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KYOTO GRAPHIE 2024と幸せについて

 今ちょうどやっているKYOTO GRAPHIE 2024に今年も行くことができた。というのも、日常のバタバタでスルーしそうだったのを、親愛なる友達が教えてくれて、急遽2日前に行こう!!ということになったのだ。この頃家族の予定で、フットワークが重い重い時期を過ごしていたので、4月に入り新年度は、フットワークを軽く!を目標にしていた。ゴールデンウィーク前半の最終日、夕方から家族の予定があったので、今までなら断っていたかもしれないが、今回は、何がなくても会いたい友達だし、KYOTO GRAPHIEということもあって、思い切っていくことにした。

 京都市内あちこちで開催されていて、1日に何ヶ所か行けるのが理想なのだが、今回はランチを食べながら話すのも目的の一つなので、相談して、クラウディア・アンドゥハルさんの写真展をみに行くことにした。会場がまた京都文化博物館というのも素敵だ。
この展示は、ブラジルに住む先住民のヤノマミ族の写真やイラストに加えて、映像と音楽のインスタレーション、クラウディア・アンドゥハルさんの生涯を描いた映画「Gyuri」の上映もあった。

青色が印象的な今回の表題作。川に浮かんでいる少年の口元には、ヤノマミ族の文化でいうアクセサリーなのか、木の棒のようなものが数本刺さっている。

 蜷川実花さんを彷彿とさせる色彩鮮やかな写真もいくつかあった。

色を調整しているのか、このような色の木が実際にあるのかわからないのだが、ずっと見ていて飽きない素敵な写真だった。この真ん中にあるのがヤノマミ族の共同住居。

 驚いたのは、クラウディアさんがスイスで生まれ、ナチスの弾圧を逃れあのホロコーストを生き抜き、ニューヨークを経てブラジルに移り住んだということだった。そして、写真家として活動する中でヤノマミ族と出会い、彼らに強く惹かれ、アマゾン占領政策から彼らを守り、ヤノマミ族がそのまま存続できるように尽力したそうだ。人生、どこでどうなるか、本当にわからないものだけど、普通に文明的な暮らしをしていたのに、先住民たちとここまで寄り添い、母、と慕われるまでになるには相当な努力や苦労があったに違いないと思うと、1人の人間の力に改めて感服するしかなかった。

病気などが流行したり、ヤノマミ族の重要な人物がなくなったら全て焼き払われるという共同住居。
もともと銀行だった文化博物館。どこをみても素敵だった。
迫力のインスタレーションはミステリアスで不思議な雰囲気に包まれた。

 自分たちがこの民族に生まれていたら、何をしていただろうね、と話しながら見ていた。人生って不思議なものですね。

 最後に2階では、クラウディアさんの生涯を追ったドキュメンタリー映画が放映されていた。全部は見られなかったが、ちょうどタイトルの『Gyuri』の由来がわかるシーンを見ることができた。それはクラウディアさんがスイスを逃れるときに出会った男の子の名前で、彼女は公園で彼に会ったときに、一瞬で恋に落ちてしまった。ただ、彼はユダヤ人。一緒にいると危険だと言われ、まだ少女だったクラウディアさんは、キスだけしてほしい、と初めて大胆にお願いしたそうだ。そしてキスだけをして2人は別れ、彼は強制収容所に連れて行かれた。そのとき彼女がもらった彼の写真を今でも大切にペンダントに入れて持っているという。そして、彼女のライフワークであるヤノマミ族を救う活動のドキュメンタリー映画のタイトルが、忘れられない彼の名前なのだ。彼は強制収容所で亡くなったそうだ。
胸が締め付けられた。

 ただ、その経験があったから、もしかしたら彼女はヤノマミ族を救うという尋常ではない偉業を成し遂げたのかもしれない、ふとと思ってしまう。戦争なんてあってはならないことなのに、必要悪?と考えてしまうこともある。
しばしば、アートは戦争と密接に関わっていることが多いからだ。
でも、やっぱり、やっぱり、戦争は絶対にあってはならないことなのだ。戦争だけではなく、人種や環境で差別されることも絶対にあってはならない。やっぱり、必要悪、というこは絶対ないのだと思い直す。強く思い直す。
もし、言えるとすれば、それは、クラウディアさんが、辛い体験に負けるのではなく、それを自分の力にして人の役に立とうとした、ということだろう。

 また、人生、誰と出会うかによって人生が変わっていくものなのだということも改めて実感した1日でもあった。クラウディアさんが、ヤノマミ族に出会ったからこのアートがうまれたのだし、彼女の人生も全く変わってしまったのだ。
今日一緒に行った友人は、私にとって、ジャイアンの言う”心の友”であり、まるでテレパシーが存在するかのように、離れていても私のことをわかってくれる。大学で彼女に出会って、私は私のままで素晴らしい、ということを知ることができたし、言葉にはできない、素敵なことを彼女からたくさん教わった。
この日この後、予約していたレストランを探し、しばし2人で京都の街を彷徨ったのだが、偶然、KYOTO GRAHIEのインフォメーション町屋にたどり着いた!八竹庵(旧川崎家住宅)ということで、素晴らしい建物を堪能することができたし、今回出品しているアーティストの作品が少しずつ展示してあり、とてもラッキー!

八竹庵の中庭

「不思議なことに、一緒にいるといいことがあるねー!」とお互いに言い合ったりして。何気ないことも幸せだと感じられる。それも簡単そうで、案外難しいことなのかもしれない。
出会う人で人は、これまたやっぱり、変わっていくと思う。彼女に出会ってから、肩肘張って、頑張っていた私は、急に楽に生きられるようになった。

唯一の洋室がまた素敵!
見たかった、潮田さんのマイハズバンドの一部も見ることができた。

 たくさんいろんな話をして、美味しいランチも大満足。
帰りは雨が降ってきたけど、なんとか本降りになるまでに帰ることができたし、久しぶりにアートに接して、大切な人と話して。なんて充実した幸せな1日だったのだろう!生きているといいことがあるもんだ。また明日から頑張ろう。そして、来週までやっているので、後数箇所展示を見に行こうと思う。

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