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各業界のデータサイエンティストは一体どんなことをしているのか? ~エムスリーDSと他社DSを比較してみた~

こんにちは。エムスリーデータ分析グループの竹崎です。
私は普段、製薬企業のマーケティング支援業務や、データ分析プロダクトの検討・開発業務を行っています。
今回は「エムスリー以外のデータサイエンティストの業務」と「そこから見えるエムスリーデータサイエンティストの特徴」についてご紹介します。
エムスリーのデータサイエンティスト業務については、これまでも複数のnote記事で紹介されています。

■ m3.comKPI策定プロジェクト
■ 半年間で新卒データサイエンティストが取り組んだこと

一方でエムスリーに興味を持っていただいた方からは、他社のデータサイエンティストと比べると業務内容や働き方はどう違うのか、について質問を受ける場面もあります。
私自身、エムスリー以外のデータサイエンティストが実際にどんな仕事をしているのかあまりわかっていないのが正直なところです。
そこで、今回はエムスリー以外の会社でデータサイエンティスト(またはデータコンサルタント)として働いた経験のある3名のメンバーにインタビューを行いました。以下は各メンバーの経験業界と、インタビュー内容になります。

■ インタビューメンバー
 ● #1|事業会社(エネルギー業界) x データサイエンティスト
 ● #2|総合コンサルティング会社 x データコンサルタント
 ● #3|受託分析会社 x データサイエンティスト
■ インタビュー内容
 ● 業務内容
 ● 働き方の特徴
 ● 他社と比較した際にエムスリーデータサイエンティストの良いと思う点
 ● データサイエンティスト社員のネクストキャリアはどんな業界、職種が多かったか

それぞれのインタビューについて、インタビュー中に執筆者である私が感じた「エムスリーと比較して大きく異なる点」についてコメントしています。他社のデータサイエンティスト、エムスリーのデータサイエンティスト両者について知っていただく機会となれば嬉しいです。


#1|事業会社(エネルギー業界) x データサイエンティスト

● 業務内容
 - 発電所向けに、気象条件を考慮した電力量の予測シミュレーション、電力量の決定
 - BtoBの営業部門向けに、販売機器の故障タイミングを考慮した営業訪問タイミングの最適化
● 働き方の特徴
 - 一つ一つのプロジェクトは大型で、1年間程度の長期プロジェクトとなることが多い。
 - プロジェクトのフェーズに応じて単一の業務に集中して取り組むことが多い。例えば、プロジェクト初期の1-2ヶ月は関連情報のリサーチや要件定義を行い、中期2ヶ月はシミュレーションモデルの検討・作成を行う等。
● 他社と比較した際にエムスリーデータサイエンティストの良いと思う点
 - スピード感。前職では意思決定のために3~5名ほどマネジメントメンバーの承認を取る必要があり、プロジェクト実施前のフェーズにかなり時間がかかっていた。
 - エムスリーは階層が少ないという特徴から承認・意思決定が早く、年間に経験できるプロジェクトの数が多い。また、プロジェクトによって期待される金額が十分見込めるようであればGoの意思決定がなされるため、前例のないプロジェクトであってもチャレンジしやすい。
● ネクストキャリア
 - メンバーの入れ替わりは少なく、基本的には長期的に会社に残るメンバーが多い。
 - 社内では、「データサイエンティストとして社内分析のスペシャリストになる」、または「職種を変えて他部署(マーケティング・海外事業・企画部門)に移る」という大きく二つのキャリアパスに進むメンバーが多い。

執筆者コメント:
データを活用して実際に会社としてのアクションにつなげるという点で、個人的にはこれぞデータサイエンティストの真価が発揮できる業務だと感じました。ここはエムスリーのデータサイエンティストも共通して意識をしている点であり、ただ分析して終わりではなく、分析からアクションにつながる示唆を出すという点が重視されます。
一方で一つのプロジェクトが長いことや、意思決定に時間がかかるという点を比較すると、打席に立って分析PDCAを回せる回数はエムスリーの方が多いようです。(この点は、こちらのnote記事でも新卒で入社したメンバーが言及していました。)
また、ネクストキャリアはデータサイエンティストだけでなく様々な職種があがりました。この点はエムスリーのデータサイエンティストについても同様で、データサイエンティスト以外にもプロダクトマネージャーやコンサルタントなどのネクストキャリアに進まれた方がいらっしゃいます。

