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【医師が教える】コロナ禍で健康を維持するための「食事・睡眠・検査」絶対レシピ

私たちが日ごろ心がけていることをお教えします。/牧田善二(AGE牧田クリニック)×渡辺賢治修琴堂大塚医院院長、司会・構成=森省歩

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▶︎日を浴びながら運動すると、血行が良くなるとともに筋力がつき、ビタミンDも生成される。これらはすべてウイルスに対する抵抗力を増す
▶︎アルコールは血糖値を下げますから、お酒をうまく飲むと痩せる。「ビールで太る」とされているのは、糖質が多く、早く飲むから
▶︎イザという時のために、いい医者のいる救急搬送先を事前に調べておくことはまさに死活問題

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糖尿病患者に対するアドバイス

渡辺 編集部から今回の対談の依頼をいただいて以来、糖尿病の著名な専門医でいらっしゃる牧田先生にお会いできることを心待ちにしておりました。

牧田 私は漢方については門外漢です。それだけに私も歴史のある漢方専門医院の院長をされている渡辺先生とお話しできることを楽しみにしておりました。

渡辺 早速ですが、まずおうかがいしたいのは目下の新型コロナウイルス感染症についてです。とりわけ糖尿病の患者さんは重症化のリスクが高いと言われていますが、牧田先生は糖尿病の患者さんに何か特別なアドバイスをされていますか。

牧田 実は最近、中国の興味深いデータが「セル」という有名な医学雑誌に発表されました。その論文によると、ヘモグロビンA1c(過去1~2カ月間の血糖値を反映)が7.3%くらいの、比較的コントロールのいい患者さんの死亡率は1.1%であるのに対し、これが8.1%くらいになると死亡率が11.0%に跳ね上がる、というのです。

渡辺 死亡率が10倍ですか。

牧田 あくまでも中国でのデータですが、「コロナも血糖値をコントロールしないとアブナイ」とは言えそうです。したがって「血糖値を下げる薬はイヤだと言っていた人も薬を出してもらったほうがいい」というのが、糖尿病の患者さんに対する私のアドバイスになりますが、渡辺先生はどのような指導をされているのですか。

渡辺 患者さんには「とにかく気を落とすことだけは避けてほしい」とアドバイスしています。

牧田 「気」というのは?

渡辺 漢方で言う「内なる正気(せいき)」のことで、運動不足などでこの気を落としてしまうと免疫力も下がってしまうのです。漢方には「心身一如(心と体は一体のもの)」という考え方があります。今日の午前中も鬱症状を訴える患者さんが来院しました。話をうかがうと、コロナ禍の中、自宅に閉じこもりがちとなり、運動不足で体力が落ち、食欲と体重も落ちて、気力もガクンと落ちる、という悪循環に陥ってしまっているようでした。

牧田 いわゆるフレイル(虚弱)の状態ですね。

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外食は心して避ける

渡辺 そのようでした。このような場合、心療内科を受診すれば鬱症状の薬を出してもらえるのかもしれませんが、コロナ恐怖症で心身ともに弱っている場合には、「気持ちだけ持ち上げても仕方がない」というのが漢方の考え方です。そこで「まずは規則正しい生活をしながら、日光の下で散歩に出るなどして体力をつけましょう。そうすれば食欲も戻って体重も戻り、気力もおのずと回復していきます」とアドバイスしました。日を浴びながら運動すると、血行が良くなるとともに筋力がつき、ビタミンDも生成されます。これらはすべてウイルスに対する抵抗力を増す結果になります。

牧田 安易に薬に頼るのはよくありませんね。渡辺先生ご自身が新型コロナについて何か気をつけていることはありますか。

渡辺 独自に調合した漢方薬を感染予防のために飲んでいます。

牧田 どんな薬ですか。

渡辺 免疫能を増強するという報告のある冬虫夏草(とうちゆうかそう)、紅参(こうじん)(薬用人参を蒸したもの)、霊芝(れいし)などを調合したものになります。日常診療の中では、帯状疱疹の患者さんに使うと治りが非常に早いことを経験していますので、抗ウイルス作用が強いことを実感しています。

牧田 ということは、新型コロナの重症化予防にも効果がありそうですね。コロナは重症化さえしなければ「ただの風邪」ですから。

渡辺 私は第1波の時から漢方薬による治療ならびに予防を行ってきました。実は、漢方は感染症に対して長い歴史があります。今回のコロナに関しても非常に有効だと考えています。最近は後遺症もよく診療します。いずれにせよ、まずは感染しないこと、次に重症化させないこと、そして最終的には死なないこと、が肝心だと思うのですが、牧田先生ご自身は何かされていますか。

