スピッツ歌詞考察（第33回）シロクマ

【基本情報】

シロクマ
作詞：草野正宗　作曲：草野正宗　編曲：スピッツ＆亀田誠治
3分47秒

＜リリース日＞
2010年9月29日（37thシングル）
※「ビギナー」と両A面シングルとしてリリース。

＜収録アルバム＞
とげまる（2010年10月27日リリース　13thオリジナルアルバム）
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection（2017年7月5日リリース）

＜タイアップ＞
メナード『イルネージュ』CMソング

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

あわただしい毎日　ここはどこだ？　すごく疲れたシロクマです
強い日差しから　逃れて来た　しびれが取れて立ち上がれば

ちょっと遠い景色　簡単ではないけど
ビンの底の方に　残った力で

今すぐ抜け出して　君と笑いたい　まだ跳べるかな
物語の外へ砂漠を越えて　あの小さい灯
星になる少し前に

惑わされてきた　たくさんの噂と
憎悪で汚れた　小さなスキマを

今すぐ抜け出して　君としゃべりたい　まだ間に合うはず
地平線を知りたくて　ゴミ山登る　答え見つけよう
なんとなくでは終われない
星になる少し前に

シロクマ（作詞：草野正宗）

【考察】

あわただしい毎日　ここはどこだ？　すごく疲れたシロクマです
慌ただしく過ぎて行く毎日に忙殺され、気がつけば自分が今どのような立場にいるのか、何を目指しているのかを見失っていた。
まるで北極の氷が溶けてしまい、どこに行けばいいのか迷って疲れ切ったシロクマのようだ。

強い日差しから　逃れて来た　しびれが取れて立ち上がれば
ちょっと遠い景色　簡単ではないけど
ビンの底の方に　残った力で
そんな厳しい世界から逃げて来た。
疲れがとれたら、簡単ではないとわかってるけれど、ちょっと高い目標に向かって立ち上がろうかな。
かすかに残った力を信じて。

今すぐ抜け出して　君と笑いたい　まだ跳べるかな
物語の外へ砂漠を越えて　あの小さい灯
星になる少し前に
今すぐこの現状から抜け出して、“君”と笑いたい。
まだやっていけるかな？　遅くないかな？
人生を変えるため、困難を乗り越えて、あの小さい希望の光へ向かおう。
死んでしまう少し前に。

惑わされてきた　たくさんの噂と
憎悪で汚れた　小さなスキマを
いろんな噂話に惑わされて、動けなかった。
ネガティブなイメージでいっぱいの心の隙間を…

今すぐ抜け出して　君としゃべりたい　まだ間に合うはず
地平線を知りたくて　ゴミ山登る　答え見つけよう
なんとなくでは終われない
星になる少し前に
今すぐこの現状から抜け出して、“君”と喋りたい。
まだ間に合うはず。
ゴールが見たくて、汚れた場所も越えていく。
人生の答えを見つけよう。
平凡なままでは終わりたくない。
死んでしまう少し前に。

病気を患っているのか、根拠なくそのように感じているのか、はっきりとしたことはわかりませんが、「星になる少し前に」や「ビンの底の方に残った力で」が主人公の寿命が残りわずかであるというイメージを与え、切ないストーリーを思い描かせます。

誰もが「死ぬまでにやりたいこと」を考えたことがあると思いますが、この主人公も“君”という存在に支えられながら、そこを目指して進もうとします。
人はいつか死にます。
疲弊した現代社会を描きつつ、少しでも希望や目標、やりたことがあるのなら、それに向かって行こうよと言っているような印象を受けました。

というわけで、「死」と向き合った「生」がテーマの曲ではないでしょうか。

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