日本史の時代区分について
九條です。
日本史の大まかな時代区分を表にまとめてみました。細かい部分については諸説ありますのでお見逃しください。
表の見かたと意味
1段目〔原始時代〕
現在、歴史の時代区分としては使われていない言いかたです。その定義も曖昧で、古墳時代を原始時代とするかどうかも定まっていません。差別・侮辱的な意味合いを含んでいることばでもありますので使わないほうが良いと思います。
2段目〔原史(先史)時代・有史時代〕
歴史上のできごとについて、そのできごとと同じ時代に書かれた「文字としての記録」すなわち文献資料(史)があるかないか(残っているかいないか)での区分です。
「原史(先史)」というのは、文献資料が存在していない時代もしくは存在していてもごく僅かでその記述があまり信頼できないような時代という意味です。この区分はたまに見かけますがそれほど多くは使われていません。
※この時代区分のうち「ゲンシ」は「原史」であって「原始」ではありませんので(漢字に)ご注意ください。
3段目〔太古(上古)・上代・中古〕
文学史による時代区分です。現在ではほとんど使われていません。
4段目〔神話時代・万葉時代〕
これも文学史による時代区分です。現在ではほとんど使われていません。
5段目〔古代・中世・近世・近代・現代〕
西洋的な大きな視点での時代区分です。日本史における「古代」は、律令制の萌芽期から律令体制の崩壊まで。「中世」は武家政権の誕生からその崩壊まで。「近世」は徳川政権の確立から明治維新まで。「近代」は明治維新から太平洋戦争(大東亜戦争)開戦まで。「現代」は太平洋戦争(大東亜戦争)終戦から今日まで。と考えて良いと思います。
6段目〔旧石器・縄文・弥生……など〕
おもに学校(義務教育)で教わる時代区分です。もっとも一般的でいちばん良く知られている区分だと思います。
7段目〔飛鳥・白鳳・天平……など〕
美術史による時代区分です。たいへん良く使われています(ただし藤原時代は古い言いかたで現在はほとんど使われていません)。
※「昭和初期」という時代区分について
「昭和初期」という場合は、昭和元年から太平洋戦争(大東亜戦争)開戦までの間をさします。
※「近代・現代」という時代区分について
近代と現代の境い目は、基本的には近代は太平洋戦争(大東亜戦争)開戦以前すなわち戦前。現代は太平洋戦争(大東亜戦争)終戦後すなわち戦後なのですが、太平洋戦争(大東亜戦争)の戦時中は文化史的にも政治史的にも時代背景そのものが非常に特殊な時代でしたので戦前に入れるか戦前とは区別して「特殊な時代」とするかは、議論がわかれるところです。
九條正博/大阪歴史倶楽部は、戦時中は戦前とは区別して、特殊な時代と考えています。
おわりに
これらの時代区分は、実際には6・7段目を併用して(混ぜて)使われていることが多いと思います。すなわち:
旧石器・縄文・弥生・古墳・飛鳥・奈良・平安・鎌倉・室町・安土桃山・江戸・明治・大正・昭和・平成・令和
と言われることが多いと思います。また飛鳥時代と奈良時代との間に「白鳳」時代を入れる場合もあります。飛鳥時代と白鳳時代との境い目は、西暦645年の乙巳の変(大化改新)です。
飛鳥時代にはまだ大きな古墳(奈良県の石舞台古墳など)が造られていましたので、考古学では飛鳥時代を古墳時代後期または終末期古墳の時代とすることがあります。
大化改新のときに「薄葬令」が出されて古墳を造ることが制限され、その規模もたいへん小さなものになりましたので、大化改新から後(すなわち白鳳時代から)を奈良時代に含める考え方もあります。
また飛鳥時代と白鳳時代を「奈良時代前期」とする考え方もあり、飛鳥・白鳳時代の位置づけについては不安定な要素があります。
そのほかに「戦国時代」という呼びかたがありますが、これは俗な言いかたで「歴史学」という学問では使いません。何をもって「戦国」と定義をするのかという問題を含んでいます。一般的な表現として使うには何の問題もありませんが学問上の「時代区分論」としては用いません。
以上、日本の歴史の時代区分のしかたをごく簡単に説明させていただきました。ご参考にしていただければ嬉しく有り難く思います。^_^
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