ、運命さんよ、残酷すぎ。


そうして、私達の初対面での運命と思われた運命でない出会いが終わったのだ。

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おっぱい編

彼を駅の改札口で見送った後、途方に暮れた。

運命だと思った。あんなにかっこいい人って現存するんだ、と思った。白馬の王子様っているんだと思った。

でも、メルアドは、聞かれなかった。もう、いつどこで、会えるかわからない。

研究室の名前、ちゃんと聞いておけばよかった。研究対象のナントカカントカという理系専門用語も、真剣にメモして、その研究室を探り当てるべきだった。顔と名前しかわからない。どうしよう。

その日は、一人暮らしのマンションまで着き、郵便受けに溜まったDMや手紙を抱えながら、エレベータに乗った。部屋の扉を開けると、ドッと疲れが押し寄せた。数時間のジェットコースターに乗っていたようだった。微熱の時のようなふわふわした高揚感と、不安色をした落胆がマーブル状になった状態だった。すぐにお風呂に入り、ベッドにダイブした。思いを巡らせる余裕もなかった。


次の日、朝起きた瞬間から、昨日の夜桜をバックに輝く彼のシルエットが脳を支配した。やっぱり彼のことが頭から離れなかった。少し冷静になった頭で、思った。

(運命だと思ったあの感覚は間違いかもしれない。)

ただ、もう一度会いたかった。ピッコロ様を知りたかった。

どうにか。

どうにか。

その時、思い出した。

(そういえば、あの韓国人の男の子、親しそうだったな。)

私は、友人経由で韓国人の男の子の連絡先を教えてもらい、メールで韓国人の男の子に、”ピッコロの連絡先を教えてもらえないだろうか”と聞いた。すると、10分後に

”いいよ~、ピッコロの電話は256-256-256で、メルアドはpiccoro@256.co.jpだよ。"

とびっくりするくらい簡単にピッコロの個人情報が取得できた。私は、教えてもらったメルアドと電話番号を携帯のアドレス帳に登録した。彼の名前は、友人たちが呼ぶあだ名しかわからなかったが、私の携帯には、私が彼と出会ったという痕跡が残ったようで嬉しかった。

しかしだ。

問題は、挨拶メールを急に送って、いいものなのだろうか、ということなのだ。メールを送るべきか、送らぬべきか、という哲学的とも思える難解な問いに、私は10分ほど逡巡した。

ピッコロにしてみれば、急にメールが来たら、「誰こいつ?」とか言って拒否するかもしれない(私の名前を憶えてくれているか微妙すぎる)。見ても、返さないかもしれない(当時、既読スルーなんて言葉なかったけど)。何なら、好感度あったとしても、急に他人からメール教えてもらった奴とかストーカーだわ、とか思って、引くかもしれない。こういう時のマイナス思考は非常に有効だ。危険回避のために、リスクとなりうる事象が沸いて出てくる。

答えは、これだ。
「メールは送らぬべきである。」

では、電話は?

私は、さらに思考を巡らせた。

これも同じだ。何の内容を電話するのか?急に電話したら、「誰こいつ?」とか言って拒否されるかもしれない(自分の名前を憶えてくれているか微妙すぎる)。着信を見ても、取ってもらえないかもしれない。何なら、好感度あったとしても、急に他人から電話番号教えてもらった奴とかストーカーだわ、とか思われてダメになるかもしれない。こういう時のマイナス思考は非常に有効だ。危険回避のために、リスクとなりうる事象が沸いて出てくる。

その時、ふとテーブルに目をやると、昨日回収したDMの山が目に入った。

「おっぱいバレー 主演:綾瀬はるか 
試写会のご案内 2名様」


・・・・・おっぱい・・・・バレー・・・・・・?



ああ、試写会ね……………いや、ちょ、まてよ!

