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高1の夏、Kくんに恋をした。

 受験に成功し、第一志望の高校に入学した。委員会を決めるときに、なんとなく立候補した会計委員。1クラスにつき男女1名ずつ選出する必要があったが、その相方がKくんだった。

 夏は学校祭の季節。会計委員は、クラスのみんなの領収書の処理で、仕事がたくさんあった。放課後の教室、Kくんと2人で作業をするうちに、私たちの距離は近くなった。お互い連絡に必要だからと、ケータイの番号を交換した。プライベートで連絡を取り合うことはなかったけれど、不意に電話がかかってきて、電話越しに彼の低めの声が私の苗字を紡いだとき、心臓が震えた。

「KくんとLunaちゃんってつきあってるの?」

なんて聞かれることもあり、「まさかぁ」と答えていたが、周りから見ても私たちはそういうふうに見えるくらいには仲が良かったのだろう。

 学校祭が無事に終わり、後夜祭のとき。Kくんが、私に言った。

「後期も、いっしょに会計委員やろう。」

 その言葉に、少し勘違いしそうになった。言葉通りの意味しかないとわかっているけれども、期待してしまうではないか。

 夏休みを挟み、後期を迎えた。クラスでは後期の委員選出をすることになった。「では会計委員、立候補する人〜」と声がかけられた時、Kくんはすっと手を挙げた。私は少し気恥ずかしくて1秒ほど待ってから手を挙げようとしたところ。

なんと。

別の女子が手を挙げているではないか!(今思えばその子もKくんを好きだったんだと思う)

 そして会計委員になれなかった私に、放課後Kくんは声をかけてきた。

「何で会計、立候補しなかったの」

「いや、手を挙げようとしたんだよ?そしたら、もうあの子が手を挙げちゃってたから…ごめん」

「……ん。そう。わかった」

 この日、とても後悔した。どうして私はあの時立候補できなかったんだろう、と。そして月日が流れ、冬を迎えた頃。

 なんとKくんに、彼女ができた。

 Kくん、ちょっと私のこと気になってるのかなぁ、なんて自惚れていた私にはダブルパンチの出来事だった。ただ、高校生の恋愛だーーあっという間に、2,3ヶ月で、破局のウワサが流れてきた。そんなとき、私が掃除当番でいつもより長く教室に残っていると、Kくんが不意に話しかけてきた。

「あのさ、」

「何?」

「俺、アイツと別れたんだけど。」

 ………?

 別れたんだけど、って何?!

 なぜかそんな報告をわざわざしてきたKくんは、今思えばタラシで、私の気持ちを知っててキープに使っていたとしか思えないが笑、当時の私は純粋で、また心がKくんに傾いてしまうのだった。

 そのまま、Kくんに対するもやもやな恋心は、高2でMくんに出会って恋をするまで続くのだった。

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