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言葉の魔力|やりとりをメールで済ませたいすべての人へ

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✔ メールは、“情報を伝え、記録する”もの。
✔ 電話は、“キャラクターを売る”もの。
✔ それぞれの役割をすれば、自然と使い分け方が見えてくる。

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最近の若い人は電話が苦手だそうですね。
携帯端末(いわゆるケータイやスマホ)の普及で電話機は“一家に一台”から“ひとり一台”のパーソナルなものになり、突然に誰からかもわからない電話を受けることは、固定電話を知らない世代にとって想像以上にハードルが高いようです。

実業家として有名な堀江貴文さんホリエモンは、大の電話嫌いだとか。
曰く、「1日の中には、細かいすき間時間がたくさん発生する。そのすき間時間を利用し、非同期通信によって仕事を効率的に進めていくのだ」。
ようするに、コミュニケーションのために電話で時間を拘束し合う必要はなく、お互いに都合の良いタイミングで連絡しレスポンスした方が円滑だしスマートなわけで、そのためのツールはメールなりLINEなり色々あるだろ ―― ということだと思います。

なるほど、たしかにこうした背景や話を聞くと、コミュニケーションツールとしての電話の価値が薄れつつあるのもわかるというものです。

一方で、コンタクトすれば(そして相手が出れば)即アクセスでき、声のトーンや息遣いで微妙なニュアンスも汲み取り伝えることができる電話は、やはり便利です。
相手が理解できていないと感じたら、その場で確認を取ったり言い直したりもできますしね。

メール vs 電話。
みなさんはどちら派ですか?
あるいは使い分けているのでしょうか。

もし、このテーマで少しでも悩んでいるなら、解決の手助けをしましょう。
使い分けの基準は、案外シンプルです。
メールと電話 ―― この二つは、そもそも役割が違うのだから。

情報伝達するならメール一択

何か伝えたい、伝えなければならない情報があるなら、メール(などの非同期通信)以外ありえません。
業務連絡だろうが何だろうが、例外はないです。
理由は大きく三つあります。

1.双方の予定に左右されず情報伝達できる。
2.伝えたい情報と自分の頭を整理できる。
3.ログを残せる。

ホリエモンの提言する『すき間時間の利用』は、万鈞ばんきんに値します。
日々の業務に追われる組織人であれば身に染みて感じることでしょう。
電話しても不在続きだとやっとつながった時には手遅れになっていることもあるし、逆に忙しいときに受ける電話ほどわずらわしいことはない ―― そういった『間の悪さ』に悩まされることがメールではなくなります。

メールだと、伝えたい情報をロジカルに整理できるのも利点の一つ。
電話だと相手の反応によって話題が脱線したり、最悪、緊張や気のゆるみで伝え漏れることもありますから。
文章に起こすと自然と自分の頭も整理できます。
どういう流れで説明すれば理解を得られるか、情報に不足はないか、あるいは余計なことを含めてないか ―― こういった考えに話しながら思いを巡らすのは容易なことではありません。

話が上手く進んでいるときはいいですが、問題が生じると『言った/言ってないの議論』になるなど、みなさんも少なからず経験があるでしょう。
メールは履歴が残りますから、そういったことも基本ないはず。


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というわけで、情報のやりとりをするならメール一択です。
が、やりとりをメールで済ませたいすべての人へ ―― そもそも、メールを“ちゃんと”打ててますか?

送るタイミング、返すタイミングを気にする必要がないといっても、自分のアクションの遅れは相手のリアクションを累進的に遅らせるわけで… はじめは一時間や一日の遅れが雪だるま式に膨れて、気付いてみれば取り返しがつかない!なんてこともあります。
情報がきちんと整理できていない、長くてわかりづらいメールは、相手の時間を奪い仕事のテンポを落とすでしょう。
仕事の交信においては担当者間だけにとどめておきたい“ここだけの話”だってあるだろうし、下手にログが残ると後になって自分の足を引っ張りかねません。

電話よりもメールが楽、という考えなら、甘いです。
メールのメリットは確かなものですが、使いこなせなければ真逆のデメリットになって自分に跳ね返ってくることは忘れずに。

それでも揺らがない電話の価値とは

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ともあれ、特にビジネスシーンで、メールは情報伝達の手段として最適解と言えます。

直接話さないとこちらの意図が伝わらない、と云うなら、それは情報や考えを上手くイラストレートできない文章力のせい。
緊急性が高いから電話で、と考えるなら、そもそもそうなってしまった仕事のスケジューリングや作業のプロジェクションに問題があります。

仕事を進めるだけなら、メールで十分。
それを機械的で冷たいと感じる人もいるでしょう。
礼に欠ける、誠実でないと思う人もいるかもしれない。
そうした求められる熱意や実直さをカバーするのが、電話というコミュニケーションツールです。

ただ、ここでみなさんにも考えてもらいたい。
あなたが伝えようとしている言葉は、本当に相手が望んでいるものですか?