私は、視線をそらしかけた自分の頬を平手打ちして、もう一度、おっぱいバレーの試写会案内がちらっと見えているDMの山を見た。

私「……これやん!!」

私は、DMの山をかき分けて試写会案内のハガキを取り出し、綾瀬はるかさんの胸を見つめた。そして、裏返して、裏面を見た。期日は、来週の平日。場所も、遠くない。”試写会が当たったけど、どうしても一緒に行ける人が見つからないから、一緒に行ってほしい”って言うのを口実にしたら、うまくいくんじゃないだろうか。

当時、大学生で比較的時間に余裕がある時は、映画の試写会にはよく応募していた。「おっぱいバレー」の試写会にも当選しており、入場券用のハガキが前日にちょうど届いていたのだ。

とはいえ、この映画はおっぱいが画面いっぱいに出てくるかもしれない。試写会なので、世の中にネタバレの情報が落ちていないため、どんな内容かわからない。

おっぱいの映画・・・おっぱい・・・

私の頭のなかは画面いっぱいのおっぱいでいっぱいになった。

そうなのだ。試写会に誘ってみて、仮にピッコロがOKと言ったとしよう。しかし、それは、私目的ではなく、おっぱい目的なのかもしれない。おっぱいが目的なら、私…ターゲット外決定やん…
風が首もとから、Tシャツの胸元を悲しいかな、スースー抜けていった・・・現実は、寒い。

でも・・・

でも・・・・

(んんんん~~~~~~うにゃぁぁぁl、もう!もう、おっぱい目的でも、ポパイ目的でも、アップルパイ目的でも、なんでもええわ!!!!!)

私は、とにかくピッコロの次回アポをとることで、繋がりをとどめておく戦法の方向で意思決定をした。よし、電話で「おっぱいバレー」の試写会に誘おう!

私は、紙にスクリプトを書き始めた。

まず、電話をかけて名前を言った場合、認識されている場合(YES)と認識されていない場合(NO)があるだろう・・・。そして、認識されている場合は、試写会の話をして・・・されていない場合は、自己紹介をして・・・。あ、電話のタイミングが悪いから忙しいと断られる場合もあるな・・・。そんな風に書いたのが、こちら↓↓(※写真は再現イメージ図です)

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私は、1時間ほどかかって、ああでもない、こうでもないと言いながら、小さなアパートの部屋で、ちゃぶ台の上に紙を置き、前髪をゴムでちょんまげにし、脚を組み、頬を肘で支えながら、シャーペンの文字を走らせた。電話をかけて誘う際に起こりうるあらゆるハードルを書き出し、そのハードル解除方法を事前に準備しておくつもりだった。そうすれば、パニックになった状態でも、何とか次の約束につなげられるかもしれない。これで、彼がどんな反応をしても、次に会う約束ができる・・・名付けて「GOGO!M子!ピッコロとおっぱいスクリプト」だ!!!

スクリプトが完成し、私は、改めて携帯で登録したピアスとのアドレス帳をもう一度呼び出し、見つめた。

piccoro@256.co.jp

その、彼のアドレスは、覚えてしまう前に、思いっきりアドレス削除のボタンを押した。

「削除が完了しました」

彼のメルアドは携帯から消えた。私は、画面を見ながら、携帯を握りしめた。メルアドは危険だ。だから、私にはメルアドは、必要ない。始まってしまったレースの中、電話番号しか、私に使えるアイテムはないのだ。このスクリプトと、燃えたぎる情熱エネルギーで、レースの勝利を狙うしかない!もう、後戻りはできない。運命に、バックギアは・・・ないのだぁぁぁぁっっっ!!!!!!

よしっ。

携帯に表示されているピッコロの電話番号を押した。

部屋は閉め切っていて、じわっと汗が出ていた。万が一を考え、ハード面も整備した。携帯の電池が切れないようにコンセントに差した充電機を携帯と繋げたまま、話すことにしたのだ。そして、そのコンセントのある白い壁に向かって、正座をし、床にスクリプトの紙を置いた。・・・ふぅ。深呼吸をひとつして、通話ボタンを押す。かかってこい!!!


トゥートゥー……

プルルルル…プルルルル…

ガチャ

ピッコロ「はい、ピッコロです。」

(で、デターーーーーーー!!!!!声が、声がかっこいい!!!しかも、紳士的な電話の出方!超丁寧やーん♡!!!!!)

