【建築・インテリアを考える前に読むブログ】第8回 Arch Design Award 2023受賞作品解説シリーズ~Silver award「K-PROUD」~
今回のテーマは前回に引き続き先日受賞したArch Design Award 2023の受賞作品についての第3弾です。
Silver award 「K-PROUD」
動画で解説していますので下の画像をクリックしてご覧ください。
以下から書き起こし文章でもお読みいただけます。
クライアントの要望
テーマはアメリカ西海岸。
海沿いに建つビーチハウスのような空間をデザインしてほしい
という要望でした。
この会社自体がもともと不動産屋さんだったのですが、
新規事業としてリノベーションを手がける会社としてスタートアップの部分で
オフィス兼ショールームをデザインしてもらいたいとご依頼を受けました。
デザインコンセプト
冒頭に述べたように、テーマはアメリカ西海岸。
私としてはすぐに1回目の打ち合わせのときにイメージがだいたい沸いていました。
カラーリングも早い段階からホワイト&ブルーというのが浮かんでいて、
その中にちょっとアクセントをきかす意味でブラックだったり、
木目を加えたこれら4つで構成したら
全体に爽やかなきれいな空間ができるなという確信があったんですね。
デザインワーク
まずはショールームは当然ながらリノベーション事業をされる中で、
「実際にリノベーションを依頼したいお客さん」を
我々のモデルルーム、モデルハウスのような形で招き入れたいということで、
お客さんウケするような空間に仕上げました。
実際にそこで商談もされるでしょうから、
「ここに座ってもらったら、その空間がこういう風な感じで良く見えるな」とか、そういうことを計算した上でレイアウトしています。
もう一つの機能であるオフィス。
オフィスもこのショールーム、この場を訪れたお客さんが
実際にそこでスタッフが働いている景色を見てもらいたいなと思ったので、
オフィスとショールームを完全に壁で仕切るわけではなく
ひと繋がりの中で構成させて、
スタッフが働いている姿が見えたり、
逆にスタッフもお客さんがいらっしゃったら「いらっしゃったな」とわかる、
お互いの空気感が感じ合えるような、そんな空間にしました。
ただ、いい点もあれば悪い点もあります。
スタッフにとっては仕事に集中したくても
お客さんが来たら対応しないといけないとか。
程よくお互いがお互いの空気感を感じながらも、
お客さんとしてはショールームをじっくり見る。
スタッフはスタッフで仕事をちゃんとやる。
この両方が成立するような空間作りはどうすれば良いのか
ということを考えながらデザインしました。
空間の隔て方
お客さん用としてのショールームゾーンとスタッフ用のオフィスゾーンの間に受付のカウンターを配置し、そのカウンターが、カウンターでありながらも壁であると見立てました。
そのカウンターがあるために「ここがお互いのゾーンの境界線だ」と分かるようにしています。
そうすると、お客さんはもうそこから先へ行かず、ここから先はスタッフゾーンだということが感覚としてわかります。
程よい高さのカウンターがあることで、
そのカウンターがいい意味で障害となって、ショールームに来たお客さんとスタッフがそれぞれが席に座っていたら目線の交錯がなくなります。
そういったものをどんと壁で仕切るのはでなく、さりげなくカウンターを壁としての機能を持たすことで空間がひとつながりになり、
お互いがなんとなく空気感を感じあえるような、
お互いそんなに干渉をされずとも空気感を感じられる空間になるように仕上げました。
クライアントの評価
最終的には色々な備品、例えば本とか、サーフボードの飾り付けなどは
クライアントの社長自身がレイアウトも全部されています。
最終的に現場の工事が終わって、
クライアントが色々な備品をレイアウトして完成したときに、
最初から同じゴールを描けていたんだなというのが
最後完成形を見たときに確信しました。
カメラマンに竣工写真をチェックしたらもの凄く素敵に仕上がっていました。
1発目に全体写真を撮ってもらった時に「ああ、もうこれだな」と感じるものがあって、お互いがすごくハッピーな気持ちになる現場でした。