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[vol. 3] この人イラっとする! と思ったらある意味チャンスらしいよ。

こんにちは、るんさです。私は現在社会人3年目、20代後半です。職場での人間関係と職場環境で悩んでしまい、4ヶ月半前に適応障害と診断され、現在休職しています。


前回までのあらすじ

本シリーズの始まり[vol.0]で私は、復職へのプロセスを物語ととらえ、公開したら面白いのでは?と思い、その決意やきっかけを述べました。そして自分が復職するためにまず必要なことは、今の自分の思考の癖を認識し、考え方を良い方向へ変えていくことだ、と考えました。
続く[vol.1]では、「人間関係でストレスを感じたときに使える対策パッケージ」を自己流で構築したことを述べました。パッケージは全7ステップで構成され、一つずつ解説しながら自分の具体例も併せて記すことにしました。まず[vol. 1]で、人間関係でストレスを感じた出来事・しんどいなと思った出来事を思い出し、ひたすら書き出しました。そして前回の[vol. 2]で、人はみなこれぞれの経験に基づいた価値観・常識があり、そのエリアは人それぞれ違うということを述べました。その事実のもと、他者をリスペクトすることの必要性・重要性を述べました。他者の存在をそのまま受け入れるのです。

今回の内容

ここに至るまでに、私たちは他者の存在をリスペクトし受け入れることができたと思います。さて、今回はステップ4と5を見ていきます。

ステップ0 : 記憶の想起
ステップ1 : 自分の受け入れ
ステップ2 : 自分と他者の比較
ステップ3 : 他者の受け入れ
ステップ4 : 自分の考え方の癖の自認
ステップ5 : 自分の考え方の分岐
ステップ6 : 新しい自分のセルフイメージ
ステップ7 : 他者を許す

ステップ4:自分の考え方の癖の自認

人それぞれの持つ価値観・常識の裏には、必ずや考え方の癖があると思います、ある同じ出来事に対して抱く考えは人それぞれです。簡単な例でいうと、例えば就活での面接前、「気合い入れていくぞ。もし落ちたらなんて今は考えない。落ちた時に考える。どうにかなるわ」と楽観的に考える人もいれば、「頑張ってきたけど不安だ。落ちたらどうしよう、自信なくなってきた。うまくいかないかもしれない」と悲観的に考えてしまう人もいますよね。
人の考え方の癖は、その人が経験してきた数多の事情の中で形成された結果と言えます。もし考え方の癖が悪い方向に凝り固まっていると、自分の価値観・常識の殻に閉じこもってしまいます。そんな状態で自分の価値観や常識から外れた他者と出くわすと、「イライラする、許せない、目障りだ、耳障りだ」とリアンョンしてしまうのです。単発で発生すならまだ良いですが、それが毎日のように続くといかに自分を苦しめてしまうか、想像にたやすいと思います。
そんな考え方の癖ですが、実は変えることができます。変えるというか、選択肢を増やしてあげるイメージです。今までこういう風に考えていたけど、こういう考え方もできるな、と引き出しを増やしてあげるのです。意識的に引き出しを増やしてあげることで、目の前の出来事への解釈に幅が出て、心に余裕が出ます。凝り固まった癖を和らげるのには時間がかかります。しかし引き出しを増やす訓練を重ねることで、いつしかストレスをサラッと受け流せるような考え方にシフトできるのだと思います。

前置きが長くなりましたが、第一歩としてまず必要な工程が、考え方の癖を自認することです。
実は考え方の癖(一般に認知のゆがみとも言われる)というのは代表的なものが10個あり、以下のように表されます。(参考文献①より引用)

①全か無か思考:0か100か、物事を両極端に分けて決めつける
―「絶対に○○だ」「完全に○○だ」
②一般化のし過ぎ(対人編):ひとつの出来事だけでみんな同じと決めつける
―「みんな○○に違いない」
②一般化のし過ぎ(対物編):一度や二度起きただけの悪いことを「いつも起こる」と決めつける
―「いつも○○だ」「全て○○だ」
③心のフィルター:良い面を無視して、悪い面だけを捉える
―「どうせ○○」「良いことは一つもない」
④マイナス化思考:「成功」を「たまたま成功」と思ってしまう
―「○○はお世辞だ」「○○は偶然だ」
⑤結論の飛躍:根拠もないのに悪い結論を出してしまう
―「○○に決まっている」
⑥拡大解釈と過少評価:自分の失敗は大げさに捉え、成功は小さく捉えて評価しない
―「(小さなミスをして)だから私はダメなんだ」「(ほめられて)そんなことはない」
⑦感情的決めつけ:感情を根拠に物事を決めつける
―「気分が乗らないから○○だ」
➇すべき思考:自分の信念やルールから外れることを許さない
―「○○すべき」「○○しなければならない」
⑨レッテル貼り:自分や他人に悪いレッテルを貼る
―「自分は負け組だ」「私は○○だ、あなたは○○だ」
⑩個人化(自己関連付け):良くないことは全て自分の責任にしてしまう
―「全て私が悪い」「あのとき私が○○すれば」

