安田りさ

詩を置いておきます

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淡い空の色が哀しいな 冷たい空気が肺に注がれる ゆびさきに溜まった体温が、きみに見えるかなあ? からだに海をつくっていたぼくたちの行く末 出会いや別れが繰り返される雑踏の匂いが軋んでいく 淡い空の色がひろがる 哀しみはぼくが引き取るよ ゆびさきの感情も、きみは読み取ってよ 冷たい空気が海を横切る、ぼくたちの間を からだに宇宙をつくってしまったぼくらの行き先

    • グラデーション

      白か黒ではない たくさんの灰色グラデーションが 生きているということ 賢さが欲しいならグレーの中の感情を知るべきでしょう 想像は、あなたをずっと優しくするよ ぼくの冷たさや、あのこの寂しさを 作るグレーに、生きている

      • 思春期の星図

        ひとりぼっちね あの星も だからわたし、星座をえがいた きみが独りにならないように 手を繋いでいる わたしが独りでいられない 夜空を泳いでいくひかり ずっとあの日、泣いていた 悲しみも痛みも、いまより知っていた なぜおとなになるのかわからない 忘れてしまった、優しさを探すよ ひとりぼっちのわたしたちが ひかり続ける

        • インスタントコーヒー

          なにも期待しなけりゃいいな 部屋にきみを残したみたい インスタントコーヒー なにも期待しないよ 窓にすこし落ちていく、さようならって言葉 なにも期待しないでさ 湯気が消えるその頃が好きさ きょう、生まれたての思いが、いくつあるんだろう 湯気と一緒に消えた言葉だけど どうせきみ、興味ないだろ

          ミネラル

          わたしがわたしであるという以上になんでもない 安全地帯の水のいろ わたし以外になにも要らないのに 光や輪郭が流れ込むよ 愛だったり、憎しみだったり すきよ、あなた きらいね、きみが 単純な、分子と感情でできているの 所詮、 ファースト、インプレッションが 続いている

          ミネラル

          ごちそうさま

          すべてが過去になるのに 何を惜しんでいるんだろう 今日の服だったり、食べ物だったり、きみが居た場所だったり お願いなんて誰も聞かないよ 神様だったり、あの人だったり 知っているのは、お別れの味 知っているのは、あの日の笑顔 今日もありがとうを積み重ねて ミルフィーユみたいに割れる いずれなくなるじかんを、こんなふうにね

          ごちそうさま

          朝焼け

          きみがいないという 朝焼けが瞳を潤す 斜めになっていく ぼくと日差し おもいでなんて、たいしてないさ 強がって寂しがり屋 またすれ違って、しらないふりができたらいいな またすれ違って、気づいて声をかけたなら 笑ってよ、笑えないよ 斜めになっていく 日差しのなかで ゆるやかに、想いを飲み込んでいくんだ 強がって生きてる サヨナラは朝焼けみたいだよ しばらくは 強がって生きるよ

          インナー・チャイルド

          冷たくなったベッドのなかで 優しい夢を見た 冷たくなった呼吸 新しい痛みで目覚めた朝も 繰り返していたけれど さようならの発端を 知らずにいて 馬鹿ね、わたしは 凍るようなこころの奥で 誰かが泣いている 抱き締めてほしいけど わたしはもう過ぎ去って さようなら、強くなりたかった あなたは夢で、優しいの

          インナー・チャイルド

          おもいでにする泉

          きみが好きだったってことを あの綺麗な泉に 捨てておくね キラキラなまま 生きてよ わたしのなかで そんな雪のような 恋でしょう そんなひかりに満ちた毎日だったわ

          おもいでにする泉

          冬の鳥

          凍てつくような群青の夜に 羽ばたく鳥 氷の鳴き声が朝を告げ ひかりが色を刺す ここには、あなたが居ないから 心地いいわ、意味もないわ 温かいわ、血のように 羽ばたく鳥の鳴き声で 朝が来ることを知ったわ あなたのいない白い日常は 何度もわたしが塗り潰していく ここには、あなたがいないから わたしの声も響くわ 凍てつくような群青の夜を 歌にしている

          キメラ

          遺伝子と一緒に絡まって キメラ、わたしはどこにもいけずに ここでも生きていけないよ 私と甘い雲、陽に溶けて焦げ付く 遺伝子が呼んだとき きみのもとにいくよ それは約束は要らないと、思った瞬間 ひとりぼっちの星たちに 光だけ与えた わたしにたくさんの細胞を与えたのに

          湿地

          忘れることで進めるの 思い出は重いから あなたは身軽ねいつでも わたしもあの子も全部忘れた簡単に 傷ついたなんていって、保湿した肌みたいに じぶんだけ大事にして じぶんだけ愛してあげてよ 思い出も渇いて、誰かが補完するのを待ってる 空っぽの部屋にいたい、涙で満たすために きょうは窓を締めて、わたしの涙で溺れていくよ

          化石

          時間は限られている そう思うけど、今は 永遠を、空想して ながいながい、時間を 砕いていくの 歌や言葉が積み重なった 地層に眠りたい 愛なんて曖昧な泥水を飲み干しながら生きていく 時間を大切に、 灰色の空が忠告して 時計を、壊す 刹那だね。きみは くだらないだろう 夢の居場所がないんだよ このまま眠りたい 今日の空気と明日の日差しを愛だといって死んでいく

          海と美

          夏の海が渇いたら、恋は終わり 潮の匂いが嫌いだから、私は私生児。 勝手なことを言わないで、母親が言う 勝手にしないわたしは終わり けれどなにもないから歩いて探しにいきたかった 蟹の爪、魚の鱗、貝の裏側 きれいなものは好きかい きみがいるから、全部好きだった 潮の匂いが嫌いだから、そこにはいけなかった。

          灰色の手紙

          偶然なのに、おかしいね わたしときみは、会話しないよ ことばが消えて灰になる 積もったものをまた吸い込んだら、 逢えるでしょうか、もう一度 まっさらな きみと、わたしで 灰色の月、かじったような顔をして もう二度と逢えないような気がしたの ことばを重ねる、きみがすこし好きだった

          灰色の手紙

          果実

          色が溢れて肌に馴染むから 秋は、おしゃれだね そういったあなた 殻が欠けて、冬になる前にキスをする 果実 秋に出会えたらよかったね 肌が隠れて、染まっている。