水面に浮かぶラベンダーの花束
夕日が空を彩っている。
湖のほとりで、エレノアは花束を抱えていた。親友ソフィアが好きだった、ラベンダー。
良い香りを放つ束をそっと、水面に浮かべた。
一瞬、強い風が吹く。自分の長い黒髪が、視界をさえぎる。思わず、目を閉じる。
エレノアが再び瞼を開けた時、そこにはソフィアがいた。
「ありがとう、エレノア」
久しぶりに見た、豊かな金髪。聞き覚えのある、懐かしい声。
「まさか、そんな」
「これからも時々は、私のこと思い出してね」
金の髪に似合う華やかな唇が、微笑んだ。
すっと、その姿が消えた。
エレノアは呆然と立ち尽くしていた。心は、喜びに満ちていた。
淡い紫の束は水面に浮かんだまま、夕陽を受け赤に染まっている。この湖で亡くなったソフィアが、まるで喜んでいるかのように。
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