あ~分かる~というものもあれば、これは当てはまらないなというものもあると思います。どの思考をしがちか、およびその強弱は人それぞれですよね。当てはまる癖が多い、ないしはこの癖は頻繁にやってしまう、など偏りがあると、ストレスを溜めやすくなり生きづらいと思う場合もあるかもしれません。
ただし、前回に続きお伝えしますが、全7つのステップで構成されたこの手法は、あくまで私たちを生きやすくするための合理的な手法なのです。無理に思考を矯正しろと言っているのではなく、またこれまでのあなたの経験や性格を否定するものでもございません。今までの考え方であれば、ストレスをストレスとして感知してしまい真正面から攻撃を食らうしかなかったでしょう。しかしこの手法があれば、ストレスが真正面にいたときに自らかわすことができるのです。更に積み重ねていけば、今までストレスと感知していた事柄をストレスとすら認識しなくなるくらい、心にゆとりができると思います。

さて上記のように改めて認識した上で、自分のケースを振り返ってみます。あのとき、目の前のストレスに対してどういう感情を抱いたか、その裏には何か思考の癖がなかったか、分解してみます。前回の [vol. 2] ステップ2:自分と他者の比較で、ストレスを感じた事案において自分の常識や価値観、およびそれに基づく言動を記述したと思います。そこも参考に、自分の思考を振り返り分解してみましょう。

【るんさの具体例】
先輩Aとのやり取りの中で感じた感情や思考

(1) 社会人たるもの、職場ではおちゃらけた言葉遣いをしてはならない。丁寧な言葉遣いをすべきである。
―癖➇すべき思考
(2) 社会人たるもの、簡潔明瞭に説明をするべきである。
―癖➇すべき思考
(3) 人と話をするとき、極力会話を遮るべきではない。もし遮るときは断りを入れる。そして遮りが終わったら「続けて」と相手に返す。
―癖➇すべき思考
(4) 私も先輩Aみたいにズバズバ本音を言いたいが、怖くてできない。怒られるかもしれない・怒られたくない。相手に嫌われるかもしれない・嫌われたくない。目を付けられたくない。なんなら気に入られたい。
―癖⑦感情的決めつけ、癖⑤結論の飛躍、癖③心のフィルター

初めてやってみましたが、面白いですね。自覚はありましたが、(1)~(3)にもある通り、私はすべき思考が強いですね。自分が無意識的に当たり前のようにやれることを目の前の人がやっていないとき、またはできていないとき、「なんで」ってカチンとしてしまうんですよね。
恐れながら言葉にしますが、私はいわゆる優等生タイプです。他人の目ばかり気にして、学校の先生が良しと思うこと、および社会的に良しと思われることに従っておこうと考えてしまいます。(その反動か、親の言うことはあまり聞かずわがままでした。)社会の常識やマナー・ルールにがんじがらめであり、正解ばかりを求めてしまいます。社会的一般常識をインストールした自分こそ正しい、それに反している人は間違っている、と考えてしまいます。(ここまでくると、癖①全か無か思考、ですね。)
周囲からは「真面目だ、優秀だ」と思われるのに、本当はただただ窮屈。他人のしょうもない言動でストレスを感じ、本当に生きづらいです。
一方(4)では、複数の癖が絡み合っていることに気が付きました。順を追って分解しますが、まず「癖⑦感情的決めつけ」は、本音を言うのは怖いからやっぱりできない、と感情をもとに決めつけていますね。また「癖⑤結論の飛躍」では、本音を言うと相手に怒られるだろう、相手に嫌われるだろう、と根拠のない結論付けをしていますね。最後に「癖③心のフィルター」では、本音を言う私を悪い面と捉え、その他の自分の良い面はまるで無いものとして捉えてしまっていますね。
いや~冷静に見かえるとなかなか面白いですね。とてもいい気づきになりました。

ステップ5:自分の考え方の分岐

さて、ここまでで自分の考えの癖を自認できました。次は、新しい考え方の分岐を作ってあげる段階です。ここで重要になるのが、今自分が持っている常識を疑う姿勢です。
「私が思うこれって、本当にそうなのかな」と自分に問いかけるのです。

