米トランプ大統領がワインに課税で仏マクロン大統領に報復
フランスによる米国のIT企業へのデジタル課税に対して
「アメリカワインのほうがフランスワインよりよい」
というトランプ大統領のコメントには同意するところもありますが、課税競争のチキンレースが止まりそうにありません。
フランスのデジタル課税の背景にはGAFAが拠点をおいていない国では、法人税をほとんど支払っていないということがあります。
「日本はどうなの?グーグルジャパンがあるじゃん」
という声も聞こえてきそうですが税務的には日本も拠点ではありません。
租税条約の抜け穴をつないで利益を流出させる手口
グーグルといえば「ダブルアイリッシュダッチサンドウィッチ」という名称の租税回避行為が有名ですが、簡単に言えば各国の租税条約の抜け穴を活用してロイヤリティ収入等への課税を回避することを指しています。
IT企業の価値の源泉は技術やデータですが、「どこにあるのか?」といえばなかなか答えることが難しい問題であります。
特許などはわかりやすいので、価値の源泉を特許とすると、GAFAの持っている価値ある特許のほとんどはこうした低税率国の法人が所有しています。
権利を低税率国の法人で所有しているので、その対価として米国のGAFAだけでなく、日本やフランスその他の国にあるGAFAの法人も利益をロイヤリティと言う形で支払っているんですね。
なぜなら「価値ある技術の対価こそが最も利益の源泉」だからです。
これらは利用料(ロイヤリティ)支払いとして、その国では当然損金(法人税における費用)に算入されますから結果的に多くの利益はこうした低税率国に逃げていくわけです。
トランプ氏はワインを飲まないけど見た目が好き
トランプはワインを飲まないといいます。しかし、アメリカ産のワインのほうが美味しいことを知っているようです。
米国は世界最大のワイン消費国、最大の輸入国であり、フランスはワイン輸出国としてはスペイン、イタリアの次、第3位に後退していますが有名なブランドを多数持っている国です。
フランスワインに課税するというのは、まさに報復関税です。
米国がフランスワインにかける関税と米国のワインにかけるEUの関税の不均衡にはかねてから不満を持っていたそうです。
報復関税に経済的メリットはほとんどなく政治的な脅し
実際のところEUのワインに対する関税は1本あたり、0.11-0.29ドル
米国は0.05ドル、スパークリングは0.14ドル程度の話です。
一本当たり最大でも0.24ドル(約30円)の違いなので実効性はほぼないですよね。
加えてフランスのワインのほとんどは国内で消費されています。
消費者もアメリカ産のワインを飲もうという発想はほぼ皆無です。
(パリスの審判で圧倒的にに敗北したフランスワインですが)
https://www.adv.gr.jp/columns/special/paris_showdown
トランプ大統領のツイートは、フランスの大切な文化であるワインに対する報復関税という形をとることによる政治的意味合いが大きいのでしょう。
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