人生ではじめて、告白をした
Mくんと隣の席になったのは、高2の夏だった。中学時代のAくんしかり、隣の席の男子を好きになりがちだった私は、Mくんのことも好きになった。Mくんは身長は162センチで私とあまり変わらなかったが、切長の目と黒縁メガネがよく似合っていて…要するに顔がドストライクなのだった。笑
Mくんには親友がいた。ひとりはSくん、もう1人はIくん。当時の私の親友のうちのひとりは、Sくんのことが好きだった。
「お願い!Sくんのこと、協力して!」
そう親友に言われ、合唱部だった私は、私たちが主催のコンサートに、親友と、Sくん、Iくん、そしてMくんに来てもらうことを目論んだ。そして、Mくんに連絡することができないチキンな私は、3人の中で一番女の子の扱いに慣れてそうで話かけやすそうなIくんに、メールをした。
「ねぇねぇ、Iくん、突然ごめんね。私の親友がSくんのこと好きみたいで…かくかくしかじか」
するとIくんからすぐにお返事が返ってきた。
「やっぱりね。俺もそう思ってたんだ。ちなみにLunaさんもさ、Mのこと好きでしょ」
………
えーーーーー何この流れ弾!!!!笑
Iくんに気持ちがバレてしまった私は観念して、Sくんのことももちろんだが、Mくんと私の相談もIくんにするようになった。そしてIくんはIくんで、クラスで一番可愛い女子に片想いをしているものの、その子には彼氏がいて、よりによってその彼氏はIくんの幼馴染かつ大親友、という苦しい恋の真っ最中だった。
思春期はいろいろあるもので、私の親友はなぜかクリスマスにSくんに告白をして、ふられてしまった。そしてそのふられた責任を「Lunaのせいだ」となぜか私に押し付けてきて。そしてその子とは疎遠になった。Iくんは、Lunaさんのせいじゃないよ、と慰めてくれて、私の親友はいつの間にかIくんになっていた。笑
春が近づいてきて、次の4月からは高3、受験生になってしまう。そうなったらおちおち恋もしていられない。思春期真っ只中の私は、Mくんからの着信音をYUIのチェリーにしていたが、覚悟を決めた。
たぶん、Mくんは私のこと、「好き」ではない。でもこのままじゃ不完全燃焼のまま受験生になる。決めた。私、バレンタインに告白をしよう。でも、返事は…今すぐふられると部活に支障が出るから、部活の定期演奏会が終わった後にもらおう。(今思えば相当自己中。笑)
バレンタインの前の週だったか。バレンタインに時間を作って欲しいというようなメールをMくんに送ったが、文面はおぼえていないが、かなり煮え切らないような返事が返ってきた。その返事にモヤモヤした私は、フライングでメールで書いてしまったのだ。
『何でそういうこと言うの?私、ただMくんに好きだって告白しようと思っただけなのに…』
かなり緊張しながら送信ボタンを押した。押した後、ベッドでゴロゴロ転がっていた。じっとしていられなかった。返事が来て欲しい、でも来て欲しくないような。YUIのチェリーが鳴ったのは、15分後くらいだっただろうか。
『ごめん。Lunaさんの気持ち気づかなかった。そういうことなら、2/14、時間作るよ』
そしてこの出来事をIくんに報連相したところ、Iくんは「わー言っちゃったかぁ!」と興奮していた。
「Lunaさん、よく頑張ったよ」
「いやいや、もうフラれるのわかってるから」
「俺はなんとも言えないけどさ。チョコ渡せそうでよかった」
そう優しく励ましてくれるIくんが神すぎて、Iくんにも感謝の友チョコをあげようと思った。結局Mくんにはモロゾフのチョコを、そしてIくんにはなんとGODIVAのチョコを買ったのだった。笑
2/14当日のことはよく覚えていないけれど、返事をもらった日のことはよく覚えている。定期演奏会が終わって、春季講習を受けていた春休み。Mくんから指定されたのは、学校の近所のホテルのロビー。高校生には少し不釣り合いな場所で居心地が悪くなった私たちは、自動販売機のある少し奥まったところへ移動した。
「…返事だけど、ごめん。俺、好きな人がいるんだ。中学時代につきあっていた女の子のことを今も忘れられなくて…でも気持ちがすごく嬉しかった。」
「うん。わかったよ。ありがとう。」
そして、ホワイトデーのお返しということで、今でも忘れない、北菓楼の『はまなすの恋』をいただいたのだった。未だに『はまなすの恋』を見ると、Mくんを思い出す。
はじめての告白は、フラれて終わった。
でもこの時の経験によって、その後、私は好きになった人には好きと伝えるようになるのである。
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