私「あ、あの!!!この前、△△ちゃん主催の飲み会で、あの、大学の中庭の桜の!!!そこで、□□君も一緒におしゃべりした、M子ですが!あ、あの、今、お時間よろしいでしょうか?」

ピッコロ「はい。」

私「あの!試写会が当たって!二人で行けるんですが!あの、もし、時間があれば、一緒に行ってもらえないかと思って。二人分のチケットなんです!」

ピッコロ「・・・あ、はい。」

私「あの!映画は、『おっぱいバレー』って言って、綾瀬はるかさん主演で!最近、話題になってて、きっと面白いと思うんです!」

ピッコロ「はい・・・。」

私「どうでしょうか。」

ピッコロ「・・・いいですよ。いつですか?」

私「(うぉぉぉぉぉぉーーーーーースムーズ!)・・・あ!あの、〇日の△時からなので、XX駅で◇時に待ち合わせませんか?」

ピタッと「いいですよ。」

私「良かった!ありがとうございます!嬉しいです!あの、登録しといてください、私の番号!M子です!」

ピッコロ「うん・・・わかった。」

私「じゃあ!〇日にの◇時にXX駅で!あの、ありがとうございました!失礼いたしました!!!!」

うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!通話終了!!!!!

話し終えるや否や、通話終了ボタンをマッハのスピードで押した。

・・・・はぁ、はぁ、はぁ。

動悸が耳にうるさかった。ドクドクドクドク言ってくるので、他の音が聞こえない。白い壁に向かったまま、頭を壁につけた。壁がひんやりほてりを癒してくれる。

い・・・いけた・・・。おっぱいに、来てくれる・・・。

私とピッコロは、もう一度会うことになったのだ。



当日、映画鑑賞は滞りなく終わり、初めての”デート”は終了した。おっぱいバレーは結構泣けるいい映画だった。私は、その後もメルアドという必殺技がない中でも、着実にリアル接点を持ち続けた。韓国人の男の子からの情報で、ピッコロが、ほぼ毎日「マジュニア(仮名)」という300円均一の飲み屋で友人と飲んでいる、と教えてもらったときは、一緒に連れていってもらった。同じ場にいても、ピッコロのそばに陣取るなんてことはしなかったので、むしろ、彼の周りの友達とどんどん仲良くなっていった。私の恋心に気づいていた男友達は、親切心か、ただ面白がっていたのか、「ピッコロは、今日は鳥貴族で飲むらしいから一緒にいこう」「今日は大学のパーティーにいるから、いこう」と誘ってくれたので、週2~3回は定期的に会うような状態が続いた。なんとなく、同じ仲良しメンバーの輪の中に入っていった。

何回見てもかっこよかった。でも、何回会っても私達が二人きりで話すことはあまりなかった。就活中の彼はいつ見ても、スーツだったし、髪の毛はやっぱりきれいな茶色の自毛だった。

そんな毎日の中、転機が訪れる。

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初夜編


そんなある日、突然、私の携帯電話のバイブレーションが鳴った。

ブーブーブーブーブー

携帯の画面を見ると、

ピッコロ

と表示されていて、心臓がバクゥゥゥンとでっかい音を上げた。

(ピッコロから電話が来ている!!!!!!)

何も考えずに、とにかく「通話」ボタンを押して、電話に出た。

私「はい!M子です!」

ピッコロ「あ、今就活の帰りで、新幹線で東京から関西帰ってんねんけど、多分、内定もらえるから、飲まへん?」

私「はい!」

ピッコロ「じゃあ、マンションの横のマクドに着いたら、また電話するわ。」

プツッ、プープープープー

お、さ、そ、い、キターーーーーーーーーーーーー!

すぐに切れた電話の、さっきまで話していたピッコロの声の余韻を捨てたくなくて、しばらく携帯電話を耳に当てたまま小躍りした。既に夕方の5時だったので、多分、近くの300均居酒屋とかでみんなと飲むんだろうな、と思いながらも、会えるのがとにかく嬉しかった。ちゃんとメイクをしたかったので、アイラインを何度か引き直し、ビューラーでまつげをめいっぱい上げた。ワンピースかジーンズか、どうしようかと服を迷っていた時、

ブーブーブーブーブー

ピッコロがもう例のマクド(関西弁で「マクドナルド」のこと)に来ているという連絡が入った。え、早くないか?さっきの電話、新幹線の中ちゃうかったんか!?光陰矢の如し過ぎ。結局、その時に着ていた服装のまま、急いでマンションの階段を駆け下りた。

マクドの中は相変わらず、同じ大学の学生らしき若者で混んでおり、店外にも列ができるほど、ごった返していた。でも、私の目は、店外から窓ガラス越しでも、座っているピッコロをとらえることができた。だって、マクドの照明でさえ、彼に光を集めていたから。スポットライトが当たっているから、見つけるのは、簡単なのだ。

ピッコロ「よ、じゃあ、いこか。」

私が声をかけると、ピッコロは飲んでいたミニサイズのマックシェイクをズズっと最後まで飲み干した後、立ち上がって、ゴミを丁寧に分別して捨てた。そして、そのまま、そそくさと店の外に出ていった。私は、追うようにピッコロの後を急いだ。

私達は、電車に乗って、大阪の梅田まで出かけた。学生街の300均居酒屋ではなかった。梅田とは…デェトじゃないですかっ、女神様!

