児童養護施設と児相の深い関わり

こんにちは。ヨウです。

施設で生活し始める前、児相で一時保護される場合が多いかと思われます。そこで、子どもは何度も児相職員と面談を繰り返し、何度も話をします。しかし、一度施設に入ってしまうと、その後児相の職員と子どもが関わる機会はほとんどなくなります。年に1~2回程度ではないでしょうか。

それでも、施設と児相は切っても切れない関係にあります。その仕組みについて、ざっくりと、さらっと紹介したいと思います。

※言葉が長くなるので、児童養護施設=施設、児童相談所=児相として記載します。


1.施設入所の決定

子どもが一時保護された後、児相は、その子が「家庭復帰させた方がいいか、施設等に入所させた方がいいか」を検討します。児相は、子どもを取り巻く環境について調査します。調査する場所は、子どもの話、親や親族の話、学校の先生の話、関わっている病院の話などが挙げられます。そこで、一時保護に至った原因を探り、原因が家庭にあるものと判断されて初めて、施設等措置を検討します。児童を施設入所させる指導のことを、「施設措置」と言います。

そして、施設措置の決定を下すのは、児相です。児相が「この子は、施設に入れた方が、家庭にいるより安全かつ健全に養育することができる」と会議決定したら、施設入所が実施されるのです。

児相は、それに伴って、事務手続き(施設措置決定通知の作成、保護者の負担金額の計算等)を実施します。


2.一時保護委託の決定

私は、児相で一時保護されることなく、施設に直接入りました。そういうケースもあります。

一時保護というのは、一時保護所に入ることだけを指す言葉ではありません。児相によっては、一時保護所を持っていない児相もあるのです。そういった場合、児相は施設に交渉し、一時的に子どもを保護してもらうことが出来ます。施設がOKを出せば、児相の代わりに一時的に保護してもらうことができます。それを「一時保護委託」と言います。

一時保護委託は、児相が一時保護所を持たない、何らかの理由で一時保護所で保護できない、施設措置までにお試しの入所などの理由から実施されます。

そして、一時保護委託で入所した場合、一時保護委託からそのまま施設措置に切り替わることが多いようです。


3.家庭復帰できるかの調査と、その決定

そして、施設措置による指導は、「家庭に、虐待等の問題があるため」実施されるものであり、その問題が解決されれば、児相は家庭復帰を目指します。

そもそも、児相は、親子関係の問題の解決に取り組み、子どもが家庭復帰することができるように、指導や支援をするのが仕事です。その中の一環で、一時的に施設に子どもを入所させるという指導があると思ってください。

だから、施設の子は、児相職員との面談の中で「親のこと、どう思う?」「家に帰りたいと思う?」という質問をされたことがあるのではないのでしょうか。それは、そう質問することで子どもの反応を見て、「家庭復帰に可能性」について探っているからです。

ただし、子どもが一度施設に入ると、家庭復帰するためには、解決しなければならないことがかなり多いため、親の収監や疾病による一時的な施設入所以外は、なかなか家庭復帰できません。それほど、施設措置という指導は、重たい決定なのです。


4.親権者への指導

家庭復帰を目指すためには、親の家庭環境を整えることが最重要です。そもそも子どもに原因はありません。あくまで親の状況や態度を改善させることが優先です。

親の経済状況、住環境、親族、その他支援者、関係機関など、様々な問題を解決するために、指導を実施します。また、家庭復帰に向けた面会や外泊などを設定して決定するのも、児相の仕事です。

ここで、「じゃあ、児相は何をしてくれるの?」と思いますが、実は、児相は直接親に働きかけるものの、親の代わりに何かしてくれるわけではありません。あくまで、調査や指導を行うのみです。それは、親自身が自分で子どもの身の回りを整えることが出来ることが前提だからです。「親が自分で自分のことも出来ないのに、子どもの世話なんて、できるわけないでしょ?」という理屈です。親が出来なくても、親以外の支援者(親戚だったり知人だったり)が出来れば別ですが、基本的に子どもの手続きが出来るのは「親権者」と戸籍に載っている人物なので、親が動ける又は親が支援者に依頼できる、という状態でないと家庭復帰は難しいのです。

家庭復帰できたとしても、しばらくは児相が指導を続けます。その後、問題なく生活できると判断されるまで、最短でも半年はかかります。親への指導というものは、


5.親権者にかかる措置負担金の徴収

施設に入るのには、お金がいります。当然、子どもを養育する責任者は親権者なので、親権者からお金を徴収します。これを、「措置負担金」と言います。措置負担金は、家庭の状況によって変動します。

イメージとしては、保育所と似たような感じだと思ってください。世帯の収入が多いところは保育料が高く、経済的に厳しい世帯は、保育料が少ない、といった感じで、値段が決まります。値段は、0円~10万円以上まで変動し、変な話、子どもを施設に入れた方が安くつく世帯もあるわけです。その値段の決定も、児相がすることが多いでしょう。

そして、これは悲しい現実なのですが、措置負担金は、滞納する親も少なくありません。でも、滞納したからといって、子どもが施設から出されるという心配はありません。


6.施設の課題に対する支援・指導

例えば、施設で問題行動を連発する子がいたとします。施設もキャパを超えてくると、「ウチだけじゃ、ムリ!」となることがあります。そうなった場合、施設は児相と連携して、子どもの指導に当たります。子どもを児相で面談し、原因を確認し、その課題解決に当たります。その際に、児相と親が接触したり、関係機関とパイプをつないだりするのも、児相の仕事です。

その他にも、施設側に問題があった(職員の不祥事等)場合、その都度子どもと面談して、事実確認をして、子どもの希望があれば、施設を変えたりすることもあります。かなり稀なことですが。


終わりに 

施設は、児相の決定がないと、子どもを入所させることが出来ません。だから、子ども自身が児相の担当者と会ったことがなかったとしても、児相の力というものは大きいものです。

私も、担当している子どもと会ったことがない、という状況もありました。それは、児相職員が担当している子どもは、施設に入っている児童だけではなく、一時保護されている児童、家庭で虐待の疑いがある児童、施設措置解除後の児童のために働いているからです。その上、親への簡単な指導であっても、いちいち資料を作って会議をして決定しないと、児相は家庭や施設に指導したり支援したりすることはできません。フットワークが重くなりがちなのは、このためです。施設にとって、児相が厄介者になってしまう原因も、上に書いたような理由があるかもしれません。

また、担当者の経験や力量、熱意、相性によって、施設と児相の関係も変わっていきます。施設も児相も、所詮人間が運営しているもので、そこには法律というものもあるものの、人と人との感情も複雑に絡み合っています。私のことを信頼している人もいれば、恨んでいる人もいるでしょう。(たぶん、親からは恨みを買っていることが多いでしょう。)

施設にとって、児相は切っても切れない関係です。そして、子どもの支援は正解がなく難しいものです。だからこそ、その関係を大切にできる関係者が増えることを望んでいます。



今回の内容、正直読みにくかったなあ、と思いますので、質問あればいつでもどうぞ。

今日は、この辺で。


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