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賢人の知恵

次の予定まで時間があると、ついつい書店に足が向いてしまう。
そして、見つけた!

私の愛読書『賢人の知恵』が、文庫本になって出ていたのだ。
しかも、ティファニー・ブルーに金色の箔押しという、とても好みの装丁である。

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バルタザール・グラシアンの『賢人の知恵』エッセンシャル版だそうだ。
プレミアムカバー。
ブックデザイナーは、廣田敬一さん。
ついつい、一番後ろの頁の、そういうところから見てしまう癖がある。

綺麗に扱って、大事にしよう。

この本を最初に読んだのは、いつだっただろうか。
帯には、こう書かれている。

正しく生きるな、賢く生きよ。

これである。
小さい時から正しい行いに縛られていた私は、大人になってもそれが抜けなくて、心の葛藤があった。

「だって、それは正しくない。間違っているもの!」

と言ったところで、世の中には色々な判断基準があるものだ。
だからこそ、「賢さ」が必要なのだ。
賢く振る舞うコツが書かれていて、単行本は何度読み返しただろう。
本の端を折ったり、付箋したりして繰り返し読んだ。

「悪いことをしたら、神様が見ている。」
誰かがそう言ったのか、言わなかったのか。
子供の頃から、第三者的に自分を見ているところがあった。

正しい、正しくないに焦点を当てるのではなく、善悪をみることも出来る。
人間関係を良好にするにはコツがあるのだと知った。
それは、無垢な状態で生まれてきた我々が、後天的に身につけなければならないものなのだと、改めて思った。

善のない美はなく、悪のない醜もない。善は叡智の真髄で、それ以外のものはすべて愚かなことだ。人が偉大かどうかは善で判断するもので、財や富ではかるものではない。善はそれだけで足れり。生きている間に愛され、亡くなってからも忘れられないのは善のある人だけだ。

これが最後の文章である。
安心する。

子供の頃から直感がある方で、それは母譲りだった。
ずるい人はその雰囲気からわかってしまうのが、辛かった。
ずるい!と言えないから、ずっと引きずってしまう。
しかし、直接的に対峙しなくても方法はあることが、大人になればわかる。
感情にのみ込まれずに、なるべく冷静でいることを心がければ、次の手段が見えてくる。

人との絶妙な距離感は、一度きりの人生にはとても重要な気がする。
読むたびに思うことである。



書くこと、描くことを続けていきたいと思います。