感謝したい、謝罪したい、篤実とくじつでありたいという気持ちは、究極的には自分のエゴです。
満足感を得るために他人を付き合わせるのは、それこそナンセンスだ。
多くの人がやりとりの先に求めているのは、物事の円滑な進行であり、トラブルの回避や解決です。
そのために必要なのは適時適切で整理された情報であって、こちらの気持ちや想いではない。


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電話で伝えるべきものは何なのか ―― それは、『キャラクター』です。
単に熱意や実直さをアピールするのではなく、そこに相手にとって意味がある自分の持ち味を乗せられるかが重要なこと。

たとえば、「もう同じようなミスはしません」という覚悟だったり、「細かなことも手当てできるんですよ」という周到さであったり。
そうした素養を売り込むのは、文字だけでは極めて難しい。
だからといってストレートに「僕、持ってます! 私、デキるんです!」なんて言えるわけありませんから、言葉の選び方や伝え方には工夫がります。

そう考えると、電話って気楽にできませんよね。
逆に、それだけ相手のことを考えて気遣って出てくる言葉というのは、不思議なもので相手に響くし、聞けば“わかる”ものです。
それが電話の揺らがない価値だと、僕は思います。

世代間のギャップを埋めるには

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機械化やIT化が進み、あらゆるものがどんどん便利になって、生き方や働き方の加速度を上げられることを知った僕たちは今、効率化だったり生産性の向上だったり人生の省エネ化を無意識に目指しているのかも。
そんな時代に「仕事のやりとりくらいメールでいいじゃん」という考えが広がりをみせるのは、自然な流れです。

でもね、そうした合理化には限界があると思うんです。
『急がば回れ』ということわざがありますが、脇道の歩き方を知ると意外にもそちらの方がムリもムダも避けられたりします。

若いうちは絶対に分かりませんよ、だって脇道電話を使った経験が少ないから。
目の前の本線メールを使えばひとまず目的地に行けるのがわかっているなら、そちらを選んで当然です。
だからこそ、本線と脇道を都度選択して上手く仕事をしている人の話に耳を傾けてみてください。

脇道電話が大好きな先輩社会人の方々は、一度振り返ってみては?
もしかしたら、脇道しかなかったからそこを通ってきただけなのでは?
歩きなれた道を選びたい気持ちもわかりますが、基本、本線メールの方が舗装整理されていて歩き伝わりやすいですよ。

メールか電話か、というテーマには、そうした世代間のギャップがある気がしています。
“本当の回り道”は本線メールなのか、脇道電話なのか、自分の経験則や思い込みから距離を置いて一度考えてみては?
別の道を選ぶのは勇気がいることかもしれませんが、一度踏み出せば、お互いがなぜその道を歩いてきたのか、わかり合えるキッカケになるかもしれません。


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言葉には魔力があります。
『言霊』というとちょっと迷信めいてしまいますが、それでも、たしかにある… 言外げんがいに想いを伝える何かが。
その力はけしてあなどれないものだと、年を重ねれば重ねるほど感じます。

魔力の込め方がわかれば、コミュニケーションの幅は確実に広がる。
もちろん、それに頼ってばかりでは、やりとりの本質を見失います。
情報を授受することなのか、キャラクターを売ることなのか ―― 目的地意図することが違えば、そこへの近道そのための手段も違って当然です。

あなたのつむぐその声が、受話器の向こう側にいる相手とその人の期待への近道を示す『言霊ガイド』になると信じています。

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メールと電話の使い分けは、その役割を知れば自然と身に付く。
とはいえ、コミュニケーションは相手があってはじめて成立するもの。
効率だったり感情だったりは自分視点になりがちだから、それを捨てて“相手に合わせる”、“相手の望むやりとりをする”のが、一番大切なこと。

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記事をアップする都度、思うのですが、やはり文字で考えを伝えるって、難しいですね。
まとまった!と思って書き始めても、手のひらの水のように考えはすぐに頭からすり抜けて、かと思えば急に湧き上がったり。
こだわれば冗長じょうちょうに、簡潔を目指すと物足りない…
僕も日々、勉強中です。


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本記事がみなさんのワークハックになれば嬉しいです。

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