ピッコロ「この前、映画奢ってもらったし、そのお返しな。」

彼は、そう言うと、ダーツバーやビールパブに私を連れて行ってくれた。そんな場所をひょいひょい飲み歩くなんて、遊び慣れしているようだった。

ダーツバーもビールパブも、そんなに会話は必要なかった。ゲームで遊んで、負けたら飲んで、笑って。こんなにかっこいい人の横を歩いているだけで、いい女になった気分だった。背筋をできるだけ伸ばしてあるくようにした。他の人から見たら、カップルに見えているのかもしれない・・・そんな妄想をして勝手にニヤニヤした。時が経つのは一瞬だった。すると、突然、ピッコロが叫んだ。

ピッコロ「あ、今、何時?」

私「え?もう11時くらい。」

ピッコロ「まじか!間に合わへんわ…」

私「え?どうしたん?終電まだありますよ。」

ピッコロ「今日、F1の上海グランプリがあるねんけど、見れへんわ…」

私「F1?F1って、車のレースですか?何時からなんですか?」

ピッコロ「11:50くらい」

私「ん~、それやったら、うちの家なら、今から出たら間に合うとおもいますけど、うちで見ますか?」

ピッコロ「まじで!!!いいの!!!!!」

ピッコロは、嬉しそうに私の部屋に上がった。入ったら、すぐにテレビの場所を探し、見つけると前に座り込んだ。

ピッコロ「テレビ、つけていい?」

私が、大きくかぶりをふるやいなや、待ってましたとばかりに彼はリモコンでテレビをつけた。どうやら、間に合ったらしい。嬉々としてTVのレースを見る彼を微笑ましく思った。白馬の王子というより、赤馬の貴公子だなー、なんて思いながら、興奮した彼の横顔を見つめた。

(部屋…なんとなく片付いてて良かった…セーフ!)

今は地上波でF1はやっていないが、当時は、夜中のフジテレビがF1を放映しており、実況もピットレポートも、大の大人たちが現地やスタジオからハイテンションで行っていた。私は、彼がテレビを見つめる後ろで、ベッドの上に座り、彼の後頭部を見ていた。

つむじがふたつあるところも、首筋にホクロが2つあるところも、左利きなところも、真剣な表情も、キュンキュンした。「ピッコロのこと、細胞レベルで全部好き」とその時私は、幸せな気持ちになりながら、眠りについた。

これが、私たちの初夜である。初夜といっても、手も繋いでいない笑。同じ屋根の下で一晩を過ごしただけ。ただ、彼はその日から「F1の日はM子の日な」と言って、F1のある日は私の家にくることになる。王子が、F1があるたびに、私の部屋に来るのだ。私は、F1が大好きになった。


そのあと、「F1の日はM子の日な」を「俺はM子のモノな」に完全に脳内変換した私の勘違い猛プッシュの結果、お付き合いを始める。(この話は「貞子編」と呼ばれるものです。一人でも読みたい人がいれば書きます笑)

私達は、幸せなカップルとして、大学生活を一年共に過ごした。

社会人になって彼が東京に出るのをきっかけに、東京ー大阪間の遠距離恋愛も経験した。

私は、彼と一緒にいたくて、東京に出るためだけの就活をし、数年後、結婚。

今は、4歳の息子と東京で暮らしている。

私は、幸せな恋愛と幸せな家庭と幸せな人生を手に入れた。


そして今。


なのに。

なのに、なのに。

どうしてだろう。

いま、私達はセックスレスなのだ。

正直言うと、問題なのは、セックスレスであることではない。ふたりがしたくないなら、セックスレスは、大騒ぎするものでもなく、単なる言葉のうちの1つだ。夫婦の問題でもないし、ましてや、他人が首を突っ込むべきものでもない。「どちらか一方がしたい」。その状況のときに、「セックスレス」は単なる言葉ではなくなる。ふたりの、問題になる。

