わが国の現状の一端について。

 30年くらい前までは、この時期が来ると政治家の歴史認識問題が注目を集めていた。当時は右であれ左であれ、政治家は第二次世界大戦の敗戦についてどう考えるか意見を述べ、時に国民の反論に遭うこともあった。
 しかし、今のわが国では中国や韓国などの歴史認識問題はほとんど話題になるようなことはない。それは政治家が歴史に対して無関心になったというよりも、国民が政治に興味を失い、歴史の真実を知るよりも、生活に困窮するようになり、世の中も息苦しくなったことから、経済や社会に目を向けるようになったが、現実を変えるような勢いはない。
 今のわが国は歴史から学ぶことを放棄したと言ってもよい。このような現状に対して、悲しみと怒りを覚える人々も多い。過去に向き合わずに、未来に進むことができると思っているのだろうか。自分たちの歴史を忘れてしまったのだろうか、そんな国には希望がない。
 それどころか、長年にわたり政権を担っている自由民主党は慢心し、国是の一貫性を軽視し、独断専行を極めている。この勢いに乗って、憲法改正や安全保障法制の強化など軍国国家を推進し、今では集団的自衛権、敵基地攻撃能力、台湾有事、防衛費倍増、兵器の輸出などの議論が堂々とまかり通るようになり、平和主義や民主主義を脅かしている。
 その一方、わが国の国勢と国威は衰退した。この理由は政治家や官僚の利権や癒着が優先され、国民の声が無視され、国益が損なわれていることにある。最近の事例を見ても、森友学園や加計学園の問題、桜を見る会の不透明な費用や招待者、東京五輪大会の予算や開催に関する決定などがある。
 その他の理由として少子高齢化と人口減少、長期に及ぶ経済の停滞と格差の拡大、新型コロナウイルスの感染などの対策に真摯に対応しなかった。これらの問題は国民の信頼を裏切り、税金を乱費し、わが国の国際的な評価を大きく落とした。
 経済の衰退に関する原因は多岐にわたるが、産業、消費、貿易などに悪影響を及ぼしている。とくに人口減少と高齢化やわが国の構造改革と科学技術の遅れは、経済の成長力を低下させた。歴史的に見て、経済は周期的に上昇と下降を繰り返す。現在の危機を乗り越えるには長期の視点と柔軟な対応が必要であるのは言うまでもない。
 多くの人々が自民党の腐敗とわが国の現状について、大きな憤りや不安を感じている。野党も当てにならないので、こうなった以上市民運動を起こし、政治を変革するのも一考である。

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