#2|総合コンサルティング会社 x データコンサルタント

● 業務内容
 - 通信業界向けにAIを用いたコミュニケーションツール作成・提供
● 働き方の特徴
 - コーディング・分析の時間は少なく、要件定義とプレゼンテーション関連の仕事が多い。
 - 1年で成果を出す大型プロジェクトが多く、年間のタイムラインを明確に決めてその通りにプロジェクトを進行していくことが多い。
● 他社と比較した際にエムスリーデータサイエンティストの良いと思う点
 - 営業メンバーのデータ分析に対する理解度が高い。前職ではデータ分析から示唆を出しても、営業メンバーに行動を起こしてもらえないケースがほとんどだった。
 - エムスリーの場合は、データ分析の結果を受け、営業メンバーからクライアントにアクションを提案しに行くことが多々ある。
● ネクストキャリア
 - 入れ替わりは多く、シニアメンバー・ジュニアメンバーにかかわらず転職者が多い。2~3年くらいで転職するメンバーが多い。
 - 転職先はコンサルと事業会社で半分ずつぐらい。

執筆者コメント:
働き方の特徴として、スライドライティングや要件定義の時間がかなり長く、コンサルタントとしての業務が大半を占めているようでした。分析・コーディングをやりたいのであれば、入社前に「どのようなデータがあるのか」「具体的な業務内容は何か」については確認しておいた方が良いというアドバイスをいただきました。
また、エムスリーの特徴としては、データ分析からクライアントに実際に提案が行える点についてあげていただきました。エムスリーではデータに基づいて意思決定がなされる文化が醸成されており、この点はあらためて魅力の一つだと感じました。(もちろん発言や分析にはその分”正しさ/妥当性”が必要ですが)

#3|受託分析会社 x データサイエンティスト

● 業務内容
 - 伴走型支援:事業会社の社内データサイエンティストが行う業務の補助・伴走
 - プロジェクト型支援:需要予測モデル作成/手動タスクを自動化するシステムの開発
● 働き方の特徴(プロジェクト型支援業務について)
 - メンバーは3~4名で、1年間で何等かのアルゴリズムを作るケースが多い。
 - 上流の課題選定、何を解くかの方針決めから行うことが可能であり、自由度が高い。一方で全てを決められる分責任は大きい。また、社外データのためデータが扱いにくいことも多い。
● 他社と比較した際にエムスリーデータサイエンティストの良いと思う点
 - 成長機会が多い。年間のプロジェクトの数が多く、かつ責任の大きい仕事も任せてもらえる。また、社内に様々なデータが存在しており、プロジェクトで扱えるデータの種類も多い。
 - 営業メンバーとの接点が多い。他社では月1回程度の接点となることが多いが、エムスリーでは多いときには週1~2回接点があり、ビジネス課題に触れる機会が多い。
● ネクストキャリア
 - 入れ替わりはそこまで激しくなく、5年は社内にいるケースが多い。
 - 転職先は事業会社が多く、データサイエンティストを続けるメンバーがほとんど。

執筆者コメント:
受託分析ということもあり、1ヵ月単位のプロジェクトを一つ丸ごと任せてもらえる点が大きな特徴でした。エムスリーでは、どちらかというと少しスモールなプロジェクト(2週間~1ヵ月)が多く、プロジェクトメンバーは1~2名となることが多いです。
また、営業メンバーとの接点が多いという点をエムスリーの特徴としてあげていただきました。エムスリーデータサイエンティストには、営業メンバーが抱えているビジネス課題の相談も多く、クライアント視点での分析が求められます。したがって、データサイエンティストだけが理解できる複雑な分析を行うのではなく、営業メンバーやクライアントに理解・納得して実際に行動を起こしてもらえるような分析を行う必要があります。

おわりに

本日は他社のデータサイエンティストの仕事と、そこから見えるエムスリーデータサイエンティストの特徴についてご紹介しました。まだまだデータサイエンティストは一般的な職種でなく、何をやっているか想像がつきにくい職種ではありますが、本記事が少しでもデータサイエンティストという仕事の理解を深める助けとなれば幸いです。

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