そして、いま、私にとって、「セックスレス」は、大大大大問題だ。したいのだもの。

あれだけ、恋焦がれ、一生に一度の恋をした彼と、手をつなぐことも、笑って話をすることもなくなったのだ。旅行をしても、私が息子に話しかけ、主人も息子に話しかけた。一緒にF1を見ることもなくなってしまった。

今でも、私は、たくさんの人のなかで一瞬でピッコロを見つけられるし、彼のふとした表情とか「かっこいいな」と思うし、1日に1回は、彼に触れたいなと思う。

更に言うと、当時はわからなかったピッコロの優しさや我慢強さも、知っている。もし、タイムマシンで過去に戻って昔の私と出会ったら「あんたより、私の方がピッコロとこと知ってんねんで」とヤな女を演出してみたい。もし、相手の好きなところを知る度にスタンプを押せるカードがあったら、スタンプカードは百枚は溜まっていると思う。ピッコロ大好き協会があれば、私が間違いなく会長だと思う。

辛いもの食べるとすぐにお腹を下すのに、気づいたらまた食べてることも知ってるし、寝てるときに呼ぶと絶対反応することも知ってるし、息子に並々ならぬ愛情を注げる人だということも知っている。好きは、減るどころか、彼のことを知る度に増えている。

でも、描く将来像や家庭観の違いで生じてしまった摩擦と、ふとしたすれ違いを6年間で何度も何度も重ね合ってきたのも事実だ。付き合っていた期間とは違うある種の依存と甘えの結果、必要以上にピッコロを傷つけるような言葉を投げつけてしまった。しかも、私から。

私なりに、キャリアや人間関係など、外で背負ってきた傷に必死に耐えようとしていたし、初めての他人との生活と、経験したことない子育てに、がむしゃらにしがみついてきた。「妻とはこうあるべき」「母とはこうあるべき」が、私を締め付けていたこともあり、私なりに苦しみ、疲弊していた。ピッコロに助けてほしい、そう思った時も、うまく私のHELPが届かないことばかりだった。心のSOSは日に日に溜まっていき、ついには、ピッコロへの諦めの境地まで来ていた。視線を重ねることさえ、諦めてしまった。好きだよ、と伝えることさえ、大きな労力に感じるようになった。そして、好きの伝え方を、今、思いつかなくなってしまった。


わたしは、断言できる。

わたしは、いまでも、一生に一度の恋をしている。

あの中庭で、あの大学で、あの部屋で、あの居酒屋で。

会うたびに彼がどうしようもなく、好きだった。

世界一好きな人と一緒になれて、本当に幸せで、

世界一大切な人との子供ができて、死ぬほど、嬉しかった。

妊娠中も、切迫流産や悪阻の悪化で入退院を繰り返しながら、その辛さでさえ、愛しく思えるほど、私は幸福に包まれていた。神様しか介入できないくらいの確率で来てくれた赤ちゃんは、私達が、あの日あの時、運命が結んでくれた中庭から始まって未来につながっていく奇跡の結晶だと心の底から思っていた。

そして、やはり、大問題なのは、あの日から変わらず、少しも変わらず、なんなら、そのときよりももっと、私は、今の彼がやっぱり好きなことだ。

だから、

だから、

いま、

毎日喧嘩して、不機嫌に暮らす自分自身が、

「離婚」なんて言葉がチラつく自分のクソボケカスな脳みそが、

本当に嫌だった。

泣いたり怒ったり、無視して相手をわざと傷つけたりしながら過ごす毎日が。

どうしても、いやだった。

私がピッコロに対して不機嫌な態度をとる横で息子が、背中を向けて怪獣とウルトラマンフィギュアを戦わせているのを見て、涙が出た。

なんでこうなってしまったんだろう。

仕事や子育てを言い訳に、疲れきると大好きな彼を攻撃した。その度に、眠りにつくとき、何でわかってくれないのだろうという気持ちで大泣きした。彼との時間は、限られているのに、殺伐とした家をこしらえているのは、紛れもなく私だった。

こうしている間にも、彼と過ごせる時間は1秒1秒減っているのだ。

理不尽な社会やいろんな中傷に対して沸き上がってくる怒りとか苦しみとか、辛さとか悲しみとかを、現実の毎日のなかで、隠すことができず、それをどうしても、彼にぶつけてしまった。

