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ヒゲダンの歌詞は日本語の良さがありつつ、洋楽のノリがあって最強説

  Official髭男dismのオンライン・ライブを見ました!

海外配信にも対応してくれていたおかげで、私もアーカイブ配信を見ることができました。アメリカで、(オンラインだけども)日本人アーティストのライブが見られるなんて!幸せでした。

  正直に言うと、私はライブは好きだけれど、ライブ映像作品にあまり興味がありません。好きなアーティストのライブDVDを購入しても、一度見たら終わり。会場の熱狂、ステージやセットリストの構成、アツいパフォーマンス…どれも素晴らしいとは思う。でもどこか、拗ねてしまう自分がいます。これはその場にいた人たちに向けて送られた「エンターテイメント」であって、私は蚊帳の外、と感じてしまうのです。なんとなく心の中に芽生えた疎外感を、拭えるライブ映像作品には、まだ出会えません。

  だから、今回のライブ配信もさほど期待はしていなかったのです。ただ、メジャーデビュー曲「ノーダウト」からずっと気になっていて、例によって「Pretender」でハマってしまい、私のSpotify再生率No.1じゃないかというほど、よく聞くバンドのライブ。しかも、海外配信もしてるなら聞いてみよう。というわりと軽い気持ちでチケットを購入しました。

  ところがですよ!期待なんて、私の想像なんて、かる~く超えて、本当に素晴らしいライブでした。ご本人たちがMCで仰っていました。コロナのせいで中止になってしまったツアーの代わりとしてのライブではなく、オンライン・ライブとして届けたかったと。まさに、そうなんです。多分、ただのライブの配信なら、テレビでの歌唱とさして変わらないのです。でもオンライン・ライブという、今までと違うエンターテイメントを打ち出してきたなあと、すごく感動しました。もちろん、他のアーティストさんもそうされているのかもしれません。私にとって、コロナ後に見る初めてのライブ配信だったので、素直にそう思っただけです。

  ただのライブ配信ではない、と感じたことは前にも一度ありました。ジャニーズが今年3月にYoutubeにて無料配信をした「Jouney's World Happy Live with you」の嵐です。(その後の有料配信は見なかった…後悔。)全グループ、良いパフォーマンスでした。でもその中で、嵐はちょっと違いました。もちろん、ライブを数多くこなしてきた"経験値の高さ”みたいなものも感じましたけど、それだけでなく、やはり松潤さんの演出なのだと思います。空間演出が実にうまい。ちゃんと、パソコンや携帯画面で見ることを意識しているのです。

  今回のヒゲダンも、アリーナライブという会場のスケール感や、ステージ上でのパフォーマンスなど「ライブ」を感じさせる部分がありつつ、カメラを相当数配置して、演者をアップで撮影するので「テレビやMV」の感覚もありました。広い会場でのライブは、所詮多くの人がステージの近くには行けません。そうなると、ステージ横の巨大モニターを見ている時間がすごく増えますよね。あのストレスがないんです。ステージ全体が映ったかと思えば、藤原さんのピアノを弾く手元や歌唱、他のメンバーの演奏シーンも、細部が鮮明に映し出され、テレビを見ている感覚でもあるのです。さらに、それぞれの曲にあわせて、舞台の演出やアレンジを変えていて、ライブを感じる曲があり、ミュージックビデオを見ているような曲があり、見ている人を飽きさせません。臨場感と一体感がうまく融合して、本当に素晴らしいエンターテイメントでした。10月3日までアーカイブ配信をしているので、まだ見ていない人にはぜひおススメします。

  そもそも、ヒゲダンの曲をなぜ好きなのかというと、やはり作詞家の私は「歌詞が秀逸だな」と思ってしまうんですよね。ヒゲダンの曲はとにかく、リズムがいい。日本のバンド曲って、疾走感を感じさせるものは多いのですが、ヒゲダンのような「心地よいリズム」はあまり他にないように思います。ヒゲダンは私にとって、洋楽を聞いているようなリズムの良さがあるんです。それは曲自体の良さがもちろんあります。メロディーしかり、アレンジしかりでしょう。でもリズム感をよくする「歌詞」のせいだ、と私は思っています。

  そもそも日本語の特徴に、1音符に1つの音をのせることがあります。80年代はそれが主流でしたが、90年代以降、1音符に複数の音をのせることが増えてきました。洋楽、というか英語に寄せているんですね。英語は1音に、複数の音をのせることができる。例えば、「グッバイ」JPOPなら、「ぐ/う/ば/い」「ぐっ/ば/い」と3音、もしくは4音にのせてもいいのですが、本来の英語通りに音にのせるなら「グッ/バイ」と2音になります。言葉をつめて音にのせると、洋楽的なリズムが生まれるんでよね。それをうまーく取り入れているのがヒゲダンの歌詞なんです。これ、別のところで詳しく書いたのですが、藤原さんは音読み熟語をうまく取り入れて、歌詞でもリズム感を出しているんです。大ヒット曲Pretenderにも「感情、観客、設定、価値観、運命」という熟語が出てきますが、どれもうまくリズムを出す場所で使っています。でも熟語って使いすぎると、日本語らしい柔らかさや情緒がなくなってしまうんです。そこは心得ていらっしゃって、日本語の柔らかさを感じさせるフレーズをきちんと使ってくるんです。オンライン・ライブの「ビンテージ」が良かったなあ。「キレイとは傷跡がないことじゃない 傷さえ愛しいというキセキだ」あの歌詞、染みた…

↓ soranoが勝手にヒゲダンPretenderについて語りまくった記事です、興味があれば。


  ということで、日本語の美しさもあり、洋楽のようなノリも出してくるヒゲダンの歌詞って最強でしょ。


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