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エムスリーのデータ分析グループが、どのようなKPIを追っているのかについて

こんにちは、データ分析グループの田中です。普段は、製薬企業のマーケティング支援、及びエムスリーが運営する医師向けプラットフォームである「m3.com」の改善のための様々な分析業務に取り組んでいます。今日は、我々が普段どのようなKPIを追いながら業務にあたっているのかについてご紹介します。


データ分析組織は、何のために存在すべきか?

さて、さっそく本題ですが、データ分析組織は何を目的として、どのような価値を社内外に届けるために存在しているのでしょうか?おそらくこの問いに対する絶対的な解は存在しないでしょうし、また企業のフェーズ・志向によって、全く異なった解を有していて然るべきでしょう。例えば、ベテランの職人達による、熟練の感覚に頼った意思決定を行ってきたような企業で勃興したデータ分析組織であれば、そもそも「データドリブンな意思決定の価値を理解させ、その習慣を社内に根付かせる」ことのプライオリティが高くなるかもしれません。また、自社の高い分析力を全面に押し出すことでブランディングを図っているような企業であれば、最先端の分析技術の習得や発信が重要視されることもあるでしょう。

この問いに対する解を、エムスリーのデータ分析グループは「あらゆるデータとあらゆるデータ分析技術を活用して、エムスリーグループの各事業を成長させること」としています。簡潔に言えば「利益を最大化させる分析を行う」です。我々は常に「その分析がどれほどの利益につながるのか」を意識して業務にあたることが要求されています。どんなにキャッチーでユニークな手法が適用できそうな領域があったとしても、その分析・施策による見込み利益が低ければ、意味がないとみなし、単純かつ素朴な手法であってもより大きな増益が見込める領域に注力します。エムスリーでは、全社的にROIの意識を徹底することを求められていますが、それはデータ分析グループも例外ではありません。有限時間内の作業という投資に対して得られる利益が最大化するよう、工数配分を行いつつ分析を進めています。
(もちろん、週次での勉強会等も開催しており、決して新しい分析手法やツール等のインプットを軽視しているわけではありませんよ!)

利益を向上させる分析を行い続けるために、利益貢献額をグループと各人のKPIに持つ

「利益を最大化させる分析を行う」というビジョンがあったとして、そのビジョンを実現するために、メンバーは何を基準に行動すべきで、どのような尺度で評価を受けるべきでしょうか?我々データ分析グループはこの尺度を「利益貢献額」に置いています。利益貢献額は以下で定義されます。

利益貢献額 = (1) プロジェクト効果額 × (2) 貢献割合

このうち、(1) プロジェクト効果額については、単純にそのプロジェクトによって得られた利益額を指しています。例えば、ある施策によって年間利益額が2億円向上した場合、この2億円がそのままプロジェクト効果額となります。

その次の、(2) 貢献割合は「そのプロジェクトにおいて、我々データ分析グループの貢献はどれほどであったか」を表す数値です。各プロジェクトに対するデータ分析グループの関わり方は数パターンに分類されており、それぞれのパターンについて貢献割合が予め決められています。例えば、ある施策について、基礎分析を行い企画段階に関与した場合は、この値は10%となっています。つまり、もしこの施策が1億円のPJ効果額を生んだ場合、我々の利益貢献額は 1億円 × 10% = 1,000万円 となります。この他にも、もし施策内容の実装に直接関わる場合は貢献割合が20%〜となるなど、前述のパターンごとに、その貢献度合いに見合った値が貢献割合として設定されています。

この利益貢献額は、グループとしてのKPIとなっている他、グループの下位概念であるチーム、さらにその構成員である各メンバーについてもそれぞれ別個にKPIとして設定されています。この数値は、毎期初に、直近数期の実績をもとに決定されます。そして毎期末、その達成度合いをもとに、個人として、チームとして、グループとして評価を受けることとなります。我々は当然このKPIを達成したいので、結果として「利益を最大化させる分析を行う」という意識が常に最前線に来るようなしくみになっています。

利益ばかり追うと、なおざりになってしまうことも多いのでは?

利益を立てることはもちろん最重要ですが、データ分析者として、スキルや知識の継続的なインプットは避けて通れません。また、分析基盤の改修や、各種ドキュメント整備など、利益にはならないが、業務の効率・質を改善していく上で必要なタスクも確実に存在します。

これを遂行していくために、我々は「重点課題」というチーム単位の目標、及び利益貢献額以外で自由に設定できる個人単位の目標を持っています。
前者の重点課題については、グループ内で「基盤整備」「質担保」等いくつかのメインテーマがあり、個々人がそれらの中から関心のあるテーマを選び取ります (テーマを新たに作り出すことも可能です) 。そして、各テーマごとにそれを選択したメンバーでチームを結成し、期初に自分たちで目標を立てて、取り組みます。この目標設定によって、グループ全体の業務のクオリティを上げるための作業にも工数を割く必要が発生します。
また、後者の個人目標については、(一定の納得度が得られる範囲内で) 完全に自由な設定が可能になっています。各々が、伸長させたいスキルを鑑み、それに対応する目標を立てています。例えば継続的なインプットを目的として、「社内のLT会で期中2回発表する」であったり、「統計検定の1級を取得する」等の目標設定を行っているメンバーも存在しています。
これらの目標を置くことによって、利益一辺倒にならず、各人がプロフェッショナルとして成長し、また組織としてもより成熟していけるような環境が整えられています。

おわりに

本日は、我々データ分析グループのKPIについてご紹介しました。一読されて、どんな感想を抱かれたでしょうか?私個人としても、他のデータ分析組織がどのような目標を持っているのかは非常に気になるところではありますので、是非記事などでご紹介いただけると嬉しいなと思います (読みに行きます!)。

エムスリーのデータ分析グループでは、新卒・中途問わず、メンバーを大募集しております!少しでも興味を持っていただけた方は、是非下のリンクからコンタクトしていただけると嬉しいです。お待ちしております!
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