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【カウンセリング考】 「他人」という関係性 

「『他人』だからこそ、話せることもあるんですよ」

これは、学生時代の恩師の言葉です。

カウンセラーは、カウンセリングの時間中は相談者のお話を親身になって聞きます。
でも、カウンセリングが終わって相談室から一歩外に出たら、相談者とはお互いに「他人」同士である関係を大切にします。

これは「二重関係の禁止」という、カウンセラーの倫理規定です。
この倫理規定を守るために、カウンセラーは自身の家族や友人を相手にカウンセリングはしないようにしています。

学生の頃は、「そう決まっているのかぁ」くらいにしか、考えていなかったように思います。
しかし、学びを進めていくうちに、もしかして先生はけっこう重要なことをおっしゃっていたのではないかと気がつきました。

この「他人」という関係性は、よりカウンセリングの効果を上げられるポイントでもあると思うのです。

「他人」だからこそのメリット

「他人」同士という言葉を聞くと、なんだかよそよそしかったり、ドライな感じを抱くかもしれません。

しかし、私たちは日常生活で何かサービスを利用する時に、この「他人」であるという関係性から、気づかないうちに恩恵を受けていることが多いです。

日常を振り返ってみると、パーソナルジムや美容室など、1対1のサービスを受ける機会はたくさん存在すると思います。

例えば、私は身体のメンテナンスで鍼灸院によく行くのですが、初めてかかる鍼灸師の先生には、
 
「そこ響く(痛い)ので、もう少し弱めでお願いしますー」 

という言葉を数えきれない程伝えてきました。

そうすると、最初はあんまり合わないなぁと思う鍼の打ち方をしていた鍼灸師の先生が、少しずつ私の傾向を理解してくださり、何回か通っていくうちにちょうど良い治療をしてもらえるようになっていきます。

これがもしも家族や友人だったら、気を使って言えないか、注文が多い人だなと思われて関係性にヒビが入っていたかもしれません。
日常生活を振り返ってみると、相手が特別親しいわけではない「他人」でいるからこそ、上手くいっていることもあるようです。

カウンセリングで二重関係を禁止している、カウンセラーと相談者が「他人」同士であることは、日常生活の知恵とも通じるのかもしれないと思いました。

私と相談に訪れた方が、「友人」や「仕事仲間」ではなく「カウンセラーと相談者」というただ一つの関係性だけであることで、その人は気兼ねなく自由に話せるし、カウンセラーである私も自分の事を脇に置いて話を聞くことに集中できるのです。
これは、お互いにとってのメリットのある取り決めだと思います。 

身近な人には、言いにくいことも、カウンセリングでは話しやすいかもしれません。
メザニンのオンラインカウンセリングがお役に立てたら幸いです。
 
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
カウンセラー:SATOMI
編集:メザニン広報室

※記事では、伝わりやすいように「二重関係」と表記していますが、
最近では「多重関係」との表記が一般的です。


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