前回の[vol. 2]で、人間関係でストレスを感じるときは往々にして、自分と相手の常識・価値観のエリアがそれぞれ違うゆえに、その違いに直面したときのリアクションでイライラしてしまう、ということを述べました。ただしこれは以下のようにポジティブに言い換えることができます。すなわち、イライラする・許せないと思う相手に出会ったとき、その人は自分の凝り固まった常識とは違う常識を教えてくれる相手なのです。これが、自分にとっての新しい考え方の分岐を作ることに繋がるのです。
ではステップ4で書き出した具体例を用い、私の常識に対して、こういう考え方の分岐もできるのではないか、と引き出しを増やしてみます。

【るんさの具体例】
(1) 社会人たるもの、職場ではおちゃらけた言葉遣いをしてはならない。丁寧な言葉遣いをすべきである。
本当にそうだろうか?互いが心地よいコミュニケーションを取れているならば良いのではないか。確かに私も、敬語とため口が混ざってしまう人はいるな。ずっと敬語で堅苦しくしゃべってると疲れるし、楽しくないわね。

(2) 社会人たるもの、簡潔明瞭に説明をするべきである。
本当にそうだろうか?確かに私は新人研修とかで徹底的に叩き込まれて、それを実践しようと心がけている。それは私の強み。ただ、どれほどできるかの程度は人それぞれ。また、どれほど重要視するかも人それぞれ。言葉で補おうとワーッと喋ってしまう人もいるよね。そういう人には「話が長いから何を言っているのか分かりませんでした」で終わらせよう。だって事実だもん。

(3) 人と話をするとき、極力会話を遮るべきではない。もし遮るときは断りを入れる。そして遮りが終わったら「続けて」と相手に返す。
本当にそうだろうか?何も言わず聞いているのが得意な人もいれば、不得意な人もいる。会話のスピード感を大事にする人もいる。もし遮ってほしくなかったら、「今から話すので、遮らずに一旦全部聞いてください」と私の方から前置きするのも有効だな。話を遮る人に対しては、私も遮ってみようや。「分からないからもう一回言って」とか。

(4) 私も先輩Aみたいにズバズバ本音を言いたいが、怖くてできない。怒られるかもしれない・怒られたくない。相手に嫌われるかもしれない・嫌われたくない。目を付けられたくない。なんなら気に入られたい。
本当にそうだろうか?本音を言うのは怖いかもしれないけど、でも不可能とは限らないじゃん。実際今までだって、時間かかることはあっても、友達や同僚に本音を言ってきたじゃん。同じように先輩Aにも言うことは不可能ではないと思う。
あと、本音を言うと嫌われるって決めつけてるよね。本当にそうかな?今まで本音を言ってきた人に嫌われたことあったっけ?あまりないよね。それは、私の本音の伝え方が上手だからだと思うよ。もともと相手の顔を見て丁寧に話す人だから。
加えて、例え本音を言って嫌な顔をされたとしても、私には他にもっと良い面があって、それを見てくれている人はたくさんいる。
総じて、本音を抑え込むメリット(デメリット)と本音を素直に伝えるメリット(デメリット)を冷静に比較すると、
{ 素直に伝えるメリット>抑え込むメリット }
であることが分かった。思っていること言った方が溜め込まずにストレス発散になる。伝えるその瞬間はしんどいかもしれないけど、長い目で見たら伝えた方が良いよね。

さて、このように自分の中で新しい常識をインストールすることができました。前回の[vol. 2]のステップ3で他者を受け入れてるからこそできたのだと思います。
今冷静に考えれば、何をビビって悩んでいたんだろうと思います。先輩A本人がズバズバ言っているのだから、私だって同じことして良いに決まっています。

再三お伝えしますが、これはあくまで自分を守る=自分を持続可能な状態でいさせてあげるための合理的な手法です。自分の考え方を矯正するというような意味合いではなく、逆に他人に合わせるような意味合いでもありません。常識・価値観に凝り固まり、ストレスを感知しまくって疲れてしまう自分の脳を優しく和らげてあげるための手法です。「そういう捉え方もあるんだな」と他者の存在をそのまま受け入れ、「私が思っていた正しさって、本当にそこまで必要なのかな」とがんじがらめな自分を和らげてあげることで、自分が生きやすくなるのです。

まとめ・次回予告

ここまで読んでくださった皆様、および振り返りをしてきた自分、大変お疲れさまでした。本日[vol. 3]の振り返りですが、まずステップ4では思考の癖10パターンを紹介し、自分の考え方に当てはまるものはないか分解しました。続くステップ5では、その考え方の癖を「それって本当だろうか?」と分岐させ、新しい引き出しを作りました。ストレスをしなやかにかわすことができ始めているでしょう。
ここまできたらゴールは目前です。次回がシリーズ最後の投稿になると思いますが、ステップ6:新しい自分のセルフイメージ、および最終ステップ7:他者を許す、を紹介していきます。

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