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アナトリエの服が好きだ

外出自粛と景気悪化が相まって、今年の夏のセールはいつも以上に品物の数も割引率も大きいように感じる。先日大手アパレルメーカーのワールドがアナトリエなどの5ブランドの事業を終了すると発表したことは記憶に新しい。流通が止まって様々な理由で服が売れなくなり、ブランドを畳まざるを得ない状況になってしまったのだろう。個人的にアナトリエでは母によく服を買ってもらった思い出があり、今でも気に入って着ているのでとても寂しい。ファストファッションよりも当然生地の質が高く、レースや刺繍が可愛らしくて、毎日大学に通う私の背筋を伸ばしてくれた一軍の服の多くはこのブランドの服だった。

具体的にいつ事業が終わるのかは分からないが、ブランドがいずれなくなるというニュースを受けて、改めてアナトリエで気に入った服を選んで購入している。夏休みに服の整理を頑張ったご褒美が必要だし、来年から社会人だからオフィスカジュアルの服を揃えるのだ!と言い訳をしてworld online storeで綺麗な藤色のブラウスと上質なカシミヤのワンピースを購入した。きっと社会人になったばかりで不安な私にも自信と勇気を与えてくれるはずだ。

オンラインストアを永遠に眺めてお気に入りとなりうる服を厳選し、納得のいく買い物ができた時はなんとも言えない幸福感がある。パソコンのタブをいくつも開いて、時に雑誌やSNSの着こなしを検索して想像を膨らませながら真剣に選んだ服は思い入れも大きくなるものだ。

その後ブランド古着通販のRAGTAGでもアナトリエの新品のワンピースやらハンドバッグやらスカートやらを注文した。何年か前から在庫がそのまま流れたとしか思えない量の新品の服が格安で販売されていたので、流通のどこかの段階でまとめて取引されているのかもしれない。デパートに並べられていたはずのスカートが240円で買えるなんてにわかには信じがたい事実である。

とにかく、こうして私のクローゼットは改めてお気に入りのブランドのお気に入りの服で満たされた。いつかブランドがなくなってしまっても、ブランドの作ったモノを使える限り愛し続けよう。そして、それらを身につけて積み重ねた様々な経験は、いつまでも心に残る大切な大切な思い出になるはずだ。

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