牧田 これはある有名な病院の先生から聞いた話ですが、重症の患者さんの大多数の感染源は、「飲食の場での飛沫感染」なのだそうです。これは飛沫の量が多いせいかもしれません。その先生から「職業上、牧田先生もかかるとまずいだろうから、とにかく飲食店に行くことだけは避けたほうがいい。それだけできっと感染予防できると思うよ」と強く勧められたので、以来、外食は心して避けるようにしています。

渡辺 牧田先生は『医者が教える食事術』をはじめ、食事に関するベストセラーを数多く出されていますが、実は私はBMIは標準なのですが、内臓脂肪が少し多くなりがちです。4、5月の第1波の時には時間もあったので、筋トレを頑張り2キロほど痩せて内臓脂肪も正常に戻ったのですが、その後、仕事が忙しくなったこともあって、体重がまた増え始めてしまいました。そこで、牧田先生おすすめのリブレ(血糖値をリアルタイムで測定する医療機器)を体につけてみたのですが、その値を見るとやはり食事によって血糖値の上がり方がぜんぜん違うのです。食事がいかに重要であるかをあらためて痛感しました。

ご飯とパンの量は調節すべし

牧田 渡辺先生の場合、食後の血糖値はどれくらいありますか。

渡辺 食後の運動をしないとすぐに160を超えてしまいます。

牧田 糖尿病でない人は140以上にはならないとされていますが、ジュースなどを飲むと180くらいにまで跳ね上がります。ですが、血糖値を急激に押し上げる食生活は、インスリンを分泌する膵臓を疲弊させますし、糖尿病を誘発する肥満の原因にもなりますので要注意です。

渡辺 そこで私も食前にキャベツをたくさん食べたりしているのですが(笑)、牧田先生がご著書で強調されているのは「真犯人は糖質」ということですね。

牧田 肥満の原因は炭水化物(糖質)にあり、炭水化物を摂りすぎると、それが脂肪に変化してぜい肉として蓄積される。実は、このことは生化学の教科書には古くから書かれていた事実で、今や基礎医学の分野では太るメカニズムは完全に解明済みの問題なのです。

渡辺 原因はカロリーの摂りすぎではない、ということですね。

牧田 その通りです。カロリーの高いもの、例えば豚肉の脂身を食べたから太るわけではないのです。脂肪にはたくさん使い道があって、体内で消費されると同時に、脂肪は消化吸収が悪いため、摂りすぎた脂肪は便として排出されてしまいます。いわゆる脂肪便ですね。

渡辺 牧田先生は普段どのような食事をされているのですか。

牧田 私の場合、身長が162センチですから、理想体重は57.7キロ。毎朝、お風呂に入ったあとに体重計に乗り、例えば300グラム太ったとすれば、糖質の摂取量、具体的にはご飯やパンの摂取量を意識して減らします。逆に、減らしすぎて痩せてきた場合は、それなら今日はカレーライスでも食べるかという形で、理想体重を基準に食事内容を調節しています。

渡辺 すばらしいですね。

牧田 いやいや。私は糖尿病の専門医として患者さんに痩せる指導をしていますから、立場上、自分が太ってしまっては非常にまずいという事情もあるのです(笑)。

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冷たいものは飲まない

渡辺 医者は患者さんよりも節制を徹底しないといけないですね。少し耳が痛いです(笑)。私の場合、まず1日の生活リズムを規則正しくすること、すなわち体内時計を狂わせないことを心がけています。具体的には、朝起きて1時間以内、大体7時半頃に朝食、12時から1時頃にかけて昼食、そして6時から7時頃にかけて夕食というパターンです。食事の内容については、牧田先生がご本などで推奨されている通り、まず野菜を食べ、それから肉や魚を食べ、最後にご飯を少なめに食べる、という順番や方法を徹底しています。

牧田 それでも体重が増えてきた時は糖質をカットしますか。

渡辺 はい、血糖値を見ながら。それから西洋医学ではあまり言われませんが、漢方では「冷え」を最も嫌いますから、真夏でも冷たいものはほとんど飲みません。とくに冬は根菜スープ、豚汁、けんちん汁など、体を暖める根菜類の入った熱い汁物を積極的に摂るようにしています。

牧田 私も、朝食の時間は渡辺先生とほぼ同じです。出勤前の7時半頃に毎日パンを食べます。何しろ妻がパン好きなので、自動的に朝食はパンになってしまうのです(笑)。

渡辺 パンの種類、というか小麦の種類は気にされますか。

牧田 糖質の吸収が緩やかな全粒粉パンやライ麦パンなど、真っ白なものではないパンを選ぶようにしています。それに多めのバターをつけて、ホットコーヒーを飲んで、あとは果物を1種類ですかね。今の時期ならミカンとかリンゴとか。

渡辺 野菜は摂らないのですか。

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