彼は、仕事で嫌なことがあっても、連日徹夜で絶対疲れていても、私にぶつけることはなかったし、その片鱗も見せようとしなかったのに。

わたしは、

わたしは、

わたしの中に溜まるイライラを外へと出すことでしか、

私たちの関係が悪くなるとわかりながら、壊すことでしか、

わたし自身を守ることができなかった。

醜い感情を放出することで、自分を浄化し、殻のなかに閉じ籠ることで、身を守っていた。

でも、何度もワープするのだ。あの桜に囲まれた中庭に。そして、戻ってきて、今の彼を見ると、やっぱり好きで、涙が出てしまう。


大好きなピッコロと、ずっと仲良くしたい。

ピッコロに、もう一度、素直に好きだと言いたい。

私と出会ったことを、良かった、と思ってほしい。

どうにか、

どうにか。

ピッコロ。

ピッコロ。

どうにか。


私はわたしを変えたかった。

何が正解か分からなかった。でも、femtechのイベントで「生理やセックスや更年期や妊活は男女両方の問題だ」「ふたりで、かんがえよう」と言われたことが妙に腹落ちした。私は自分で勝手に諦め、自分で勝手にシャッターを下ろしたのだ、という自覚が湧いてきていた。

だから、走った。渋谷の道玄坂を。

わたし、一番大事な人にもっと自分のこと、知ってもらいたい。

わたし、一番大事な人との関係をもっとよくできる自分になりたい。

わたし、ピッコロとわたしの「ふたり」が一番いい。

なにか、

なにか、

私自身を変えないといけないという危機感を初めて持った。

私が作ってしまった殺伐とした世界を、優しくてリスペクトのある我が家に戻すのは、私でしかないと確信していた。

ピッコロに刃を向けることで、自分を守るのではなく、辛い気持ちや、悲しい感情、醜い自分を伝えることで、人生に訪れる困難を、ピッコロとふたりで乗り越えたいと。

自分とピッコロが「ふたりで」関係をもう一度、一緒にはじめる、それを二人でやっていきたいと。

だって。

ピッコロのことが世界一好きで、息子のことが世界一好きだから。

だから。

一方的な押し付けかもしれないけれど、突拍子もないことかもしれないけれど、私が彼を世界一好きだと信じ続けるその気持ちしか、私にはなかったのだ。

世界一の、

世界一の、

世界一の夫婦になりたい。

だから、私は、ナプキンを見つめて決意した。



伝えてみよう、と。


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あとがき

長文をお読みいただき、ありがとうございました。

いやぁ、長い。16175文字。今日しか、投稿できる言い訳が見つからへんやつ、書いてしまった。

「結婚6年目に経血のついた生理ナプキンを見せてみた」は、冷え切った夫婦関係と、疲れきった私達の終焉へ向けた第一歩であることは確実でした。生理でゾンビ化し、血みどろの私と、私のあらゆる言葉の攻撃を受け、ボロボロになり、こちらも血みどろだったピッコロが、お互いの目を久しぶりに見てみた、そんな出来事でした。

じゃあ、セックスできたの?

結論は「まだ」です。

まだ、好きと言うには抵抗があります。セックスを誘うのもうまくいっていません。でも、なにかが変わった気がします。少なくとも、私たちは、いま、お互いの目を見て話すようになりました。

そして、noteやtwitterの反応を見るたびに、「私はこう思う」「俺はこう思う」という夫婦のコミュニケーションが生まれました。なので、皆さんのおかげでしかないのです。

まだまだ、少しずつです。

一歩一歩です。

たまに、数歩下がったりもしているかもしれません。

でも、「生理1日目のナプキンを見せる」前の私より幸せ、これはホント。

2019年9月21日、7年目の結婚記念日の今日、結局私は仕事を選びました。自宅ではありましたが、パワーポイントとエクセルと戦っていました。ピッコロは息子をお稽古に連れて行ってくれています。だから、フランス料理のある結婚記念日でも、ケーキのある結婚記念日でもありません。

でも、帰ってきたら、「結婚記念日、ありがとう。7年目もよろしくね。」と伝えてみようと思います。一番大事にすべき人は、一番リスペクトすべき人は、すぐそばにいるのだと、そんな当たり前のことに、今さら気づいてしまいました。大事な人を大事にする。ゆっくり続けていきたいと思います。


ピッコロ、ありがとう。本当に。

ごめん、ありがとう。

ありがとう。

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