①乳児期
エリクソンのライフサイクルモデル。その一番最初の発達時期は、「乳児期」です。
年齢で言うと、0~1歳の2年間。
まさに人生の始まりの期間です。
乳児期での危機的発達課題は、「基本的信頼感」の獲得。
人間として生きる上で欠かすことのできない、「人間と繋がる力の基盤」が出来ます。
また、この先の人間の発達は全てこの基本的信頼感の上に構築されますので、全発達段階の根底といえます。
例えば、そもそも土壌がなければ植物が育つことがないように、この課題を獲得せずにこの先の発達に進むということはあり得ません。
いくら言っても言い切れないくらい、この時期がとにかく最重要なのです。
基本的信頼感は、特定の大人との無条件な信頼関係が成立して獲得できます。
特定の大人というのは、家庭に於て多くの場合は母親、保育園にとっては当然担当の保育士です。
自分の世話をしてくれる大人が頻繁に入れ替わってしまう環境のなかでは、この基本的信頼感は獲得しにくくなります。
より獲得を容易にするためには、育児担当制をとり、頼るべき大人が子どもにとって分かりやすくしておく方法があります。
基本的信頼感の獲得の有無は、担当保育士への後追い、その保育士がいることでの安心、またいないときの不安、安心しているとき意欲的に探索する、随時その保育士へ意識を向けている、などの姿からうかがい知ることが出来ます。
0.1歳のクラスを持つ保育士は、些末なことは置いておいて、とにかくこの基本的信頼感が獲得されているかどうかを中心に子どもを見ていくべきです。
運動発達も知的発達も、グンと伸びてくるのは幼児期になってからですし、なんならそのあとの人生でも取り返しがつきます。
ですがこの基本的信頼感は、乳児期を逃してしまうと取り返すのにとても苦労します。
思春期以降に出てくる問題行動の原因が、実は乳児期の課題の未獲得だったということもあるのです。ですがその場合には、思春期の年齢に至ってから特定の大人との信頼感を獲得するところから再度はじめなければいけません。
知的には育っているため、人間を疑うことも知っていますから、特定の大人との無条件な信頼感を築くことは難しいのです。
てすから、発達上それが障りなく獲得できる0.1歳の間になんとしても獲得させなければいけません。
大人の全受容的態度、愛情に満ちた雰囲気作り、そして育児担当制、それにより基本的信頼感の獲得を目指していきましょう。
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