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ラッフルズの天使

毎年、クリスマスに飾る天使。
楽器を弾いているシリーズ。
赤と緑がさりげなく配置されているのがいい。

どこで手に入れたのか、忘れていた。
裏を見ると、シンガポールに行った時に見つけたのだ、と思い出した。

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ラッフルズホテルのシールが裏に残っていた。
ホテルにお茶を飲みに行き、その帰りに寄ったブティックにあったのだと思う。
コロニアル様式の建物を見るのが楽しみだった。
シンガポールに行った時期が、クリスマスシーズンだったということも、忙しい毎日で忘れていた。

1887年開業のRaffles Singapore。
19世紀のホテル。
1915年に生み出されたカクテル、シンガポール スリングは、ラッフルズホテルのバーテンダーであったNgiam Tong Boonによるものだという。
(今、提供されているシンガポール スリングは、甥のロバートにより見た目と味を大幅に変更したもののようだ。)
ラッフルズホテルの出てくる小説を読んでいたのだった。

確か、あの有名なロングバーについて書かれた、イラストの冊子があった。
面白いかなと思って、ある方にお土産に差し上げた。
バーは、ちょっと覗いただけ。

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可愛い天使を見ているうちに、とても大事に包んで、割れないように持ち帰ったのを思い出した。
セントーサ島に泊まり、帰りに香港に寄る予定で、スーツケースにそっとしまったのだった。

あれから、すごく時間が経っている。
本当は、もっと綺麗な色の肌色だったかしら?
しかし、私はセピアがかってきた今の天使の風情が好きである。
(写真は、光の当て方で綺麗だけれど。)

どんな曲を奏でているのだろう?
微笑んでいる。
谷川俊太郎の「クレーの天使」に出てくる、
『忘れっぽい天使』も微笑んでいる。

天使は、私たちを微笑んで見ていてくれるのかしら?

ポジティブな、きらきらした周波数の高い音楽がいいな。
とてもいい笑顔をしている天使。


忘れっぽい天使
                   谷川俊太郎 

くりかえすこと
くりかえしくりかえすこと
そこにあらわれてくるものにささえられ
きえていくものにいらだって
いきてきた

わすれっぽいてんしがともだち
かれはほほえみながらうらぎり

すぐそよかぜにまぎれてしまううたで
なぐさめる

ああ そうだったのかと
すべてがふにおちて
しんでゆくことができるだろうか

さわやかなあきらめのうちに
あるはれたあさ
ありたちはきぜわしくゆききし
かなたのうみでいるかどもははねまわる

スクリーンショット 2020-12-15 16.17.50

こちらが、クレーの「忘れっぽい天使」。部屋に飾ってある。



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