茫漠とひろがるきみの背に
天国に、長くて曲がらない腕をもったひとたちがいます。
テーブルにはたくさんのごちそうがありますが、
お箸でつまんだものを自分の口に運ぶことができません。
それでも、だれもが満腹で、心も満ち足りて幸せそうです。
どうしてでしょうか。
そう、天国のひとたちは、お互いに食べさせてあげるから。
ハグするとき、手は背中にまわります。
友だちが「背中は愛を受け取るところだよ」と教えてくれました。
背中に自分の手は届きにくくて、
だからハグをしてお互いに愛を注ぎこむと、幸せになるのですね。
茫漠とひろがるきみの背に愛をそそぎいれむと抱擁したり
/春野りりん『ここからが空』
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