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施設に子どもを預ける親に関する追記

さて、前回このような記事を書きました。


それから、Twitterでコメント等をいただき、「そういえば、その傾向もあった!」と気づいた部分がありましたので、追加で記事にしたいと思います。いただいた意見に、私の解説を添えていきます。よろしくお願いします。


1.ステップファミリー

ステップファミリー、ご存知でしょうか?簡単に言えば、血の繋がっていない親子のことで、「配偶者の連れ子」が家庭内にいる場合を指します。再婚等の理由で子どもと養子縁組を組んで、親権を持っている方が多数です。書類上は親なので、手続き等で問題はありませんが、ステップファミリーが上手くやっていくことは並大抵のことではありません。そのためか、施設に入所している子の親のどちらかが「養父・養母」である可能性は比較的高いのです。

こうなってしまうのは、子どもが親に愛着が湧かないことが、大きな原因です。子どもは、元来親のことが大好きです。しかし、それは実親に対してあるものです。大好きな実親が自分のもとから離れ、違う大人が「自分が新しい親だ」と言われて、すぐに納得できる子どもはそうそういません。いくら、親同士が仲が良くても、子どもにとっては関係のないことです。

一つ、例を挙げてみましょう。

ある結婚した夫婦がいたとします。妻の方には、すでに小学1年生の息子がいて、父とは血がつながっていません。その後、夫婦の間に男の子が生まれました。父にとっては初めての実子でした。夫婦と息子は、みんなで生まれてきた子どもを可愛がりました。

一見、どこにでもある風景のように感じますよね。しかし、子どもというものは敏感な生き物です。小学校1年生の子どもは、次第に「自分だけ血がつながっていない」という疎外感を感じます。大人は無意識のうちに子どもを区別してしまいます。悪気がなくても、他人の子どもより自分の子どもの方が可愛いと思えるのが、親というものです。これを感じ取った子どもは、いろいろな問題行動を起こします。親への反抗、弟への加害、非行、自傷等の問題が起き、それがヒートアップしてしまうと、親が子どもに手をあげてしまうのです。

また、子ども自身が、ステップファミリーだと知らない場合もあります。その場合でも、この問題はつきまといます。大人も、実子に対する愛情が深いものです。それを、子どもは敏感に感じ取ります。

これはあくまで一例ですし、全てのステップファミリーがこのような問題を抱えるわけではありません。しかし、施設に入所する子どもの親にステップファミリーが多いことは、事実です。

ステップファミリーが越えなければならない壁は、「子どもを平等に愛すること」。そして「子どもと強い信頼関係をつくること」です。この二つがなければ、子どもが問題行動を起こし、親が子どもを虐待するのは、時間の問題でしょう。


2.社会的養護を受けた経験のある親

残念なことに、社会的養護を受けた子どもが大人になって、児相や施設と関わることになるケースも珍しくありません。

施設で育った子どもは、家庭的養育の手本となるモデルとなる存在を持っていないことが多いのです。家庭の中で、自分の考えをもとに子育てをしていくのですが、そもそも、子育て自体、一般の方でも親にならないと経験できないものです。そこで子育てのモデルにできる経験は、自分が親にしてもらった事しかありません。家庭によって、子育てに対する考え方はそれぞれ違っていますが、そこで親が子育て方法を迷うことなく選択できるのは、親からきちんと養育された経験があるからです。

社会的養護を受けた子どもの半数以上は虐待が原因です。そうなれば、虐待された過去を、子どもに繰り返してしまう可能性があります。また、生まれた時から施設で育った子どもは、そもそも参考にするモデルがありません。子どもをどう育てていくかという知識が圧倒的に欠如しているため、虐待という間違った行為をしてしまい、結局、自分の子どもも社会的養護に関わることとなってしまうのです。

また、それ以外にも、経済的な困窮、虐待の後遺症による精神疾患、孤独など、施設を巣立った子どもたちは、多くの課題を抱えています。これらが重なって、虐待の負のスパイラルを生み出しいてしまうのかもしれません。


終わりに ~誰にでも、虐待のリスクはある~

ここまで、施設に預ける親について書き連ねてきましたが、実際、我々親が、「虐待をせず、児相や施設のお世話にならない」と、100%言い切ることは出来ません。

私自身、社会的養護を受けており、虐待のリスクが高い人間だと思っています。今は、子育てが楽しくてたまりませんが、子どもが大きくなってきて、違う意味で手がかかるようになると、私が子どもに虐待をしてしまう可能性もあるのです。

ここで私が言いたいことは、「親であれば、虐待をしてしまうリスクを持っている」という事です。ただ、これは虐待防止のための脅しではなく、知識として知っておいてほしいという願いです。虐待に関する知識を持っていると、虐待を未然に防ぐ行動ができますし、虐待しそうになった時に、踏みとどまって正しい機関に相談することも出来ます。

虐待に関するニュースについて、虐待をした親や行政の対応に対して、首突っ込んで簡単に糾弾する人が大勢います。では、虐待のニュースを見て、「自分は虐待をしてしまわないだろうか?」と考えた人はどれほどいるのでしょう。

確かに、虐待は絶対に悪です。過去に多くの子どもが(私を含め)被害を受けています。法律を整備したり、虐待を厳罰化したりすることも必要だと思います。ただ、これらはすぐにできることではないでしょう。

私たち一人ひとりがすぐにできることは、虐待について知り、調べ、考え、それをもとに自分の子育て振り返ることだと、わたしは考えています。想像力を働かせて、自分が加害者にならないように、新たな被害者を生まないようにする方法を、考えていきましょう。

今日は、この辺で。


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