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児童養護施設の居心地の良さ、知りたい?

こんにちは、ヨウです。

私は、高校一年生の時に児童養護施設に入所し、約3年、児童養護施設で過ごしました。他の施設出身者に比べれば、期間的にはかなり短いのですが、それでも、施設から巣立ったことには変わりありません。

今日は、「児童養護施設の居心地の良さ」について、お話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。


1.施設って、居心地良いの?

端的に答えを言ってしまうと、人によって違います。楽しく生活している子もいますし、悩みまくって苦しんでいる子もいます。

ですが、私の個人的な感覚では、施設から早く出たいと思っている子の方が圧倒的に多いです。

虐待によって施設に入所している児童が半数以上いる現状を踏まえると、「なぜ?」と思う大人は多いかもしれません。親より、施設の方がいい、と思いそうですよね。しかし、それは一般的な大人と、施設にいる被虐待児では、感覚が違います。


2.施設から出たいと思う子どもの心

まず、前提として、子どもは「生まれた時は、親のことが大好きだ」ということを念頭に入れてください。

脳がまだ幼いころ(幼児期から小学校3年くらいまで)の子は、この前提があり、単純に親元に帰りたいと思っています。いくら殴られていても、放置されていても、精神的に追い詰められても、考えが浅い子どもは親を求めて、帰宅を望みます。それくらい、「親」という存在は大きいものです。

少しずつ成長して自分の考えを持つと、子どもは「親」に対する考え方が代わってきます。ここで、施設に愛着が湧くかというと、実はそうではありません。

親に対する「捨てられた」「裏切られた」という感情は、次第に、自分の境遇に対する負の感情に変化します。「親に捨てられた私は、価値がない人間だ」と、自己の存在を否定したり、「親に捨てられたせいで、施設なんかに住まないといけなくなった。」と、自分の境遇を呪ったりします。

施設は、子どもを集団で生活させ、そこで安全を確保するために、ルールや決まりが徹底されているもの。思春期に入れば、大人に対する反抗心や決まりに対する抵抗が始まります。そこから、だんだんと「大人なんか信用できない」「施設の職員も仕事で面倒を見てくれているだけ」「所詮、大人は何もしてくれない」と、大人に対して不信感を強めてしまいます。子どもが荒れる原因も、この辺が絡んできます。

↓参考

そうして、次第に「自分だけでなんとかしたい」「今の境遇から逃れたい」と考えていきます。ここは割と普通だと思いますが、ここには施設職員との関わりが絡んできます。施設職員は、子どもに自立させる力をつけるために、指導的になりがちです。それが、この考え方を持っている子どもたちに居心地の悪さを感じさせてしまうのです。もちろん、職員と子どもの相性も関係してきますが。

つまり、施設にいる子どもは、「親元に帰りたい」から「施設から離れたい」と考え方を変えてしまう子が多いので、施設の居心地が悪いと感じてしまう子が多いのではないかと考えられます。


3.「施設の居心地がいい」と感じる子どもって?

当然、施設に居心地の良さを感じる子どもも存在します。私は、こちらでした。これには、条件があります。

それは、「親に嫌悪感」を感じていて、「施設での人間関係が良い」状態で、尚且つ「施設職員から好かれている」ことです。私が施設にいたいと思えたのは、家と施設を客観的に比較することができる年齢に達していましたし、そのうえで、利害を計算することができたからです。また、入所時点で年齢が高かったこともあって、人間関係で苦労することもほとんどありませんでした。だから、居心地が良かったのでしょう。

結局、子どもが居心地がいいと感じるためには、その場の人間関係がいいことに依存します。この条件が揃うことは、稀の中の稀です。



4.居心地が良くても悪くても、子どもは施設に居続ける

子どもが、施設に対してどのような考え方を持っていようが、生活は続きます。多くの子どもは、施設にいないと、生きていけないからです。

施設の子のほとんどは、自分の境遇について、ちゃんと理解していて、本来自分がどういう行動をするべきか、知っています。でも、自分の境遇や、虐待による心の傷で、自分では理解できない心の中のモヤモヤを処理しきれずに、荒れてしまったり、道を踏み外したりしてしまうのです。これは、しょうがないことだと思います。

しかし、職員さんが、自立できるように指導することもしょうがないことだと思います。それは、職員さんも、子どもの奥底の気持ちを理解していて、自由にさせてあげたい反面、成績や家庭状況、進学の困難さやアフターフォローの不十分さを理解しているからです。職員さんが自立する子どもに渡すことができるものは、子ども手当の貯金と、自分で生活するスキルだけですから。

その理由については、子どもも職員さんもお互いに理解しています。それなのに、気持ちがすれ違ってしまうのは、今の日本の社会の在り方や、制度面での不遇が根っこにあるのかもしれませんね。


終わりに ~できれば、この章だけはしっかり読んでほしい~

今回の記事を書きながら、「いや、もっといろんな原因がからんでいるはず」「人によって、原因の根っこは違う」といろんな考え方が沸き上がってきました。この記事に書いてあることは全て真実ではありません。完全な私見です。

私みたいに、施設に感謝の気持ちが強い子どももいますが、施設に対して恨みを持ち、悲しい事件も起きています。

ただ、一般の家庭でも、「早く家から出たいな」と思う子は多いものです。子ども自身が、「早く施設から出たい」と感じることは、自立心が芽生えているという、ごく当たり前のことです。ですから、施設に居心地の悪さがあったっていいんです。それは自然なことなんです。

私は、今回の内容に「いや、そうじゃない。こうだと思う。」という意見を持つ方がいれば、是非、教えていただきたい!と思っています。今回の記事のコメント欄でもいいですし、Twitterでコメントしていただいてもいいです。あなたの気持ちを教えてください。


今日は、この辺で。


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