ハットリ

画像1 この組み合わせは、パフェを注文した時。これから運ばれてくる生クリームとアイスクリームの入ったパフェをすくい、果物を食べる。クリストフルのシルバーが磨き込まれている。資生堂パーラーのテーブルクロスは祖母を思い出させる。浅草生まれの祖母は、江戸の下町言葉で「美味しいかい?」と聞くのだった。そして「ハットリ」という謎の言葉を発していた。「ハットリ」へ行くという。
画像2 「ハットリ」という時、それは服部時計店のことだった。祖母が他界した時、部屋には愛読書の他に和光の「チャイム」という薄い冊子が、ドカンというボリュームで残されていた。昔は「チャイム」の文字が大きくて、銀座はあったのか、なかったのか。毎月届くのだが、写真がきれいできっと捨てられなかったのだろう。頁をめくると華やかな気分になる。一気に捨ててしまったけれど、昔のファッションや流行を識るためにとっておけば良かった。私はこの世界を地でいくような大人にはなっていないけれど、制作の資料として価値があったように思う。

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